「比較優位」の版間の差分

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という形の積をいう。ここで、σは、{1, 2, ... , ''N''}の[[置換]]である。3国3財の場合、置換の数は全部で6個ある。上記ジョーンズの数値例では、A→1、B→3、C→2という特化パタンが唯一実現可能な完全特化パタンである。
という形の積をいう。ここで、σは、{1, 2, ... , ''N''}の[[置換]]である。3国3財の場合、置換の数は全部で6個ある。上記ジョーンズの数値例では、A→1、B→3、C→2という特化パタンが唯一実現可能な完全特化パタンである。


労働のみが投入される経済では、ジョーンズの条件により特化パタンが定まるが、投入財が貿易される場合、比較優位の概念は定義ができない。ディアドルフは、いくつもの定義を与えているが、どれも完全なものではない<ref name="Deardorff">{{Cite journal||last=|first=|author=Alan V. Deardorff|authorlink=|coauthors=|date=2005-11|year=|month=|title=How Robust is Comparative Advantage?|journal=Review of International Economics|volume=13|issue=5|page=|pages=1004–1016|publisher=John Wiley & Sons|location=|doi=10.1111/j.1467-9396.2005.00552.x|pmid=|pmc=|naid=|oclc=|issn=0953-8259|isbn=|id=|url=http://fordschool.umich.edu/rsie/workingpapers/Papers526-550/r537.pdf|format=PDF|accessdate=|quote=}}</ref>。これは、きわめて不充分な理論状況である。イギリスの産業革命は綿花の輸入によって可能になったし、日本は、幕末開国以来、加工貿易が基本であった。マッケンジーは1956年の論文<ref>Lionel W. McKenzie, Specialization in Production and the Production Possibility Locus, ''Review of Economic Studies'' '''23'''(3): 56-64, 1956.</ref>で、「特化に関する古典的扱いの基本的な誤謬は、... 中間財貿易を無視したことである」(同所、p.56)と指摘しているが、[[塩沢由典]]の研究<ref name="Shiozawa_p">{{Cite journal||last=|first=|author=Yoshinori Shiozawa([[塩沢由典]])|authorlink=|coauthors=|date=2007-3|year=|month=|title=A New Construction of Ricardian Trade Theory / a many-country, many-commodity case with intermediate goods and choice of production techniques|journal=Evolutionary and Institutional Economics Review,|volume=3|issue=2|page=|pages=141–187|publisher=[[進化経済学会]]|location=|doi=|pmid=|pmc=|naid=|oclc=|issn=|isbn=|id=|url=http://www.researchgate.net/profile/Yoshinori_Shiozawa/publication/233943493_A_New_Construction_of_Ricardian_Trade_Theory--A_Many-country_Many-commodity_Case_with_Intermediate_Goods_and_Choice_of_Production_Techniques/links/0c960515bf6c44d570000000|format=PDF|accessdate=|quote=}}</ref>に至るまで、大きな進展はなかった。[[:en:Ronald Jones|R.ジョーンズ]]が[[1961年]]は[[論文]]<ref name="Ronald" />でこの問題に取り組んでいるが、投入係数がどの国でも同一の場合しか定式化できなかった。
労働のみが投入される経済では、ジョーンズの条件により特化パタンが定まるが、投入財が貿易される場合、比較優位の概念は定義ができない。ディアドルフは、いくつもの定義を与えているが、どれも完全なものではない<ref name="Deardorff">{{Cite journal||last=|first=|author=Alan V. Deardorff|authorlink=|coauthors=|date=2005-11|year=|month=|title=How Robust is Comparative Advantage?|journal=Review of International Economics|volume=13|issue=5|page=|pages=1004–1016|publisher=John Wiley & Sons|location=|doi=10.1111/j.1467-9396.2005.00552.x|pmid=|pmc=|naid=|oclc=|issn=0953-8259|isbn=|id=|url=http://fordschool.umich.edu/rsie/workingpapers/Papers526-550/r537.pdf|format=PDF|accessdate=|quote=}}</ref>。これは、きわめて不充分な理論状況である。イギリスの産業革命は綿花の輸入によって可能になったし、日本は、幕末開国以来、加工貿易が基本であった。マッケンジーは1956年の論文<ref>Lionel W. McKenzie, Specialization in Production and the Production Possibility Locus, ''Review of Economic Studies'' '''23'''(3): 56-64, 1956.</ref>で、「特化に関する古典的扱いの基本的な誤謬は、... 中間財貿易を無視したことである」(同所、p.56)と指摘しているが、[[塩沢由典]]の研究<ref name="Shiozawa">{{Cite journal||last=|first=|author=Yoshinori Shiozawa([[塩沢由典]])|authorlink=|coauthors=|date=2007-3|year=|month=|title=A New Construction of Ricardian Trade Theory / a many-country, many-commodity case with intermediate goods and choice of production techniques|journal=Evolutionary and Institutional Economics Review,|volume=3|issue=2|page=|pages=141–187|publisher=|location=|doi=|pmid=|pmc=|naid=|oclc=|issn=|isbn=|id=|url=http://www.researchgate.net/profile/Yoshinori_Shiozawa/publication/233943493_A_New_Construction_of_Ricardian_Trade_Theory--A_Many-country_Many-commodity_Case_with_Intermediate_Goods_and_Choice_of_Production_Techniques/links/0c960515bf6c44d570000000|format=PDF|accessdate=|quote=}}</ref>に至るまで、大きな進展はなかった。[[:en:Ronald Jones|R.ジョーンズ]]が[[1961年]]は[[論文]]<ref name="Ronald" />でこの問題に取り組んでいるが、投入係数がどの国でも同一の場合しか定式化できなかった。


塩沢の貿易理論(国際価値論)は、多数国多数財で技術選択と中間財貿易が存在する場合にたいし、古典派価値論と同様の理論が成立することを示した<ref name="Cassey">{{Cite journal||last=|first=|author=Andrew J. Cassey|authorlink=|coauthors=|date=2011-11-22|year=|month=|title=An Application of the Ricardian Trade Model with Trade Costs|journal=Applied Economics Letters|volume=19|issue=13|page=|pages=1227–1230|publisher=Taylor & Francis|location=|doi=10.1080/13504851.2011.617871|pmid=|pmc=|naid=|oclc=|issn=|isbn=|id=|url=http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/13504851.2011.617871|format=|accessdate=|quote=}}</ref>。『リカード貿易問題の最終解決』<ref name="Shiozawa_p">{{Cite book|1=和書|last=|first=|author=Yoshinori Shiozawa([[塩沢由典]])|authorlink=|last1=|first1=|author1=|authorlink1=|last2=|first2=|author2=|authorlink2=|last3=|first3=|author3=|authorlink3=|last4=|first4=|author4=|authorlink4=|coauthors=|translator=|editor=|others=|title=リカード貿易問題の最終解決 国際価値論の復権|origdate=|origyear=|url=http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/X/0255690.html|format=|accessdate=|edition=|date=2014-3-27|year=|publisher=[[岩波書店]]|location=|series=|language=|id=|isbn=978-4-00-025569-1|ncid=|naid=|oclc=|doi=|asin=|lcc=|volume=|page=|pages=|chapter=|chapterurl=|quote=|ref=}}</ref>は、2007年論文を概念的に整理し、正則領域における国際価値(各国の賃金率と世界共通の財の価格)が一義的に定まることを基本定理として示している。第4章では、リカードから[[ポール・クルーグマン]]の新貿易論、[[:en:Marc Melitz|マーク・メリッツ]]の新々貿易論に至るまでの貿易論の歴史を詳しく解説している。
塩沢の貿易理論(国際価値論)は、多数国多数財で技術選択と中間財貿易が存在する場合にたいし、古典派価値論と同様の理論が成立することを示した<ref name="Cassey">{{Cite journal||last=|first=|author=Andrew J. Cassey|authorlink=|coauthors=|date=2011-11-22|year=|month=|title=An Application of the Ricardian Trade Model with Trade Costs|journal=Applied Economics Letters|volume=19|issue=13|page=|pages=1227–1230|publisher=Taylor & Francis|location=|doi=10.1080/13504851.2011.617871|pmid=|pmc=|naid=|oclc=|issn=|isbn=|id=|url=http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/13504851.2011.617871|format=|accessdate=|quote=}}</ref>。『リカード貿易問題の最終解決』<ref name="Shiozawa_p">{{Cite book|1=和書|last=|first=|author=Yoshinori Shiozawa([[塩沢由典]])|authorlink=|last1=|first1=|author1=|authorlink1=|last2=|first2=|author2=|authorlink2=|last3=|first3=|author3=|authorlink3=|last4=|first4=|author4=|authorlink4=|coauthors=|translator=|editor=|others=|title=リカード貿易問題の最終解決 国際価値論の復権|origdate=|origyear=|url=http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/X/0255690.html|format=|accessdate=|edition=|date=2014-3-27|year=|publisher=[[岩波書店]]|location=|series=|language=|id=|isbn=978-4-00-025569-1|ncid=|naid=|oclc=|doi=|asin=|lcc=|volume=|page=|pages=|chapter=|chapterurl=|quote=|ref=}}</ref>は、2007年論文を概念的に整理し、正則領域における国際価値(各国の賃金率と世界共通の財の価格)が一義的に定まることを基本定理として示している。第4章では、リカードから[[ポール・クルーグマン]]の新貿易論、[[:en:Marc Melitz|マーク・メリッツ]]の新々貿易論に至るまでの貿易論の歴史を詳しく解説している。
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:比較優位論は、貿易開始ないし自由化により、貿易の利益および不利益が各経済主体にどのように作用するかを明らかにする。塩沢由典は、中間財の貿易を含むM国N財の一般的モデルにおいて、雇用されている労働者にとって実質賃金の上昇という貿易の利益を生むが、世界最終需要が増大しないかぎり、短期的には貿易自由化が失業と廃業とを生むことを示している<ref>Shiozawa, Y. (2007). A New Construction of Ricardian Trade Theory, A Many-country, Many-commodity Case with Intermediate Goods and Choice of Production Techniques. ''Evolutionary and Institutional Economics Review'', 3(2), 141-187.Section 4. Gains from Trade and Origins of Trade Conflicts</ref>。従って、貿易の利益は国家(国民)がどのような事態を望ましいと考えるかに依存する。
:比較優位論は、貿易開始ないし自由化により、貿易の利益および不利益が各経済主体にどのように作用するかを明らかにする。塩沢由典は、中間財の貿易を含むM国N財の一般的モデルにおいて、雇用されている労働者にとって実質賃金の上昇という貿易の利益を生むが、世界最終需要が増大しないかぎり、短期的には貿易自由化が失業と廃業とを生むことを示している<ref>Shiozawa, Y. (2007). A New Construction of Ricardian Trade Theory, A Many-country, Many-commodity Case with Intermediate Goods and Choice of Production Techniques. ''Evolutionary and Institutional Economics Review'', 3(2), 141-187.Section 4. Gains from Trade and Origins of Trade Conflicts</ref>。従って、貿易の利益は国家(国民)がどのような事態を望ましいと考えるかに依存する。


しかし、塩沢は、供給されたものが需要されなければならないという、実際にはあり得ない想定をしている。リカードの比較優位では、生産量=消費量だったものが、生産量<消費量になるが、生産されたものをすべて消費しなくても、生産量<消費量は達成できる。つまり、同じ時間だけ生産しても、世界の消費量が増え、それらを強制消費するものではない。余らせても生産量<消費量になるのである。
しかし、塩沢は、供給されたものが需要されなければならないという、実際にはあり得ない想定をしている。リカードの比較優位では、生産量=消費量だったものが、生産量<消費量になるが、生産されたものをすべて消費しなくても、生産量<消費量は達成できる。つまり、同じ時間だけ生産しても、世界の消費量が増え、それらを強制消費するものではない。余らせても生産量<消費量になるのである。


また、失業が生じるというが、保護貿易(関税や数量制限)だろうが自由貿易だろうが、比較優位現象は生じているので、「貿易自由化で失業増」というのは、理論的にも実証的にもあり得ない。
また、失業が生じるというが、保護貿易(関税や数量制限)だろうが自由貿易だろうが、比較優位現象は生じているので、「貿易自由化で失業増」というのは、理論的にも実証的にもあり得ない。

2015年11月7日 (土) 12:07時点における版

比較優位(ひかくゆうい・: Comparative Advantage)は、経済学者であったデヴィッド・リカードが提唱した概念で、比較生産費説リカード理論などとも呼ばれる。これは最も基本となる貿易理論である。

これは、自由貿易において各経済主体の自身の得意な分野(より機会費用の少ない生産)への特化でそれぞれの労働生産性が増大されて、互いにより高品質の財やサービスをより多く消費できる様になるという利益を享受できることを説明する。

  • 比較優位における労働生産性とは一人当たりの実質付加価値高を意味する。
  • 比較優位の解説に際しては、国家による統制を核としている重商主義に対する批判から始まった歴史的な経緯もあって、国家間の貿易が好く引き合いにされるが、地方公共団体及び企業や個人などのあらゆる経済主体においても同様である。

概念

18世紀アダム・スミストーマス・マンが提唱した重商主義を批判した。重商主義にもとづいて貨幣などの金融資産の蓄積を命題として、保護貿易や貿易相手からの搾取を行っても、植民地維持の費用の増大を招き、自国内で権力者のみが富むだけで、その経済主体全体の生活水準の向上には結びつかないからである。

そして、アダム・スミスは1776年自由貿易の重要性と社会的分業による労働生産性の向上を説いた。これは絶対優位にもとづいていたが、これでは交換の利益を説明しきれていなかった。なぜならば、絶対優位においては労働量資本力を重視し他の経済主体よりも得意な分野に特化するので、絶対優位にある経済主体と絶対劣位にあるそれとでは、前者が一方的に利益を得て後者が一方的に損害をこうむる。しかし、これは貿易による現実とは相容れない。

デヴィッド・リカードは1817年に彼の理論を拡張して比較優位の概念を発表した。ここでいう比較とは、労働生産性の各経済主体間の比較ではなく、ある経済主体内での各産業間での比較を意味する[1]。その各産業間での生産性格差[2]を他の経済主体のそれと比較すること、つまり、経済主体内での相対的有利さを経済主体ごとに比較したときにどちらが優位であるかという二重の相対比較が比較優位である。絶対優位であっても、両方に比較優位はあり得ない。

さらに、労働力なども含めた資源は有限であり、あらゆる産業において絶対劣位にある経済主体でも比較優位な産業は存在する。仮に資源が無限にあれば、絶対優位のある経済主体のみで生産を行うことが最適となるが、現実には資源は有限であるためにある財の生産を行う場合には他の財の生産を諦めるという機会費用が発生する。直接的な費用だけではなく、この機会費用まで含めて考えれば、絶対優位にあるからといってその財を生産することが最適とは限らなくなる。


機会費用とは、あるものを選んだ時に、放棄しなければいけない費用のこと。 比較優位は、機会費用を相手と比較することで、機会費用の低い方に特化すること。 比較優位は、自分の得意なものに特化することではない。


8時間で、生産できる個数

Aさん みかん20個 りんご20個

Bさん みかん30個 りんご60個


今は自給自足で、Aさんはみかん8個、リンゴ12個を生産している。 Bさんは、みかん9個、リンゴ42個を生産している。


エクセルでグラフを作ってみよう。


Bさんは、機械化を達成し、何を作っても得意(絶対優位) Aさんは、手作業で、何を作っても不得意(絶対劣位)


AさんもBさんも、時間という制約があり(トレード・オフ)、みかんを生産すれば、リンゴ生産をあきらめなければならない。 リンゴ生産をすれば、ミカン生産をあきらめなければならない。このあきらめなければならない費用を機会費用という。


Aさんはみかん1個生産するのにリンゴ1個の生産をあきらめなければならない。 Bさんはみかん1個生産するのにリンゴ2個の生産をあきらめなければならない。


Aさんはみかんの生産について、Bさんの機会費用と比較して比較優位。


Aさんはみかん1個あきらめれば、リンゴ1個生産できる。 Bさんはみかん1個あきらめれば、リンゴ2個生産できる。


Bさんはリンゴの生産について、Aさんの機会費用と比較して比較優位。


Aさんはみかん生産に特化20個作る。その10個をBさんと交換する。 Bさんはリンゴ生産に特化60個作る。その15個をAさんと交換する。


交換で Aさんは、みかん10個、リンゴ15個消費できる。(みかん+2、リンゴ+3の利益) Bさんは、みかん10個、りんご45個消費できる。(みかん+1、リンゴ+3の利益)


Aさんは何を作っても絶対劣位だが、交換で利益を得る。これが「比較優位」の神髄。


交換は、Aさんの機会費用と、Bさんの機会費用の間で成立する。これ以外だと交換が成立しない。だから「自由」貿易。


Aさんの機会費用みかん1個でリンゴ1個⇔新機会費用 みかん1個で、リンゴ1.5個⇔Bさんの機会費用 みかん1個でリンゴ2個


Bさんは、みかん1個を得るのにリンゴ2個の生産をあきらめなければならなかったのに、1.5個あきらめれば、みかん1個 を手にできるようになった。


両者ともにWIN-WIN。これが「比較優位」絶対劣位者でもWINになる[3]

比較優位は、「絶対劣位者(何をやっても不得意な人・企業・国)」でも、交換による利益が生じるという点が一番重要なポイントである。

なお、上記の例や、リカードオリジナル表では、生産可能性フロンティアは直線になるが、実際には、企業や国レベルでは機会費用の違う(比の傾きの違う)主体の、無限の集まりなので、生産可能性フロンティアは曲線(扇形)になる。その場合、完全特化ではなく、部分特化となる。

絶対優位と比較優位の比較
絶対優位 比較優位
提唱者 アダム・スミス デヴィッド・リカード
生産要素 労働量資本力 労働生産性
生産要素を誰と比較するか 他者 他者
他の経済主体と何を比較するか 労働生産性(最大化) [生産性⇔機会費用]
何に特化するか 他の経済主体より得意な分野 機会費用の低いもの(生産性の高い方)

注意点

労働生産性の高い分野に特化することにより、労働生産性の低い分野から高いそれへと労働者人口の移動が起こる。前者の分野で働いていた人は転職するという機会費用を払えば、より高い所得が得られるようになる。ただし、これは強制されるものではなく、それぞれの利己心によるものである[4][5]

比較優位は、全体で利益は向上するが、一部で仕事をあきらめるなどの犠牲を払う必要がある理論である[6]。比較優位の考え方は、固定的に考えたり押しつければ強者の理論になるが、当事者が得意な分野を発見し、次の段階に発展していこうとすれば有効な理論にもなる二面性を持っている[7]

比較優位とは、各経済主体が得意な分野を発展させようとすることで、交換の利益を介して互いに生活水準を向上できるようになることを示す理論である。

また、絶対優位や比較優位が最終的に目的とするものは、互いにより高品質の財やサービスをより多く消費できるようになることであって、労働量および資本力や労働生産性の向上はその手段にすぎない。


生産性が高い=所得が高いことである。これは、国と国を比較しても、個人と個人を比較しても同じである。先進国と発展途上国の差は驚くほど簡単である。生産性が高いか低いかである[8]


生産性が高い=1人あたりGDPの高低のこと。 生産性が高い=所得が多いこと。


つまり、人は黙っていても、生産性=給与(所得)の高い方へ移る。これは1国内でも、国家間でも同じ。途上国の人は先進国を目指す。逆はない(生産性の低いところへ自ら移動することはない)。

リカード理論を、「強制的に職業を奪う」とか、「強制的に失業を生じさせる」という批判があるが、人は黙っていても、所得の高い方へ移動する。国内でも国際間でも同じ、普遍的な真理である。

より生産性の高いことをする=効率をよくする=機会費用の低いことをするのは、個人単位でも、企業単位でも、国家単位でも同じ。生産性の高いこと(機会費用の費用の低いこと)をめざし、達成するのがGDP成長=所得増のこと。

比較優位を「否定」するのは、「経済(GDP)成長」を理解していないこと。

単純化された例

ポール・サミュエルソンは、比較優位を「弁護士と秘書」の例で以下のように説明している[9][10]

有能な弁護士Aは、弁護士の仕事だけでなく、タイプを打つ仕事も得意だったとする。秘書は、弁護士・タイプの仕事において、弁護士Aより不得意である。更に、秘書はタイプはそこそこできるが弁護士の仕事はほとんどできない。しかし相対的な比較として各自の弁護士の仕事の能力を基準にすれば、秘書のタイピング能力は弁護士Aより優位であると見ることができる。このような場合、弁護士Aは弁護士の仕事に特化し、秘書にタイプの仕事を任せる。それが、弁護士・タイプの仕事が最も効率よくできるからである。

弁護士がタイプを打つと、弁護士報酬という機会費用を捨てることになる。弁護士がタイプを打つのは、恐ろしい機会費用がかかっていることになる。 秘書がタイプを打っても、機会費用は驚くほど低い。

停年退職者が、午後に映画を見る機会費用は非常に低いが、、カルロス・ゴーンCEOが、1時間の映画を見る機会費用は、驚くほど高い。彼が秘書のように、お茶くみの仕事をすれば、彼が出すコーヒーは何十万円という機会費用のかかるコーヒーとなる[11]

ビジネスマンが、混んでいる安売りスーパーのレジに並ぶのではなく、コンビニで定価の商品を買うのは、「時間」という機会費用を計算=時間(機会費用)の浪費だと計算しているからである。主婦は時間(機会費用)が安いので、スーパーのレジに並ぶことができる。

無駄な事をしない=何がトクかを常に考える(時間でも費用でも)ことが、「比較優位」を実践していることになる。

具体例

比較優位の提唱者であるデヴィッド・リカードのメシュエン条約の引用例に従って、英国葡国の2国及び毛織物ワインの2財をモデルにする。

今、英国の全労働者が1単位時間分だけ働いた場合の生産量を、毛織物なら単位とし、ワインなら単位とする。一方で、葡国の全労働者が同じだけ働いた場合の生産量を、毛織物なら単位とし、ワインなら単位とする。

この時、

であるならば、葡国はワインに関して英国に絶対優位であると言う。

又、

であるならば、葡国はワインに関して(毛織物と比べた場合に)英国に比較優位であると言う。

ここで、具体例として、次の表の場合を考える。

1単位時間分だけ働いた場合の生産量
毛織物 ワイン
英国
葡国

葡国は、ワインと毛織物の双方に関して、英国に対し絶対優位である。しかし、毛織物に関しては英国の方が比較優位であり、ワインに関しては葡国の方が比較優位である。なお、逆の言い方をすれば、毛織物に関しては葡国の方が比較劣位で、ワインに関しては英国の方が比較劣位である、と言える。

英国の絶対優位性と比較優位性とは無関係であるということが、この具体例からも示される。

効果

各国の労働力人口と労働投入係数が、次の表で与えられる通り、簡略化の為に、失業者が居ない場合を想定している場合を考える。

労働力と労働投入係数
労働力 労働投入係数
合計 毛織物 ワイン
英国
葡国

両国の生産可能性辺境線は、貿易を行う事で、自給自足状態における状態より大きくなる。要するに、自給自足状態である場合に比べて、両国とも生産可能性領域が増える。

これは、各国の国際分業によって全体的な労働生産性が増大することを示し、さらに、自由貿易を前提とした場合には両国が共に消費を増大させられることを示している。すなわち、比較優位にある財を輸出すると共に比較劣位にある財を輸入すれば、絶対優位に関係なく貿易で利益を享受できるということを意味する。

もし、どちらの国も生産可能性辺境線上に在る(労働力が逼迫している)場合、一方の財を増産する為にはもう一方の財を減産しなければならない。

例えば、毛織物単位を増産する為には、英国ではワインを単位減産せねばならないが、葡国ではワインを単位減産するだけで済む。逆に考えれば、毛織物を単位減産する場合に、葡国ではワインを単位しか増産させられないのに対して、英国ではワインを単位増産させられる。

これは、比較優位に立つ側は相手側よりも少ない機会費用で生産できる、ということを示している。

仮定

現代において、世界各国は、グローバルな貿易ネットワークに大なり小なりつながっており、貿易を行っている。輸出財は国内需要よりも多く生産しているということであるので、特化が進んでいることになる。

国内には複数の産業があり、それぞれが他国へ輸出を試みたとすると、より高販売できる順に序列ができる。

  • 固定相場制をとる国家または共通通貨制下の国々では、輸出で利益を得た産業は生産を拡大し、より多くの利益を得ようとする。この際に、最も高い利益を得た産業が、より多く資源(設備や労働力)の購買力を得て、資源を需要するので、各資源の価格は次第に上昇する。
  • 変動相場制をとる国家では、輸出で得た外貨は、自国通貨へ両替されることになる。このとき、より高い利益を得た産業がより多くの自国通貨を得る。比較優位な産業はより高い利益を得て、生産を拡大し、より多くの利益を得ようとする。この際に、輸出拡張で自国通貨高が進む。

これによって、比較劣位な産業は、収益が悪化し解散するなどして、資源を解放することになる。この結果、比較優位な産業へ資源が集中して、特化が進み、一人当たりの実質GDP成長をうながす。

比較優位の一般化

比較優位の概念は、労働力のみが生産要素の場合には、2国多数財(あるいはは2財多数国)の場合にまで容易に拡張させられる。

国と国の間で貿易を行う状況下において、財と財とが有り、それぞれの労働投入係数をそれぞれ及び及びとすれば、

が成り立つとき、国は国に対して、財に比較優位性を持ち、財に比較劣位性を持つ、と言う。

国から国へ財が輸出されて財が輸入されるとは限らない。別の財が国から国へ輸出され、I財とJ財は共に国から国へ輸出され得る[12][13]。このように、2国多数財のケースでは、比較優位は、それのみでは貿易の方向を決定しない。

貿易論では、3国3財以上の場合は、2国2財あるいは2国多数財の場合とは、様相が大きく異なる。そこで、3国以上の場合を多数国、3財以上の場合を多数財という。以下はR.ジョーンズが1961年の論文に載せた数値例である[14]

ジョーンズの数値例
A: 米国 B: 英国 C: 欧州
1: 小麦  10 10 10
2: リネン 5 7 3
3: 服地  4 3 2

このとき、「比較優位」の単純な比較はできない。2国2財のどのような組合せを取ろうと、特化パタンは正しく定めることはできない。ジョーンズは、このような場合にも、置換積を最小化する特化パタンを求めればよいことを示した[15]。置換積とは、労働投入係数に対し
    a1σ(1) a2σ(2) ・・・aNσ(N)
という形の積をいう。ここで、σは、{1, 2, ... , N}の置換である。3国3財の場合、置換の数は全部で6個ある。上記ジョーンズの数値例では、A→1、B→3、C→2という特化パタンが唯一実現可能な完全特化パタンである。

労働のみが投入される経済では、ジョーンズの条件により特化パタンが定まるが、投入財が貿易される場合、比較優位の概念は定義ができない。ディアドルフは、いくつもの定義を与えているが、どれも完全なものではない[16]。これは、きわめて不充分な理論状況である。イギリスの産業革命は綿花の輸入によって可能になったし、日本は、幕末開国以来、加工貿易が基本であった。マッケンジーは1956年の論文[17]で、「特化に関する古典的扱いの基本的な誤謬は、... 中間財貿易を無視したことである」(同所、p.56)と指摘しているが、塩沢由典の研究[18]に至るまで、大きな進展はなかった。R.ジョーンズ1961年論文[19]でこの問題に取り組んでいるが、投入係数がどの国でも同一の場合しか定式化できなかった。

塩沢の貿易理論(国際価値論)は、多数国多数財で技術選択と中間財貿易が存在する場合にたいし、古典派価値論と同様の理論が成立することを示した[20]。『リカード貿易問題の最終解決』[21]は、2007年論文を概念的に整理し、正則領域における国際価値(各国の賃金率と世界共通の財の価格)が一義的に定まることを基本定理として示している。第4章では、リカードからポール・クルーグマンの新貿易論、マーク・メリッツの新々貿易論に至るまでの貿易論の歴史を詳しく解説している。

産業内貿易

比較優位に従って、分業が既述した様に進むと最終的にはいずれかの経済(国あるいは地域)が自身の比較劣位な財を全く生産しなくなるであろうことが導き出される。しかし、現実には、同種の財を互いに輸出・輸入し合う場合も見られる。これを産業内分業という。産業内分業は、ヨーロッパ諸国のような類似した国々の間で増大する傾向がみられる[22]

産業内貿易に関する実証的研究は、バラッサにより始まり[23]、グリューベル&ロイドによる1975年の本[24]の出版により多くの経済学者が注目する事実となった[25]ポール・クルーグマンは、なぜ産業内貿易が起こるかについて、需要者の多様性選好と生産者の規模の経済(収穫逓増)とにより説明する理論を提起した[26][27]

産業内貿易は、リカード型の比較優位(技術の違い)に基づく貿易とも、ヘクシャー・オリーン型(HOSモデル)の比較優位(要素賦存比率の違い)にもとづく貿易とも異なる論理によるものである。クルーグマンは、この理論を含む研究により2008年アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞を受賞した[28]

議論

経済学者伊藤修は、リカードの比較生産費説は「原理として不滅の真理」とした上で、この原理が成り立つにはいくつかの前提条件が必要であり、どれかが欠けると「みんなの利益」にならなくなるとしている[29]。伊藤はその留保条件として、

  1. 為替レートが適切な範囲内であること
  2. 完全雇用の状態であること
  3. 将来の優位産業を潰さないこと
  4. 産業調整のコストがゼロであること
  5. 外部効果(外部不経済)がないこと

を挙げている[30]

※伊藤の主張する完全雇用など、比較優位には関係ない。例えば、リカードのオリジナル表


それぞれ、1単位生産する場合の ポルトガル ワイン80人 ウール90人 イギリス  ワイン120人 ウール100人


この場合に、ポルトガル・イギリスともに、失業者を「20人」ずつ設定しても、両国に比較優位に基づく利益は発生する[31]


伊藤の主張自体が、崩れているのである。

比較優位論の前提条件

比較優位論は、当初は極めて限定的な前提(仮定ないし条件)のもとに立っていた。理論の進展とともに、限定的な前提がより一般的なものに置き換えられるが、その過程で当初の概念自体に修正が迫られることもある。

  • 2国2財以外の場合
リカードの貿易論は、2国2財を例題としていた[32]。2国多数財、あるいは2財多数国の場合には、比較優位の概念は容易に一般化される[33]。3国3財以上の多数国多数財の場合にも比較優位概念を拡張することはできるが[34][35][19]、本項比較優位の一般化に見るように、中間財貿易を含む場合の一般化は困難であり、新しいアプローチを必要とする。
  • 一国内では生産要素の移動は完全に自由であるが、国際間のでは生産要素は移動せず、生産物のみが貿易される
リカードが仮定した前提である。多くの国際貿易論は、生産要素(労働力、資本、土地)が国・地域を越えて貿易されないと仮定してきた。移民や直接投資などにより生産要素も移動するため、1980年代以降、要素移動の貿易理論も展開された[36]。また、中間財(投入財)は貿易されないというのが従来の前提であったが、最近では中間財貿易は、実証的にも理論的にも注目される対象となっている[37]
  • 経済主体内外の輸送コスト
運輸業を財やサービスの一つとして組み入れて考慮しても比較優位は成立する。輸送コストをモデル化するには、しばしば氷山モデル(iceberg model)が用いられている[38]。このモデルは、クルーグマン[39]を含め多くの論文に踏襲されている。
  • 貿易の利益と国家の追求目標
比較優位論は、貿易開始ないし自由化により、貿易の利益および不利益が各経済主体にどのように作用するかを明らかにする。塩沢由典は、中間財の貿易を含むM国N財の一般的モデルにおいて、雇用されている労働者にとって実質賃金の上昇という貿易の利益を生むが、世界最終需要が増大しないかぎり、短期的には貿易自由化が失業と廃業とを生むことを示している[40]。従って、貿易の利益は国家(国民)がどのような事態を望ましいと考えるかに依存する。

しかし、塩沢は、供給されたものが需要されなければならないという、実際にはあり得ない想定をしている。リカードの比較優位では、生産量=消費量だったものが、生産量<消費量になるが、生産されたものをすべて消費しなくても、生産量<消費量は達成できる。つまり、同じ時間だけ生産しても、世界の消費量が増え、それらを強制消費するものではない。余らせても生産量<消費量になるのである。

また、失業が生じるというが、保護貿易(関税や数量制限)だろうが自由貿易だろうが、比較優位現象は生じているので、「貿易自由化で失業増」というのは、理論的にも実証的にもあり得ない。

世界のGDPは毎年3%ずつ拡大=生産性が3%ずつ拡大=所得が3%ずつ拡大している。ある国の生産がゼロサム(成長率ゼロ)を想定しないと、「失業増」とはならない。失業が増えるとうのは、その国の生産性低下=GDP減のことであり、貿易自由化と失業に関係はない。

アメリカとのNAFTAで、メキシコの農業で失業が増えたと俗論があるが、メキシコの農業が「豊か」だったことは、一度もない。みな最初から「貧しかった」のである。1家で5人も10人も農業に従事(それしか仕事がないのだから、低生産性=給与所得低い)していたが、同国の生産性=所得上昇は、NAFTA締結後、驚異的に伸びている。もちろん、自由化したから成長したということではなく、成長は同国内の生産性が上昇したことによる。

注釈・出典

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  2. ^ ある経済主体内部における各産業への労働投入係数の比率
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参考文献

関連項目