斜張橋

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多々羅大橋

斜張橋(しゃちょうきょう)は、の形式のひとつで、塔から斜めに張ったケーブルを橋桁に直接つなぎ支える構造のもの。

ケーブルを利用し吊って支えることから、広義には吊り橋の一種と言える。しかし狭義には、すなわち土木工学分野、橋梁工学分野では吊り橋とは区別される。斜張橋はこの狭義の吊り橋(以降、単に吊り橋と記す)に次ぐ支間長(スパン、塔と塔の間隔)を得られる。

目次

[編集] 歴史

サンダイアル歩道橋、カリフォルニア州レディング。サンティアゴ・カラトラヴァの設計による

西洋では、中世ヨーロッパの城の城門にある巻き上げ式跳ね橋が斜張橋と言える。日本では、祖谷のかずら橋にその原型を見ることができる。

近代的な斜張橋は戦後、ドイツでライン川に架けられたものとされる。少ない材料で多数建造するのに適していたからとされる。

ただケーブルにかかる負荷の計算など構造解析が難しく永らく小規模なものに止まっていた。しかし20世紀終盤から現代にかけコンピュータシミュレーション技術などの進歩により急速に発展し長大な橋が生まれつつある。

本四連絡橋の一つ多々羅大橋は当初、吊り橋で計画されたが、途中で斜張橋に変更された。同じ本四架橋で初期に建設された吊り橋大鳴門橋の中央径間 (876 m) を超える890 mを実現し、世界最長の斜張橋となっている。

またケーブルの張り方が均等でない、塔が斜めであるなどの特殊な形状のものも可能となってきている。 たとえばアメリカのサンダイアル(日時計)橋は、斜めに傾斜した塔の片側だけにケーブルが張られており、その名の通り傾いた塔が日時計となっている。また東京のかつしかハープ橋は、川を斜めに渡るため、橋桁すなわち路面がS字型という特殊な形状をしている。

[編集] 吊り橋との相違

両者の形状比較

どちらもケーブルの張力を利用した吊り構造という点では同じである。大きく異なるのは、斜張橋が塔と桁をケーブルで直結しているのに対し吊り橋は塔の間にまず渡したメインケーブルがありそこから垂らしたハンガーロープで桁を吊っていることである。このため、吊り橋では桁には鉛直方向の力のみが作用するが、斜張橋ではこれに加えて橋軸方向の圧縮力が作用する。吊り橋では両端にアンカーレッジ(橋台)というメインケーブルを繋ぎとめる重しがいるが、斜張橋では桁に作用する圧縮力とケーブルに作用する引張力が塔の左右で釣り合うため不要である。

また同じスパンの場合、塔の高さは斜張橋の方がやや高くする必要がある。

[編集] 構造

ケーブルの張り方
手前、新尾道大橋(ハープ型)
後方、尾道大橋(放射型)

[編集] 主塔

ここから張られたケーブルで桁をささえる。塔は2本であることが多いが1本の場合、3本以上の場合もある。塔の形状はさまざまで一本の柱状、吊り橋と同様の2本組、塔の上部をすぼめた逆Y字形やA字型など各種存在する。塔には圧縮力のみが作用する。材料は鉄筋コンクリート(RC)が用いられることが多い。

[編集] ケーブル

斜材ともいう。主塔と桁を繋ぎ桁を支える。構造上、塔から左右に張られたケーブルと桁でバランスをとるため吊り橋のような両端のアンカーレイジは不要である。
ケーブルの張り方にはいくつか種類がある。
    • 側面形では、塔の先端で全てのケーブルをまとめた放射形式、少しずつずらしたファン形式、さらにずらしケーブル同士が平行に張られたハープ形式などがある。放射型はケーブルの塔頂でのとりまとめ構造が複雑になるのでケーブルの本数の少ない小型の橋にしか用いられない。主観の問題ではあるが美しさではハープ型が最良とされている。
各形式の例
ケーブルの本数も設計上の自由度がある。本数を少なくしたほうが構造計算が容易になる。本数を多くしたほうがケーブル1本あたりに作用する力は小さくなる。

[編集]

橋桁あるいは主桁ともいい、人や車が通行する部分である。形状はトラスや箱形があるが近年のものは箱形が多い。
塔の左右でバランスをとるため、一般的には、主塔2本の場合側径間と中央径間の長さの比を1:2、主塔1本の場合は1:1とする。ただし生口橋などは側径間をコンクリート構造、中央径間を構造とすることで主径間の比を大きくしている(鋼よりコンクリートのほうが比重が大きいため)。

[編集] 世界の斜張橋

以下、長さは中央径間である。

蘇通大橋 中国 1088 m 2008年
昂船洲大橋 香港 1018 m 2009年
多々羅大橋 日本 890 m 1999年
ノルマンディー橋 フランス 856 m 1993年
南京長江三橋 中国 648 m 2005年
南京長江二橋 中国 628 m 2001年
武漢白沙長江大橋 中国 618 m 2000年
青州閩江大橋 中国 605 m 1996年
楊浦大橋 中国 602 m 1993年
リオン・アンティリオン橋 ギリシャ 560 m 2003年
高屏溪斜張橋 台湾 330 m 1999年

中国では1000 m超の橋が他にも計画されている。

[編集] 日本の斜張橋

たっぷ大橋 (北海道石狩郡新篠津村~岩見沢市)
多々羅大橋 瀬戸内しまなみ海道 広島県愛媛県 890 m 1999年
名港中央大橋 伊勢湾岸自動車道 愛知県 590 m 1998年
矢部川大橋 有明海沿岸道路 福岡県 517 m 2009年
鶴見つばさ橋 首都高速湾岸線 神奈川県 510 m 1995年
生口橋 瀬戸内しまなみ海道 広島県 490 m 1992年
東神戸大橋 阪神高速5号湾岸線 兵庫県 485 m 1994年
女神大橋 ながさき女神大橋道路 長崎県 480 m 2005年
横浜ベイブリッジ 首都高速湾岸線・国道357号 神奈川県 460 m 1991年
櫃石島橋 瀬戸中央自動車道JR瀬戸大橋線 香川県 420 m 1988年
岩黒島橋 瀬戸中央自動車道・JR瀬戸大橋線 香川県 420 m 1988年
名港東大橋 伊勢湾岸自動車道 愛知県 410 m 1998年
名港西大橋 伊勢湾岸自動車道 愛知県 405 m 1986年
大和川橋梁 阪神高速4号湾岸線 大阪府 355 m 1983年
天保山大橋 阪神高速5号湾岸線 大阪府 350 m 1986年
大島大橋 大島大橋有料道路 長崎県 350 m 2001年
舞鶴クレインブリッジ 京都府 350 m 2000年
美原大橋 国道337号美原バイパス 北海道 340 m 2005年
たっぷ大橋 北海道道81号岩見沢石狩線 北海道 281 m 2004年
小鳴門大橋 徳島県道11号鳴門公園線 徳島県 280 m 1997年
十勝中央大橋   北海道 250 m 1988年
末広大橋 徳島県道29号徳島環状線
旧徳島県道211号津田安宅線
徳島県 250 m 1976年
豊田アローズブリッジ 伊勢湾岸自動車道 愛知県 235 m[1] 2005年
清砂大橋 放射16号 東京都 230 m 2004年
かつしかハープ橋[2] 首都高速中央環状線 東京都 220 m 1987年
尾道大橋 国道317号尾道大橋有料道路 広島県 215 m 1968年
新尾道大橋 瀬戸内しまなみ海道 広島県 215 m 1999年
坂東大橋 国道462号 群馬県埼玉県 200 m 2004年
東名足柄橋 東名高速道路 静岡県 185 m 1991年
石狩河口橋 国道231号 北海道 160 m 1976年
ときめき橋 北陸自動車道 新潟県 372 m[3] 1994年
勝瀬橋 神奈川県 128 m 1959年[4]

[編集] 脚注

  1. ^ 全長820 m。最大支間長は235 m
  2. ^ 世界初の曲線斜張橋
  3. ^ 但し全長
  4. ^ 日本初の斜張橋

[編集] 参考資料

  • 藤川寛之 『本州四国連絡橋のはなし-長大橋を架ける-』 財団法人交通研究協会発行、成山堂書店、2002年8月。ISBN 978-4425761111

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク