ピロール

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ピロール
構造式 ピロール
IUPAC名 1H-ピロール
分子式 C4H5N
分子量 67.09
CAS登録番号 [109-97-7]
形状 薄黄色透明の液体
密度 0.967 g/cm3,
融点 −23 °C
沸点 129-131 °C
SMILES C1=CC=CN1
出典 Kis-net

ピロール(PyrroleまたはPyrrol)は複素環式五員環芳香族化合物である。二重結合の位置が違う異性体に2H-ピロール3H-ピロールがある。

性質[編集]

特異臭を有する薄黄色透明の液体で、水に溶けにくく有機溶媒に溶ける。濃塩酸などとの反応により重合する。

ピロールは窒素原子を含むが、その塩基性アミンピリジンに比べてはるかに低い。これは窒素原子のもつ孤立電子対が環全体に非局在化されているためである。

ピロール環[編集]

分子内にピロールを部分構造として含む化合物は非常に多く、この構造をピロール環と呼ぶ。

ピロール環4個が炭素原子1個ずつをはさんで結合した環(テトラピロール環と総称する)には、ヘムヘモグロビンシトクロムに含まれる)のポルフィリン環クロロフィルのクロリン環、ビタミンB12のコリン環などがある(多くは内部に金属キレートしている)。またビリルビンやフィコビリン(光合成色素であるフィコシアニンフィコエリスリンなどの発色団)はピロール環が4個直列した構造(開環テトラピロール)を持っている。これらテトラピロール化合物は生体内物質に多く、また二重結合が多数共役しているため可視光を吸収し特有のを示すものが多い。

さらに多数のピロール環を結合した合成化合物ポリピロールは導電性を示し有機金属や有機半導体の材料ともなる。

ポリピロールは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの一種であるドデジルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加したピロール水溶液のステンレス電極による電解重合によって陰極に得られる。この時、ドデジルベンゼンスルホン酸ナトリウムには電解液としての働きと、ポリピロールに電導性を付与するドーピング剤としての2つの役割がある(なお、この時ドーピングされるのはアニオンであるドデジルベンゼンスルホン酸イオンである)。ポリピロール自体は鉄塩などの酸化剤によるピロールの化学的酸化でも得られるが、自立したポリマーフィルムとして得るには、電気化学的酸化による不活性電極下による電解重合による方法しかない。

関連項目[編集]