イランイラン

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イランイランノキ
Ylang Cananga odorata.JPG
イランイランノキ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: モクレン目 Magnoliales
: バンレイシ科 Annonaceae
: イランイランノキ属 Cananga
: イランイランノキ C. odorata
学名
Cananga odorata
(Lam.) Hook.f. & Thomson[1]
和名
イランイランノキ
植物画

イランイランは、バンレイシ科イランイランノキ属イランイランノキ(学名:Cananga odorata)のこと。

植物[編集]

イランイランノキは平均12メートル(人の背丈から10メートル以上まで)の樹高に達する。直射日光あるいは部分光によって生育し、原産地である熱帯多雨林の酸性土を好む。葉は長くなめらかで光沢がある。花は黄緑色あるいは淡紅色で、ヒトデのように巻き上がり縮れた形状。香り高い精油やアブソリュートを得ることができる。

イランイランという語はタガログ語 (ilang-ilang) に由来し、「花の中の花」という意味である。

インドネシアには新婚夫婦のベッドの上にイランイランの花を散らす風習がある。

精油の利用[編集]

精油は花を水蒸気蒸留法で抽出して得る。抽出時間によって、エクストラグレード(特級)、ファーストグレード(1級)、セカンドグレード(2級)、サードグレード(3級)の4等級に区分される。グレードが高いほど良質で少量しか抽出することができない。有機溶剤抽出法でアブソリュートが得られる。イランイランの主要な香気成分はアントラニル酸メチルリナロールゲラニオール酢酸ベンジル安息香酸メチルである[要出典]。どのグレードの成分割合も非常に不安定である。また、カナンガ精油、ガージャンバルサム精油、コパイパ精油、ペルーバルサム、合成成分などを添加したり、少量のエクストラグレードの精油と低グレード精油を混ぜるなどの偽和が行われている。そのため、市販される精油の実際の毒性や生物活性(効能)は不明である[2]

香りは抽出法、グレードなどによって異なる。蒸留法で得られる精油は、甘いフローラル調のジャスミンアブソリュートとアーモンド油をブレンドしたものを思わせる香りで[3]、最高級品「エクストラ」のフェードアウトは、やわらかく甘い、かすかにスパイシーでバルサム調の芳香を放つ。「グッドエクストラ」は、独特のクリーミーな香調、グレード「No.3」は甘い花の香りとバルサム様のウッディな香りがする。イランイランアブソリュートは他のどの精油よりも強いフローラルな香りで、「貧乏人のジャスミン」としても知られる。エクストラグレードのイランイラン精油と共に香水で多用され、特に重厚なオリエンタル調あるいはフローラル調のものに用いることが多いが、どのような精油や香気成分とも相性が良く、さまざまにブレンドされる。また、香料として多くの食品、飲料に添加されている[2]

専ら香料として利用されてきたが、近年ではアロマテラピーでも広く使われ、中枢神経をリラックスさせる効果があると言われ、また興奮、陶酔の作用、抗抑鬱作用、催淫作用もあると唱えられている[3]。科学的にはリラックス作用ではなく刺激作用が確認され、香りの吸引で鬱状態が軽減される可能性がある[2]。低濃度の場合、リラックス作用が認められる。強い香りは悪心や頭痛を引き起こす場合がある。精油には高い皮膚感作性が認められる[2]

主な原産国にはコモロフィリピンマダガスカルセイシェルインドネシアなどがある。その中でもコモロがイランイランの精油の全産出量の29%を占めている(1998年)[要出典]

出典[編集]

  1. ^ Thomas Thomson (1817-1878) botanist or Carl Gustaf Thomson (1829-1899) entomologist
  2. ^ a b c d マリア・リス・バルチン 著 『アロマセラピーサイエンス』 田邉和子 松村康生 監訳、フレグランスジャーナル社、2011年
  3. ^ a b クリシー・ワイルドウッド 著 『アロマテラピーの精油でつくる自然香水』 高山林太郎 訳、フレグランスジャーナル社、1996年

参考文献[編集]

  • マリア・リス・バルチン 著 『アロマセラピーサイエンス』 田邉和子 松村康生 監訳、フレグランスジャーナル社、2011年
  • 『アロマテラピー検定テキスト(1級・2級)』 日本アロマ環境協会[要出典]