バーチャルアナログ音源

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バーチャルアナログ音源(バーチャルアナログおんげん)とは、モデリング合成音源の一種で、DSPを用いて、アナログシンセサイザーのシミュレーションを行うデジタル音源。物理モデル音源とは明確に区別される。

概要[編集]

バーチャルアナログ音源は、アナログシンセサイザーの音声合成プロセスをDSPによって再現している以下のようなシンセサイザーと定義される。

  • オシレータ波形がPCMを廃した、リアルアナログ時代の基本に立ち返った基本波形であること
  • つまみの数は概ね16個以上備えていること(つまみが少ない物はワークステーションと呼ばれる)[1]
  • PCMシンセでは簡素化された、リアルアナログ並みの音色パラメータ操作I/Fの拡充
  • DCO+DCF+DCAセクションで音を作るシンセサイザー


アナログシンセサイザーは電圧や室温など外部環境に影響されて音程が変わることがあるが、バーチャルアナログ音源は外部環境の影響を受けない。また、アナログシンセサイザーは内部を構成している部品が経年劣化を起こすことがあり、また発売時期が1970年代のものが多いことから純正部品の入手が容易でなく、メンテナンスを必要とするものも多い。バーチャルアナログ音源は内部の集積回路化が進んでいることから上記のメンテナンスの問題が少なく、また比較的軽量で可搬性に優れている。音色においては、初期のころはまだDSPの性能も高くはなく、計算処理アルゴリズムの技術の限界もあり、デジタルくさい音になったり、デジタルならではのノイズが出るなど、一聴しただけでバーチャル音源と判別可能な程の違いがあったが、2000年代以降からはコンピュータ技術の劇的な進歩とそれを活かしたシミュレーションアルゴリズムによってその差は僅かなものとなってきている。そして、商業向けに音楽制作を行う業界人だけでなく、趣味で音楽制作を行う一般人でも購入できる程度に安価にもなった。

クラビア 社のNord Leadシリーズやローランド・JP-8000、JP-8080、GAIA、SH-32、JD-800コルグ・MS2000、MS2000R、MicroKORGなどが有名。また近年では、バーチャルアナログ音源とPCM音源を組み合わせた新世代音源としてローランド・V-synth、V-synthXT、V-synth GT、JUPITER-80、JUPITER-50、INTEGRA-7、コルグ・Radias、Radias-R、KingKORGなどが登場してきている。これらはアナログシンセサイザーのノコギリ波・矩形波・三角波といった波形以外に複雑な波形をモデリングできたりPCMと合成するといった、デジタルとアナログを組み合わせたような音を作ることができる。特にPPG WAVEやDW8000はデジアナを呼ばれることもある。

最大同時発音数は生楽器もシミュレートする一般的な物理モデル音源に比べて多く、5 - 20同時発音が可能なものが多い。また、AN音源ヤマハ独自のバーチャルアナログ音源の名称であり、AN1xやAN200、PLG150-ANがその音源を搭載している。クラビアのNord Lead3やヤマハのAN1xなど一部の機種は簡易的なFM音源機能を備えたものもある。

DSPの代わりにソフトウェアを用いてアナログシンセサイザーの音声合成プロセスをシミュレートしたソフトウェア・シンセサイザーも存在する。PCの処理速度の向上を背景に、2000年頃からVSTインストゥルメントなどのプラグインシンセサイザーが普及してきている。ごく簡単なものから過去の名機を再現したものまで、数多くのプラグインシンセサイザーのバリエーションが存在する。

脚注[編集]

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  1. ^ Buzzer, H.E.. The Fart of Synthesizer. 250. 

関連項目[編集]