ポルボロン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
自家製のポルボロン

ポルボロンスペイン語: polvorón)とは、スペインアンダルシア地方の伝統的な菓子である[1]複数形ポルボロネススペイン語: polvorónes[1]。市販のものは箱詰めで複数個が入っているため、複数形の名称で販売される[1]

概要[編集]

「ポルボ」は「粉」の意であり、「ロン」は崩れるの意である[2]。その名の通りに非常に崩れやすいのが特徴である[1][2]

クリスマス結婚式での定番メニューの1つであるが、年間を通して食されている[1]。結婚式で食されているのは、「ポルボロンを1個口に入れ、崩れないようにポルボロンの名を3回唱えると幸福になれる」という伝説があるためでもある[1][2][3]

歴史[編集]

元々は中東の菓子であり、800年頃にアンダルシアに伝わったとされる[1]

特徴[編集]

キャンディーのように紙で包まれている。

上述のように非常に崩れやすいため、市販品は、紙でキャンディー状に両端を捻じって個包されている[1]

製法の特徴としては、仕込みの前に小麦粉を色づく程度に焼くことで、これによってグルテンの形成が抑えられ、口の中で崩れる独特の食感が生まれる[1]。また、従来はラードを用いていたが、バターが使われるようになってきている[1]。また、何も入れないプレーンなポルボロンの他に、シナモンレモンで香り付けしたポルボロンや、ゴマアーモンドを入れたポルボロンも増えてきている[1]

作り方の例[編集]

以下に作り方の例を挙げる[1]

  1. 小麦粉(薄力粉)を天板に広げ、オーブンで色づく程度に焼いて、冷ます。
  2. 粉糖を振るいにかけ、上記の小麦粉と混ぜたのち、更にラード(またはバター)とショートニングを混ぜ合わせる。
  3. 鶏卵を加えて練る。
  4. 1センチメートルほどの厚さに、作った生地を伸ばす。
  5. 生地を片抜きし、天板に並べて粉糖を振り、オーブンで焼く。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 吉田菊次郎「アンダルシア地方」『ヨーロッパスイーツ街道-お菓子の宝庫を巡る-』時事通信社、2006年、28-33頁。ISBN 978-4788706705 
  2. ^ a b c 「美味しいお菓子でめぐる世界の祝祭」『W11 世界の祝祭: 歴史と文化に彩られた世界のお祭り&祝日を旅の雑学とともに解説』地球の歩き方、2021年、12頁。ISBN 978-4059197270 
  3. ^ 『aruco 東京で楽しむイタリア&スペイン』地球の歩き方、2022年、117頁。ISBN 978-4059200581 

外部リンク[編集]