「板皮類」の版間の差分
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'''板皮類'''(ばんぴるい、英:[[w:Placodermi|Placoderm]])は、[[古生代]][[デボン紀]]に世界中の海域で繁栄した原始的な[[魚類]]の一群である<ref name=Iwai>『魚学入門』 pp.1-5</ref>。'''プラコデルム類'''とも呼ばれる<ref>[http://umafan.blog72.fc2.com/blog-entry-287.html#UMAfan UMAファン~未確認動物]</ref>。[[脊椎動物亜門]]の下位分類群の一つ、'''板皮綱'''([[学名]]:{{sname||Placodermi}})に所属する魚類の総称として用いられる。ほとんどの仲間はデボン紀末期までに姿を消し、[[ミシシッピ紀]]([[石炭紀]]前期)に完全に[[絶滅]]した<ref name=Biodiv/>。[[棘魚類]]<ref>棘魚類は板皮類よりもやや早い[[シルル紀]]前期に現れ、[[ペルム紀]]まで生きていた。</ref>に比べても、存続した期間は短かった。 |
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== 概要 == |
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== 形態 == |
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[[ファイル: Dunkleosteus skull steveoc.jpg|thumb|left|[[ダンクルオステウス]](ダンクレオレステス)の骨格図。頑丈な頭甲と胴甲は[[蝶番]]状の関節によって連結される<ref name=Biodiv/>]] |
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板皮類は[[顎]](あご)に[[骨]]を備えた最初の[[脊椎動物]]である。真の[[歯]]はもたず、歯状の突起に変形した顎骨によって、獲物を効率よく[[捕食]]することが可能となっていた<ref name=Biodiv>『脊椎動物の多様性と系統』 pp.69-70</ref>。頭部から肩部にかけての胴体は頑丈な骨板(それぞれ頭甲・胴甲と称する)によって覆われ、板皮類の独特な外見を作り出している。この装甲は関節によって接続された複数の甲板からなり、種類によっては可動性をもつ。 |
板皮類は[[顎]](あご)に[[骨]]を備えた最初の[[脊椎動物]]である。真の[[歯]]はもたず、歯状の突起に変形した顎骨によって、獲物を効率よく[[捕食]]することが可能となっていた<ref name=Biodiv>『脊椎動物の多様性と系統』 pp.69-70</ref>。頭部から肩部にかけての胴体は頑丈な骨板(それぞれ頭甲・胴甲と称する)によって覆われ、板皮類の独特な外見を作り出している。この装甲は関節によって接続された複数の甲板からなり、種類によっては可動性をもつ。 |
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2012年5月30日 (水) 13:16時点における版
板皮綱 | |||||||||||||||
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保全状況評価 | |||||||||||||||
絶滅(化石) | |||||||||||||||
地質時代 | |||||||||||||||
古生代シルル紀後期 - 石炭紀前期 | |||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||
Placodermi McCoy, 1848 | |||||||||||||||
下位分類 | |||||||||||||||
本文参照
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板皮類(ばんぴるい、英:Placoderm)は、古生代デボン紀に世界中の海域で繁栄した原始的な魚類の一群である[1]。プラコデルム類とも呼ばれる[2]。脊椎動物亜門の下位分類群の一つ、板皮綱(学名:Placodermi)に所属する魚類の総称として用いられる。ほとんどの仲間はデボン紀末期までに姿を消し、ミシシッピ紀(石炭紀前期)に完全に絶滅した[3]。棘魚類[4]に比べても、存続した期間は短かった。
概要
板皮類は4億年以上前のシルル紀後期に出現したとみられるが、この時期の地層からの報告はごく少数で、知られている化石種の大半はデボン紀のものである。同時代に淡水域で繁栄した棘魚類とは対照的に、板皮類は海で多様な種分化を遂げ、ほぼ全世界の海域に分布していた。一方で、胴甲目の仲間や節頸目の1科など、一部の種類は淡水魚であったことが示唆されている[5]。
多くは上下に平たく縦扁した体型をしており、水底付近で暮らす底生魚であったと考えられている。ダンクルオステウス(ダンクレオレステス)など最大で6mを超える大型種も知られているが、ほとんどの仲間は体長1m未満であった[3]。デボン紀後期に起きた生物の大量絶滅でほぼ姿を消し、軟骨魚綱の魚類にその地位を急速に奪われることになった。この時期を生き延びたごくわずかな系統も、続く石炭紀前期(ミシシッピ紀)に完全に途絶えたものとみられている[3]。
形態
板皮類は顎(あご)に骨を備えた最初の脊椎動物である。真の歯はもたず、歯状の突起に変形した顎骨によって、獲物を効率よく捕食することが可能となっていた[3]。頭部から肩部にかけての胴体は頑丈な骨板(それぞれ頭甲・胴甲と称する)によって覆われ、板皮類の独特な外見を作り出している。この装甲は関節によって接続された複数の甲板からなり、種類によっては可動性をもつ。
板皮綱の仲間は脊索の大半が骨に包まれるなど、頭甲綱(ヤツメウナギなど)と多くの特徴を共有する。臀鰭を欠き、尾鰭は上下対称のものと、上下非対称の異尾の両方が知られる。鰓室は神経頭蓋の前方に伸長し側面を皮骨に覆われ、5本の鰓弓をもつなど、鰓(えら)の発達も顕著であったと推測されている[5]。また、脊椎動物としては最古の、胎生による繁殖を行うグループ(Ptyctodontiformes 目)も化石から発見されている[6]。
板皮綱は単系統群であることが確実視され、Nelson(2006)の体系では顎口上綱に属する残るすべての仲間、すなわち軟骨魚綱・棘魚綱・Euteleostomi(硬骨魚類以下の脊椎動物すべてを包括したグループ)の姉妹群として位置付けられている[5]。このほか、板皮綱を軟骨魚綱あるいは硬骨魚類と、相互に姉妹関係にあるとする仮説も提唱されている。
分類
板皮綱は6目で構成される[5]。以下に示す系統はNelson(2006)の体系で主に採用されたGoujet & Young(2004)[7]の見解に基づいており、従来板皮類として扱われていた Stensioelliformes 目・Pseudopetalichthyiformes 目 は除外されている。
- †Acanthothoraciformes 目
- †Rhenaniformes 目
- †胴甲目 Antiarchiformes
- Yunnanolepoidei 亜目
- 「Yunnanolepidoidei」と表記されることもある。2科を含むが、いずれの科にも所属しない暫定的な属が多数知られる。
- Bothriolepoidei 亜目
- 「Bothriolepidoidei」と表記されることもある。2下目5科に細分され、Euantiarcha 下目は関節でつながった胸鰭をもつ。帰属未定の属も多数。
- Yunnanolepoidei 亜目
- †Petalichthyiformes 目
- †Ptyctodontiformes 目
- †節頸目 Arthrodiriformes
- デボン紀前期から石炭紀前期まで、ほとんどの主要な大陸に分布していた[5]。板皮類として最も研究が進んでおり、多くの属が所属するグループ。ネクトン(遊泳生物)を捕食していたとみられ、4亜目に区分される。
出典・脚注
- ^ 『魚学入門』 pp.1-5
- ^ UMAファン~未確認動物
- ^ a b c d e 『脊椎動物の多様性と系統』 pp.69-70
- ^ 棘魚類は板皮類よりもやや早いシルル紀前期に現れ、ペルム紀まで生きていた。
- ^ a b c d e f g h 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.35-39
- ^ Long JA, Trinajstic K, Young GC, Senden T (2008). “Live birth in the Devonian period”. Nature 453 (7195): 650-652.
- ^ Goujet D, Young GC (2004). Placoderm anatomy and phylogeny: new insights. In: Recent advances in the origin and early radiation of vertebrates. München: Verlag Dr. Friedrich Pfeil
- ^ 舟木嘉浩 他、『小学館の図鑑NEO 恐竜』、小学館、2002年、ISBN4-09-217211-7、p20などではダンクレオレステスと書かれている。
- ^ 渡辺可久、『海のさかな』、岩崎書店、1996年、p36などではディニクティスと書かれている。
- ^ 当時の海域においては頂点捕食者に君臨していた。
参考文献
- Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Fourth Edition』 Wiley & Sons, Inc. 2006年 ISBN 0-471-25031-7
- 岩井保 『魚学入門』 恒星社厚生閣 2005年 ISBN 978-4-7699-1012-1
- 岩槻邦男・馬渡峻輔監修 『脊椎動物の多様性と系統』 バイオディバーシティ・シリーズ7 裳華房 2006年 ISBN 4-7853-5830-0
- 岡村収・尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年 ISBN 4-635-09027-2