ユタ

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祈祷活動をするユタ(1955年頃)

ユタは、沖縄県鹿児島県奄美群島の民間霊媒師(シャーマン)であり、霊的問題のアドバイス、解決を生業とする。

目次

[編集] 概念

琉球の信仰において、琉球王国が制定したシャーマンであるノロ(祝女)やツカサ(司)が公的な神事、祭事を司るのに対し、ユタは市井で生活し、一般人を相手に霊的アドバイスを行うことを生業とする、在野のシャーマン・かんなぎ)である。

ユタはいわゆる霊能力者であるが、迷信と考える者も多い。だが、一般にユタの力は古くから広く信じられており、凶事に当たった場合や原因不明の病気、運勢を占いたいとき、冠婚葬祭の相談など、人が人知を超えると考える問題を解決したいときに利用される。こうした行為は「ユタ買い」といわれ、通常、ユタは相談料をもらって問題解決にあたる。たとえ霊的な効果はなかったとしても、信じる事で精神的な癒しを得られる事がある。そのため精神的に不安定な患者に対し、医者がユタを勧める例もあり(この場合、霊的な事を目的としている訳ではない)、沖縄県には「医者半分、ユタ半分」ということわざが古くからある。

ユタは単なる霊能力者ではなく、信仰上、自らを神と人間の介在者と位置づけており、広義にはノロやツカサなどと同じく「神人(かみんちゅ)」と呼ばれる。神に仕えるのは一般に女性と考えられており、ユタもノロやツカサと同じく、大多数が女性である。しかし、男性のユタも存在する。

後述するように、ユタは弾圧の歴史を持つことから、隠語として、ユタのことを三人相(サンジンゾー:易者)やムヌシリ(物知り)などと呼ぶこともある。

[編集] 成巫儀礼

一般的にユタになる人間は、まず生死に関わる事故、肉親の不幸、夢などをきっかけに「カンダーリィ(神倒れ・神垂れ)」と言われる原因不明の体調不良、いわゆる巫病を発症するとされる。信仰者の間では「ユタになれという神からの命令」と考えられており、この神命を拒む限り巫病は治らず、死ぬ者もいると信じられている。

ユタになることを受け入れた者は、地域の御嶽を巡って神と交信したり、信心を持つことによって次第に巫病から解放され、ユタになるとされている。この成巫過程から、多くのユタは「別にユタになりたくてなったのではない」と言う者が多い。こうした者は、生まれながらに霊能力が強い「サーダカ(サーダカウマリ)」であると考えられている。

[編集] 信仰と戒律

戒律はなく教義もないため、婚姻の有無や処女性なども問われない。ユタは公的な祭事は行わないが神に仕えており、御嶽を巡って神と交信し、霊障や病気、冠婚葬祭などの問題を中心に助言を行い、加えて公徳心や道徳心を説くことが多い。暦を読んで吉凶日を告げる仕事を行っていたために「時双紙(ときそうし)」という暦本を持っていたが、これらは大多数が後述する弾圧の時代に焚書され、現在では本島の一部と宮古島に数冊現存するのみである。

教義、戒律の希薄さから、無宗教化が進んでいる。一例として、一般にユタの祭壇には、仏教神道キリスト教などの偶像や牌などが無秩序に並べられるなどしている。また、ユタは必ずしも正業ではなく、副業として行なっている者も多い。

[編集] 問題点と弾圧の歴史

ユタの能力はオカルティックであり、その実在を裏付ける科学的根拠はないため、ユタを騙って金儲けをする者が後を絶たなかった(現在も多数存在する)。また一方で、在野のシャーマンであるユタは日常的に人々と神を親しくする存在であり、中央集権や体制強化、近代化を進めたい支配階層は、ユタの存在を脅威や障害と捉えることが多かった。そのため、時の権力層から「後進的な存在であり、世間を惑わす」として、幾度も弾圧、摘発を受けている。主なものは以下。

  1. 琉球王国行政官の蔡温によるユタ禁止令
  2. 明治期の自治体レベルでのユタ禁止令
  3. 大正期の「ユタ征伐」運動
  4. 昭和10年代の戦時体制下のユタ弾圧

これらの時代、ユタは違法的存在として警察力に拘束、抑留されるなどしている。

これらの受難の時代を経て現在もなおユタは存続しているが、ユタにまつわる事件は今も起こっており、問題は絶えない[1]

ユタを求める人の多くは精神的に弱っていたり、問題を抱えて困っている。そのため、敢えて不安を煽るような事を言い、お金を騙し取るユタも多い。いわゆる霊感商法の一面も持っている。そのため沖縄には「ユタコーヤーヤ、チュオーラセー(ユタを買う人は、人々を争わせる人である)」という言葉もあり、ユタを買う行為自体が問題の元となる事も多い。

[編集] ユタが利用されている事例

  • 宮古島では現在でも、海開きやトライアスロンの時はユタが集団で神に祈り、踊りをし、行事の無事を祈っている。

[編集] 科学的な検証

本物のユタが能力を発揮するとき、右脳が通常では考えられない異常な状態になることがわかっている。具体的には、論理的な言葉を話すときに活性化すると言われている左脳がほとんど活動を止め、逆に右脳が活性化して論理的な言葉を発している状態になる。この原因は解明されていない[2]

[編集] ユタが登場する映画

[編集] 脚注

  1. ^ 「沖縄に5000人いる! 霊媒師「ユタ」って何?―お祓い中、中学生5人体調不良で病院へ」夕刊フジ2008年10月27日配信
  2. ^ NHKスペシャル『驚異の小宇宙・人体2 脳と心 第6集 果てしなき脳宇宙~無意識と創造性~』より

[編集] 関連項目

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