キャビテーション数

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キャビテーション数(キャビテーションすう、: Cavitation number)とは、流体力学において、キャビテーションの解析に用いられる無次元数である。主にポンプ、水配管油圧機器など、液体を用いる流体機械の解析で用いられる。

定義[編集]

キャビテーション数Ca は液体の圧力と蒸気圧の差を無次元化したもので定義され、次式で表される:

ただし

  • p - 絶対圧力
  • pv - 蒸気圧
  • 12ρu2 - 代表圧力(動圧
    • ρ - 流体の密度
    • u - 流れの代表速度

である。

性質[編集]

キャビテーション数が小さいほど、キャビテーションが起こりやすい。そのため、以下のことが言える。

  • 流れの代表速度が速いほど、キャビテーションが起こりやすくなる。
  • 一般に、温度が高いと蒸気圧は上がるため、キャビテーションが起こりやすくなる。

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配管の流れにおいて、大気圧p 、圧力が大気圧となる場所での速度を0とする。キャビテーションが起こるならば、発生点での圧力は蒸気圧pv だから、その点における速度をu とするとベルヌーイの定理より、重力および圧力損失を無視して

が成り立つ。この式を変形し、キャビテーション数の定義を代入すると

を得る。すなわち、キャビテーション発生点でCa = 1であり、Ca < 1ならばこの配管系においてキャビテーションが発生することがわかる。

一般の流れの場合は、圧力損失や流路の形、代表速度のとり方などに応じて発生点でのキャビテーション数は1とは異なる値をとる。

関連項目[編集]