イアン・カラム

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イアン・カラム
イアン・カラム、2013年11月
生誕 1954年7月30日
ダンフリーズ、スコットランド
国籍 イギリス
職業 カーデザイナー
雇用者 ジャガー (自動車)
公式サイト
www.iancallum.com

イアン・カラム(Ian Callum、1954年 - )はフォード・モータートム・ウォーキンショー・レーシング TWR、アストン・マーチンでデザイナーとして働き、現在はジャガーのデザインディレクターを務める英国のカーデザイナーである。 弟のモーレイ・カラムフォード・モーターのデザイン本部長を務めるカーデザイナーで、2001年から2005年にかけてマツダのグローバルデザイン本部長も務めていた。

略歴[編集]

若年時代[編集]

カラムは1954年スコットランドダンフリーズに生まれた[1]1968年(14歳)に職を得ることを期待してジャガー宛に自動車デザイン案を送付した[1]ランチェスター科学技術大学(現在のコヴェントリー大学)のSchool of Transportation Designとアバディーン大学College of Arts and Social Sciencesで学んだあと、グラスゴー芸術学校でインダストリアルデザインの学位を得た。次いで美術系大学院大学であるロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)で自動車デザインの修士号を得た。

フォード時代[編集]

1979年から1990年までフォード・モーターに在籍。ダントン、日本、イタリア、オーストラリアに勤務する。デザインしたのは「自動車の小さな部品、ほとんどはステアリング・ホイール[2]フィエスタモンデオなどやや平凡な車と同時に、RS200や欧州部門でのフォード・エスコートなどフォードブランドのイメージを構築する重要な車種のデザインにも貢献した。カラムはRCAの同級生であるピーター・ホーブリーとの共作である後者の仕事を特に誇りに思っているという[2]

その後トリノカロッツェリア・ギアのデザインスタジオでViaZig、そしてZagといったショーカーのコンセプトをデザインした。

TWRデザイン時代[編集]

11年にわたるアメリカの大企業勤めののち、1990年にフォードを退社しトム・ウォーキンショーピーター・スティーヴンスマクラーレン・F1のデザインで有名)共にTWRデザインを立ち上げる。

フォード時代の同僚がTWRデザインで働く私に会いに来たよ。至れり尽くせりのフォードの巨大デザイン部門を去ってこんなキドリントンのブリキ小屋に移って、こいつは完全に頭がイカれたんだとみんな思ってたようだ。でも私はかつてないほど幸せだった、自分のやりたいことをやっていたから[3]

1991年にはTWRデザインのチーフ・デザイナー兼ジェネラル・マネージャーに就任した。おそらく彼の最も有名な作品であるアストン・マーチンDB7はこの時期にデザインされた。ヴァンキッシュやV型12気筒のDB7ヴァンテージ、プロジェクト・ヴァンテージコンセプトカーも彼によるデザインである。 それに加えTWRデザインのクライアントであるボルボマツダHolden Special Vehicles英語版への幅広いデザインプログラムの責任者でもあった。 1998年には日産・R390をデザイン[4]

ジャガー時代[編集]

1999年に故ジェフ・ローソンの後任としてジャガーのデザイン・ディレクターに就任する。この期間の前後、短期間ではあるがカラムはジャガーとアストン・マーチンというイギリスを代表する2大高級車ブランドのデザインを取りまとめていたことになる。アストンマーチン・DB9の初期デザインは後にヘンリック・フィスカーが完成させた[5]。ただこのデザインに彼がどれくらいのレベルで関わっていたかは明らかにされていない。 ジェフ・ローソンによる2001年発売Xタイプや2002年の3代目XJであるX350は開発が既に進んでいたため関わっておらず、彼の影響下にある初期の作品は2001年のコンセプトカージャガー・R-Coupe英語版と2003年のR-D6が挙げられる。 カラムの関わった最初のジャガー量産車は2004年のSタイプフェイスリフト。次に2004年のXタイプ・エステートのテイルゲートをデザインした。これらはまだローソン風のデザインを受け継いでいる。

Xタイプ、Sタイプ、そしてXJに顕著なローソン時代のレトロ趣味からの脱却を目指し、カラムは次世代のジャガーのための新しいスタイルを模索し始めた。この動きは2006年の2代目XKを皮切りに、ジャガー・C-XF英語版コンセプトカーやそれを基にした2008年のXF[6] 、そして2010年のXJへと続く[7]。XKのデザインはアストンマーチンDB9に似通っているが、カラムによるとこれは「現代の安全規定の結果」とのこと[3]。また2010年のC-X75コンセプトカーと2013年のFタイプの監修も行っている[8]。 カラムによると、「ジャガーの車はクールだと思われるべきだ、クールな車は興味深い最先端の人々を惹きつけるから」[9]。彼はインタビューなどでしばしばジャガーを「最先端で新しい車をデザインする」と方向付けており、ローソン時代までの伝統からの決別を窺わせる。

代表作[編集]

受賞歴[編集]

1995年に同郷スコットランド出身であるジム・クラーク (レーサー)メモリアル・アワードを弟とともに受賞[10]。これは毎年自動車業界に多大な功績を残したスコットランド人に贈られる賞である。受賞理由はDB7のスタイリング。 2006年には英国王立芸術協会英語版よりRoyal Designers for Industry英語版を受賞。 カラムのデザイン上の功績はル・マン24時間レースを2度制覇した同郷ダムフリーズ出身のアラン・マクニッシュが褒め称えている。 2009年に イギリスのAuto Express の開会式でパーソン・オブ・ザ・イヤーを受賞。受賞理由はXKとXF、XJのデザイン[11]。 「数々の美しい車をデザインした」功績で雑誌トップ・ギアのメン・オブ・ザ・イヤー2012の1人に選ばれている。[12]

References[編集]

  1. ^ a b Patton, Phil (2006年10月25日). “A Golden Touch That Runs in the Family”. The New York Times. 20140517閲覧。
  2. ^ a b ‘Ian Callum's Day Off…’ by Jon Smith (pp98-104), CAR Magazine, February 2007, p. 104
  3. ^ a b アンドリュー・ノークスによるイアン・カラムインタビュー [1], accessed 30 January 2007
  4. ^ Nissan R390 GT1 – Supercars.net
  5. ^ ‘Ian Callum's Day Off…’, CAR Magazine, February 2007, p. 104
  6. ^ ‘Jaguar XF’ by Gavin Green (pp44-55), CAR Magazine, February 2007, p. 48
  7. ^ Baker, Erin (2010年2月26日). “Jaguar XJ review”. The Telegraph. Telegraph Media Group. 2013年3月18日閲覧。
  8. ^ Gibson, Ken (2010年10月4日). “Jag C-X75 turns heads in Paris”. The Sun. News Corporation. 2013年3月18日閲覧。
  9. ^ Frankel, Andrew (2007年1月7日). “The cat gets some cool claws”. The Sunday Times. Times Newspapers Ltd.. 2010年2月16日閲覧。
  10. ^ The Scotsman 4 June 2006
  11. ^ Auto Express July 2009
  12. ^ Jaguar Director of Design Ian Callum honoured as a Top Gear Man of The Year 2012”. Jaguar Land Rover Media. Jaguar Land Rover (2012年12月6日). 2013年3月18日閲覧。