フロント・スープレックス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
レスリングにおけるフロント・スープレックス。

フロント・スープレックスFront Suplex)は、レスリングプロレスで用いられる投げ技の一種である。アメリカ合衆国ではベリー・トゥー・ベリー・スープレックスとも呼ばれる。かつて前田日明がマスターした12種類のスープレックスの中では、ウンターグルフと呼ばれていた。

概要[編集]

投げ方は正面から相手の両腋に自らの両腕を差し込み、腰周りを両腕で抱え込んで後方にブリッジして投げる。

きれいに決まれば相手のサイドポジションを取れるが、失敗すれば相手にマウントポジションを奪われるリスクがある技である。

馳浩は、この技をそのままホールドしてフォールに持ち込めるように改良して、彼のオリジナル技「ノーザンライト・スープレックスホールド」を開発した。

プロレスにおいてはレスリング出身の選手に使い手が多い。またリック・スタイナー雪崩式の第一人者である。

マグナムTAのように横回転のような形でブリッジを利かさず横回転の投げ方をする選手もおり、この場合特にスープレックスの呼称を用いず、レスリングでの呼称であるベリー・トゥ・ベリーと呼ばれる場合が多い。

主な使用者[編集]

派生技[編集]

スロイダー
相手の片腕を巻き込んだ状態で相手の胴を両腕で抱えて投げる。なお、フロント・スープレックスおよびその派生技・類似技を総称してスロイダーと呼ぶこともある。

ノーザンライト・スープレックス[編集]

馳浩がフロント・スープレックスを元に考案した。
パワー・スープレックス
永田裕志が若手時代にフロント・スープレックスを元に考案した。後方へ大きく投げ飛ばすフロント・スープレックスで、走ってくる相手へのカウンターとして使用される場合が多い。

水車落とし[編集]

ダックアンダーで相手に組み付き、相手を肩の上にうつ伏せ(相手の頭部が後方、足側が前方に向いた状態となる)で乗せる。そのまま後方へ倒れ込み、相手を背面からマットへ叩き付ける。レッグダイブからの連携で使用されることも多い。また、倒れたときの状態のままフォールするホールド式も存在。

ダブル・アームリスト・スープレックス[編集]

かんぬきスープレックス(ダブル・アームリスト・スープレックス)
向かい合った相手の両腕を自らの両脇に抱え込んで極める(かんぬき)の状態から後方へ90度捻りを加えて反り投げつける変形スープレックス。別名ダブル・アームリスト・スープレックス。前田日明がマスターした12種類のスープレックスの中では、サルトと呼ばれていた。

ダブル・リストアーム・サルト[編集]

正面から相手の両手首を掴んだ状態で、相手の腋下に自らの頭を潜り込ませ、その状態のまま後方に反り返りながら相手を投げ、背面からマットへ落とす。曽相手を投げた状態のままブリッジを維持してフォールを奪うホールド式も存在する。

ハーフ・リストアーム・サルト[編集]

上記のダブルリストアーム・サルトの変形技。相手の片腕のみ掴んで技を仕掛ける。

魔神風車固め[編集]

マシン・スープレックスとも呼ばれる。平田淳嗣がスーパーストロングマシーンを名乗った時に考案したことにより命名。片手で相手の片腕をハンマーロックに極め、もう片方の手で相手の首をフロントヘッドロックに捕らえ、後方へ反り投げ、ブリッジしたまま相手のクラッチを維持しつつフォールをする。ユニット「魔界倶楽部」所属時代は魔界風車固めという名前で使用した。丸藤正道インプラントDDTの要領で垂直に落とす魔神風車を披露したことがある。

ハンマーロック式変形スープレックス[編集]

ハンマーロック・スープレックス・ホールド
KUSHIDAのオリジナル技。
前傾姿勢の相手の左腕をハンマーロックの体勢で相手の背中で自身の左腕でクラッチし、相手の首をフロント・ヘッドロックの体勢で自身の右脇下に抱え込んだ状態で後方へ反り投げ、そのままブリッジしてフォールを奪うハンマーロック式変形スープレックス。

サイクロラマ[編集]

マット・サイダルのオリジナル技。コーナーから雪崩式フロント・スープレックスのように後ろに反り投げ、クラッチを解かずに自分もろとも後方回転してマットに叩きつける。

関連項目[編集]