カテナリー曲線

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媒介変数 a のいくつかの異なる値に対するカテナリー曲線の例
カテナリー(赤)と放物線(青)

カテナリー曲線(カテナリーきょくせん、catenary)または懸垂曲線(けんすいきょくせん)または懸垂線(けんすいせん)とは、ロープ電線などの両端を持って垂らしたときにできる曲線である。カテナリーの名はホイヘンスによるもので、"catena" (カテーナ、ラテン語で「鎖、絆」の意) に由来する。カテナリー曲線をあらわす式を最初に得たのはヨハン・ベルヌーイライプニッツらで、1691年のことである。

曲線の方程式[編集]

懸垂線の意味から、それは唯一つの頂点を持ち、頂点における法線を軸として線対称であるものと仮定することになる。そのうえで、曲線は一様の質量密度を持ち、それに伴って曲線自身の自重が各点の張力を決定するものとして、微分方程式をつくり、その解曲線としてカテナリーの数学モデルを定式化することができる。

カテナリー上で頂点からの弧長s0 であるような点 (x0, y0) において、その接線が x 軸の正の向きと成す角を θ0 と置いたとき、この点に掛かる張力 T0s0 に比例し、T0 の鉛直成分 T0sin(θ0) は重力 g(に曲線の質量密度 w を掛けたもの)と釣り合っている。水平方向の釣り合いを考えれば T0 は 1/cos(θ0) に比例する必要があるので、結局のところ適当な比例定数 l, k などを入れて

\begin{cases}
  T_0=ls_0\\
  T_0\sin(\theta_0)=wg\\
  T_0=k/\cos(\theta_0)\\
  \tan(\theta_0) = \left.\frac{dy}{dx}\right|_{x=x_0}\\
  s_0 = \int_0^{x_0} ds & (ds = \sqrt{dx^2 + dy^2})
\end{cases}

という条件が得られる。これを解いて、カテナリーの標準的なモデルは

y = a\,\mathop{\rm cosh}\!\left( \frac{x}{a} \right) = a\!\left({e^{x/a} + e^{-x/a} \over 2}\right)

という形に書くことができる。これが双曲線関数 y = cosh(x) と相似であることは直ちにわかる。またこのモデルは、y 軸を対称の軸とし、この軸と頂点 (0, a) で直交する。頂点 (0, a) の十分近くでは

y=a + \frac{x^2}{2a}

という放物線によって近似される。

実例[編集]

重力下で左右二つの支持物によって張られた、柔軟な線状のもののたるみ(弛度)をあらわす曲線であり、送電線など日常の多くのものに見ることができる。空中架線方式の電気鉄道においてはカテナリーという語でトロリ線(パンタグラフやポールなどに直接接触し給電する裸電線のこと。詳細は架空電車線方式の記事を参照)を指す場合がある。

斜張橋のケーブルもカテナリーになる。吊り橋に多く見られる、メインケーブルからハンガーロープで構造を吊ったものでは、メインケーブルは、カテナリーと放物線の中間の形状になる。

アーチ橋のような構造について考える。アーチ橋を、カテナリーを重力方向について上下逆向きにした形状にすると、通常のカテナリーの逆に、全ての部材に均等に圧縮力がかかることになり、力学的に安定する。このためカテナリーを逆にした形状もまた、建築・橋梁において用いられる。著名なものではガウディの建築が、しばしば「放物線状」としてそのスタイル(風体)を指して言及されるが、実際には「逆さ吊り模型」と称した模型をデザイン(設計)に用いており、カテナリーを利用したものである。

自然界では、蜘蛛の巣のそれぞれの糸も、両端の接点で支持されて張られており、カテナリーになっている。

電線[編集]

電力線などを敷設する場合、使用する電線の長さは電線は自重によるたるみを考慮し、実際の径間よりも長い電線を用意する必要がある。このとき、径間 S [m]、電線長 L [m]、たるみ D [m]、電線の水平張力を T [N]、電線 1 [m]あたりの重量を W [N/m]としたとき、双曲線関数 sinh, cosh などを用いると、それぞれの関係は、

  • L = 2C × sinh(S / 2C)
    C = T / WCカテナリ数と呼ばれる)
  • L = S + (8 × D2) / (3 × S) (近似式)

このとき、電線とたるみの長さは、支持点からの引張力や、電線の重さによっても変化する。たるみは以下のようになる。

  • D = C(cosh(S / 2C) - 1)
  • D = (W × S2) / (8 × T) [m] (近似式)

脚注[編集]

  1. ^ [1]

関連項目[編集]