アルカディア

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現在のアルカディア地方

アルカディア古典ギリシア語: Ἀρκαδία / Arcadia, Arkadia)は、ギリシャペロポネソス半島にある古代からの地域名で、後世に牧人の楽園として伝承され、理想郷の代名詞となった。名称はギリシア神話に登場するアルカス(アルカディア人の祖)に由来する。英語風にアルケイディア、アーカディア、アーケイディア等と表記される場合もある。アルファベットによる綴りは「Arcadia」と「Arkadia」の2種が混在している(詳細については後述)。

実在のアルカディア地方は、現在のアルカディア県にあたる。

実在の地名[編集]

ペロポネソス半島中央部の農耕に適さない貧しい山岳地帯だが、後世、牧人の楽園との伝承が生まれた。古代アルカディア人の住地で、牧畜を主とし、マンティネイアテゲアなどのポリスがあった。前4世紀にはアルカディア同盟が成立し、中心地としてメガロポリスが建設された。

現代の行政区分ではアルカディア県に当たる。県都はトリポリである。

理想郷[編集]

理想郷としてのアルカディアのイメージ。トマス・コールの連作絵画「帝国の推移」より「牧歌的な状態」The Arcadian or Pastoral State(1836年)
ニコラ・プッサンの「アルカディアの牧人たち」(1637年-1638年)

ユートピア・理想郷・牧歌的な楽園・理想的田園の代名詞的な意味は、楽園伝承から生じた。アルカディアのほか、アルケイディア、アーカディア、アーケイディア等と表記される。

ラテン語の名言である、Et in Arcadia ego とは、「私(死神)はアルカディアにおいてでさえも、存在している」という意味であり、のはかなさとの不可避性を説いたメメント・モリの一例である。

美術[編集]

綴り[編集]

ギリシアの地名は元来「Αρκαδία」である。ギリシア語の「κ」をローマ字転写するとき、「k」と「c」が混在することとなった。現在、多くの言語ではどちらの表記も用いられている。

派生語[編集]

  • 「アルカディアの」を意味する英語「Arcadian」は、形容詞としては「牧歌的な」「純朴な」、名詞としては「アルカディア語」「アルカディア住民」を意味する。また、俗語(アメリカ英語)においては、ゲームセンターの客である(語源は異なり、「アーケードの」から来ている)。
  • カナダの地名アカディアはアルカディアが語源と言われる(現地語説もある)。