ゼロ距離発進

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ゼロ距離発進を行うF-100D

ゼロ距離発進(ゼロきょりはっしん Zero length launch)とは、垂直離着陸機ではない航空機がほとんど滑走せずに離陸すること。そのシステムはzero length take-off systemからZLL、ZLTO、ZEL、ZELLなどと略称される。

ZELLが特に注目されたのは、「航空機が離陸する間もなく航空基地が核攻撃を受ける」と考えられていた冷戦期の戦闘機発進方法としてであった。敵機の攻撃に際し短時間で離陸・迎撃をするためと、滑走路が使用不能時においても作戦行動を取れるようにするためである。戦闘機にロケットブースターを装備するものであり、その機体はレール(動力付ならばカタパルトとなる)上にセットされる。機体本体のジェットエンジンおよびロケットブースターの推力によりごく短時間に大きく加速され、離陸が行われる。

離陸においては滑走路を必要としないが着陸には滑走が必要であり、滑走が出来ない所から離陸すれば発進した所に戻れなくなるという問題がある(着陸するために他の滑走可能な場所に着陸すれば、ゼロ距離発進が必要な離着陸滑走の出来ない場所に戻るには地上輸送となり即応性がなくなる)。また、ごく短い距離でも離陸滑走できる状況であれば、同じくロケットブースターを使用するJATORATOと呼ばれる方法で同様の効果が得られるため、ゼロ距離発進する必要はない。

1950年代から60年代にかけて、アメリカ空軍、西ドイツ空軍、ソ連軍などで実験が行われ、離陸技術に関しての問題は少なかった。しかし、大型ロケットブースターなどの費用面と即応性に優れた誘導ミサイルの発達などにより、実用化にまでは至らなかった。

  • ZELLの試験が行われた機体
    • F-84:アメリカ空軍、1953年。
    • F-100:アメリカ空軍、1957年。
    • F-104:西ドイツ空軍、1963年。
    • MiG-19:ソ連軍。

参考文献[編集]

  • Aviation Management: Global Perspectives,K.C. Khurana,Global India Publications Pvt Ltd P147 ISBN 9789380228396

外部リンク[編集]