ナガ (カマリネス・スル州)

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ナガ市の位置

ナガ市(Naga City、ビコル語: Ciudad nin Naga、フィリピン語: Lungsod ng Naga)はフィリピンの中部、ルソン島南部のビコル半島に位置する都市。ビコル地方カマリネス・スル州に属する。首都マニラからは南東へ377km、中部の中心セブ市からは北東へ380kmの距離にある。1573年に開市。面積は84.48 平方km、人口は2000年の調査で137,810人。27のバランガイ(町、集落)がある。

ビコル地方の他の都市に比較して面積こそ小さいが、ナガ市は商業、金融、教育、宗教、文化におけるビコルの中心都市である。市民は「Nagueños」と呼ばれる。ナガ市は急速に拡大する「メトロ・ナガ」大都市圏の中心で、14の自治体とナガ市がメトロ・ナガ開発委員会に属している。メトロ・ナガはカマリネス・スル州の第2地区全体を含み、第1、第3、第4地区にもまたがっている。

ビコル半島の中心にあり、ナガ川とビコル川の合流点にあり、四方を豊かな農地や森林や漁場に囲まれたナガは、理想的な交易中心地であり農産物の集散地でもあった。また教会や政府、学校がここに置かれたのも必然的といえる。

歴史[編集]

スペイン人植民者到来前は、この街はすでにナガ川沿岸の繁栄する村であった。周囲と比較して武装や文化も卓越したものがあった。スペイン人の支配が始まると、ナガは数百年にわたり交易・教育の中心となり、ビコルを管轄する政府や教会の本拠となった。

1573年、フィリピンを征服したミゲル・ロペス・デ・レガスピの副官、フアン・デ・サルセード(Juan de Salcedo)は、この地に対する二度目の遠征でこの村に到達し、カリン(ビコル語でナガ Naga)の木が多いことから「ナガ」と名づけた。1575年、サルセードがこの地に置いた部隊の指揮官ペドロ・デ・チャベス(Pedro de Chávez)は、元のナガの村から川の反対にあたる現在の都心部にスペイン式の都市、シウダード・デ・カセレス(Ciudad de Cáceres)を築いた(カセレスの名は、フィリピン総督フランシスコ・デ・サンデ Francisco de Sande の生まれ故郷、スペインのカセレスを記念したものだった)。1595年8月14日ローマ教皇の教書には、セブ市やヌエバ・セゴビアとともにカセレス司教管区の設立と新しい司教座をカセレスに置くことが書かれている。

この時期、植民都市と元の村は一つに融合し、一般にヌエバ・カセレス(Nueva Cáceres)として知られるようになった。スペイン法に基づく市政府も誕生した。17世紀はじめには、フィリピンにはヌエバ・カセレスの他に市は5つしかなかった。ヌエバ・カセレスはアンボス・カマリネス州(Ambos Camarines、両カマリネス)の、後にはカマリネス・スル州の州都となった。これはフィリピン共和国発足後、ナガ独立市(independent chartered city)が公式に誕生するまで続いた。

スペイン支配時期、カセレスの司教はフィリピンのカトリックの序列の中でも特殊な地位にあった。ローマ教皇グレゴリウス13世の教書の力により、スペイン領東インド(フィリピンなど)で起こった教会での問題は、通常なら教皇に上告できるところだがヌエバ・カセレスで最終決定を行いローマには上訴しなくてよいということになった。このためマニラの大司教の決定でもカセレスの司教の審査を経る必要があり、ビコルの司教は教皇の代理としてフィリピンの教会でも最上の地位にあると見られた。このためマニラ大司教とカセレス司教はしばしば衝突を起こしている。

アメリカ支配の到来で、カセレスは町に格下げされた。1919年、街はスペイン名を失い、公式にナガと言う名になった。現在の市としての地位は1948年に得たものである。

文化[編集]

ナガの先住民は、スペイン人到来前は独自の文化と宗教を持っていた。現在のナガでは、聖母マリアのための祭典、「Feast of Nuestra Señora de Peñafrancia」(ペニャフランシア・フェスティバル)が毎年9月に行われる。フィリピン最大の聖母マリアのための祭典は、地域の崇敬を集める聖母マリア像(ペニャフランシア像)を、通常安置されている教会(Peñafrancia Basilica Minore)から400年の歴史を持つナガ・メトロポリタン聖堂へ運ぶ行進から始まる。聖堂でのノベナ(9日間の祈り)のあと、市民はパレード、市街地でのパーティー、歌唱コンテスト、展覧会、コンサート、その他を楽しむ。最後に9月の第3土曜日、ペニャフランシア像は人々に担がれ、ナガ川を船でパレードしてもとの教会へ戻る。

商業と教育[編集]

ナガはビコルにおける金融と産業の中心地で、多くの銀行や企業が支店を置く業務中心地域が市内に複数ある。商業施設も多く、ファッションやライフスタイルの中心になるビルや3つのショッピングモール、古くからの地元の市場も多くある。

大学は3つある。イエズス会系のアテネオ・デ・ナガ大学(Ateneo de Naga University)、宗派に関係がなく登録数ではビコル最大の大学ヌエバ・カセレス大学(University of Nueva Caceres)、およびサンタ・イサベル大学(Universidad de Santa Isabel)は極東最古の女子学校である。その他、第4の大学といえるナガ・カレッジ・ファウンデーションがあるほか、マニラの大学の分校、各種専門学校も多い。

交通[編集]

ナガは陸上交通および航空が便利である。近くにあるカマリネス・スル州の州都ピリにはナガ空港があり、マニラの国内線専用空港へは35分から45分で着く。マニラからレガスピ行きの列車は2006年の水害により運休となっていたが、新たにJR東日本から譲渡された車輌を使用し、2011年にナガまでの運行が再開している。レガスピまでの運行再開次期は未定。通常はハイウェイで8時間から10時間ほどの道のりである。セブ市からは船便だと、ビコル最南端のソルソゴン州までのフェリー経由で22時間かかる。

外部リンク[編集]