ヤマジオウ

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ヤマジオウ
ヤマジオウの写真集
ヤマジオウの写真集
上:蕾、蕾、若葉
中:花、花、果実
下:根茎、全体、群落
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類I Euasterids I
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
亜科 : オドリコソウ亜科 Lamioideae
: ヤマジオウ属 Ajugoides
: ヤマジオウ A. japonica
学名
Ajugoides humilis (Miq.) Makino[1]
シノニム

Lamium humile (Miq.) Maxim.[2]

和名
ヤマジオウ
品種
  • シロバナヤマジオウ Lamium humile (Miq.) Maxim. f. albiflorum Sugim.[3]

ヤマジオウ(山地黄、学名: Ajugoides humilis (Miq.) Makino[1])は、シソ科ヤマジオウ属分類される多年草の1[4][5][6]シノニムLamium humile (Miq.) Maxim.[2]で、広義の[7]オドリコソウ属として扱われることもある[4][5][6]種小名humilisは、小さいを意味する[6]和名ゴマノハグサ科ジオウに似ていることに由来する[5][6]

特徴[編集]

地下茎を長く地中にのばして繁殖する[5][6]は高さ5-10 cmになり、下向きの白毛があり[5]、枝分かれしない[6]。葉は倒卵形で長さ3-7 cm、幅2-5 cm、先は円く、あらい鋸歯があり、基部はくさび形でごく短い葉柄があり、ほぼロゼット状に並んで、裏面の脈上および表面に斜上毛があり[4]、表面にしわがあり[6]、2-3対が茎の上部につく[5]

茎の先端部の葉腋に薄淡紅色の花を1-数個つける[4]花冠は長さ1.5-1.8 cm、外面に毛が多く、花喉部にも毛があり[5]、筒部は湾曲せず、下唇は5-6 mmで開出する[4]上唇は直立し、下唇は3裂する[5]は長さ7-8 mmで5中裂し、毛が多い。花期は8月[4][5]果実は4分果[6]、長さ約2 mm、鋭い3稜がある[4]

日本産オドリコソウ属(広義)の染色体基本数はx=9であることが知られていたが、基本数が複数存在していることが明らかになり、本種ではx=17も知られている[7]。染色体数および核型式は2n=34=26m+8sm[7]

分布と生育環境[編集]

山地の林内の木陰に生育するヤマジオウ

日本固有種で、本州神奈川県以西の太平洋側)、四国九州に分布する[4][5][6]

山地[4]の木陰に生育する[5][6]

種の保全状況評価[編集]

日本では環境省による国レベルのレッドリストの指定を受けていないが[8]、以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている。

脚注[編集]

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ヤマジオウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月15日閲覧。
  2. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ヤマジオウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月15日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “シロバナヤマジオウ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年8月15日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i 佐竹 (1981)、91頁
  5. ^ a b c d e f g h i j k 門田 (2013)、425頁
  6. ^ a b c d e f g h i j 牧野 (1982)、471頁
  7. ^ a b c 三浦 (2011)、26頁
  8. ^ 環境省レッドリスト2019の公表について”. 環境省. 2021年8月15日閲覧。
  9. ^ 東京都レッドリスト、ヤマジオウ”. 東京都. 2021年8月15日閲覧。
  10. ^ ヤマジオウ” (PDF). 兵庫県. 2021年8月15日閲覧。
  11. ^ レッドリストの閲覧とダウンロード”. 長野県. 2021年8月15日閲覧。
  12. ^ 大阪府における保護上重要な野生生物 レッドリスト”. 大阪府. 2021年8月15日閲覧。

参考文献[編集]

  • 門田裕一、畔上能力、永田芳男、菱山忠三郎、西田尚道『山に咲く花』(増補改訂新版)山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2013年3月30日。ISBN 978-4635070218 
  • 佐竹義輔大井次三郎北村四郎、亘理俊次、冨成忠夫 編『日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類』平凡社、1981年10月。ISBN 4582535038 
  • 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZENCID BN00811290全国書誌番号:85032603https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728467-00 
  • 三浦憲人、岩坪美兼、「日本産オドリコソウ属(広義)の細胞分類学的研究」『植物地理・分類研究』第59巻第1号、植物地理・分類学会、2011年12月、17-19頁、doi:10.24517/00053451NAID 120006580642 

外部リンク[編集]