「地上天気図」の版間の差分

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2009年5月4日 (月) 01:17時点における版

地上天気図(ちじょうてんきず 英:surface analysis)は地上付近の気象状況を表した天気図を言う。通常「天気図」と呼ばれるものは地上天気図を指していることが多い。地上天気図に対し、高層の気象状況を表した天気図を高層天気図と言う。一般的に、「天気図」といえば地上天気図のことを指す。

概要

2006年10月21日15:00(UTC)時点の地上天気図、アメリカ合衆国本土とその周辺、NOAA/NWS/NCEP/HPCによる

地上天気図では等圧線高気圧低気圧前線などの気圧分布(気圧配置)が表されている。気圧という概念は大気の現象及び擾乱に非常に深く関連しているので、等圧線や低気圧、高気圧などの分布から、その地点のおおよその天気が予想できる。

地上天気図において表されている気圧及び等圧線は、海抜0m における海面気圧を記したものである。気圧は高度とともに減少するため、通常は地上気圧よりも低めの気圧が観測される。地上天気図を作成するために、観測したデータは海抜0mの気圧へと補正計算される(これを海面更正という)。

学術用・気象予報用の正式な地上天気図には、世界気象機関(WMO)が統一基準を定めた国際式天気図が用いられている。ただし、日本においては、研究機関や気象庁などの専門機関では国際式が使用されているが、より簡易で分かりやすい日本式天気図も用いられている。日本式天気図は国際式天気図を簡略化したもので、国際式に比べて作成が容易な割には、天気図を使った天気の予想なども可能であり、マスメディアでの気象情報用のほか、個人での予報用、初等教育・中等教育段階での気象教育などにも用いられる。

一般向けに広く頒布されたり、テレビ番組などで放映されるような地上天気図は、国際式天気図では細かく専門的過ぎて分かりにくいので、前線や等圧線、低気圧や高気圧の位置のみを残す。その代わりに、解説用に「雨」「晴れ」「寒気」といったものを表す記号を用いたり、雨の区域を色分けしたりすることで、大まかな気象状況を表現する。

国際式天気図

国際式天気図では、まず主要な気象観測地点の気象データを天気図上に書き込んでいく。プロットされる地点は、1つの天気図で約100前後である。次に各地点の気圧の値などを参考に等圧線を引き、低気圧や高気圧といった気象擾乱の情報を参考にしながら低気圧や高気圧などの位置・気圧・進路、前線、海上警報の区域などを書き込んでいく。

天気図上に表示される文字や記号は、を上として、横に並んだ文字・記号が緯線と平行になるようにする。

また、天気図の作成日時や作成元を明らかにするため、天気図の右下や左上などに、作成元、作成日時(世界標準時)、図の対象地域、図の種類を記すのが通例となっている。

高層天気図でも、地上天気図と同様に国際式天気図が定められている。

地点ごとの気象要素

国際式天気図記号の例(アメリカ式。気温と露点温度が華氏、視程がマイルであることに注意。アメリカ以外では気温と露点温度は摂氏、視程はkm基準で別に規定された数字を用いる。)

国際式天気図では、丸の中に雲量を表す記号を入れる。また、羽根によって風向(36方位)と風力(5ノットごとに表される記号)を表す。

丸の左に視程(規定された数字2桁)と天気(記号)、左上に気温(摂氏)、上に巻雲・巻積雲・巻層雲(上層雲)の状態(記号)、および高積雲、高層雲、乱層雲(中層雲)の状態(記号)、右上に気圧(十の位から小数点第一位)、右に気圧変化量(過去3時間、hPa)と気圧の変化傾向(記号)、右下に層積雲・層雲・積雲・積乱雲(下層雲)の雲量(規定された数字1桁)、および過去の天気(3時間前か6時間前)、および降水量(過去12時間、mm)、下に層積雲・層雲・積雲・積乱雲(下層雲)の状態(記号)、および雲底(規定された数字1桁)、左下に露点温度(摂氏)をそれぞれ示す。


風向・風力

風力記号
記号 説明
0ノット(無風)の丸
5ノットの矢羽
10ノットの矢羽
50ノットの旗
(例)65ノット

風向と風力は、羽の向きと記号によって表す。

風向は36方位を用い、北を360度(36)とし、そこから時計回りに01、02と10度ずつ区切る。風向不明、または風向が定まらない場合は、270度(27)を風向とし、線の真ん中に×印をつける。

風速は、基本はm/sと単位にノット(kt)を用いる。ただし、記号の区分けが実質ノットによって区切られたことから、その区分けになっている。風速は、5ノット単位で表され、5ノットを現す短い矢羽、10ノットを表す長い矢羽、50ノットを表す三角旗を並べて組み合わせて表現する。0~2ノットの場合は矢羽などをつけずに、風向の線のみを示す。無風の場合は雲量を表す中央の円をさらに丸で囲む。風速が不明の場合は、風向の線の先端に×印をつける。3ノット以上は、5ノット(3~7ノット)、10ノット(8~12ノット)、15ノット(13~17ノット)、…というように5ノットごとの区分に当てはめる。

気温

気温は、単位に摂氏(°C)を用いる。ただし、アメリカ合衆国では華氏(°F)を用いている。整数で表し、桁数は自由で、氷点下の場合は-をつける。不明の場合は書かない。

視程

視程は、規定された数字によって表す(数字が直接、距離を表すものではないので注意)。各数字の意味は以下のとおり。ただし、アメリカ合衆国では視程の観測値をマイルでそのまま記し、整数または分数を用いる。不明の場合は書かない。

高精度
観測値の精度が高い、陸上の観測所などで用いられる。
  • 00 - 0.1 km より近い
  • 01-50 - 観測値(km)を10で割ったもの
  • 51-55 - (使用しない)
  • 56-80 - 観測値(km)から50を引いたもの
  • 81-88 - 観測値(km)から80を引き、これに5をかけて、さらに30を足したもの
  • 89 - 70 km より長い
低精度
観測値の精度が低い、海上の観測所などで用いられる。
  • 90 - 0.05 km より近い
  • 91 - 0.05 km
  • 92 - 0.2 km
  • 93 - 0.5 km
  • 94 - 1 km
  • 95 - 2 km
  • 96 - 4 km
  • 97 - 10 km
  • 98 - 20 km
  • 99 - 50 km より遠い

天気

天気は、煙・煙霧・ちり煙霧・もや・霧・霧雨・雨・雪・ひょう・雷電・地吹雪などの基本的な気象と、前1時間内に現象が増加したか減少したか、現象が1時間前にあったが観測時はない、現象が視界内の距離5km以内にあるが観測所にはない、現象が視界内の距離5km以上にある、強い・並・弱い、止み間がある・ないといった要素を組み合わせた区分が用いられる。00~99までの100通りのパターンがあり、複数の現象が見られた場合は、最も番号が大きいものを報告する。天気図記号00-03と不明の場合は書かない。現在天気には、自動観測所用の天気記号も00-99で国際的に定義されているが、この定義識別は、通報コードの数字(ix)で識別する。

00~03については、天気図に表すときは雲量の欄に記号を書くため、天気記号としては用いない。ただ、気象通報時には天気として扱う。

記号 番号 天気
- 00 前1時間内の雲の変化不明
- 01 前1時間内に雲消散または衰弱
- 02 前1時間内に空模様全般に変化がない
- 03 前1時間内に雲発生または発達
04 煙のため視程が悪い
05 煙霧
06 空中広くちりまたは砂が浮遊(風に巻き上げられたものではない)
07 風に巻き上げられたちりまたは砂
08 前1時間内に観測所または付近の発達したじん旋風あり
09 視程内または前1時間内の砂じんあらし
10 もや
11 地霧または低い氷霧が散在(眼の高さ以下)
12 地霧または低い氷霧が連続(眼の高さ以下)
13 雷光は見えるが雷鳴は聞こえない
14 視程内に降水があるが地面または海面に達していない
15 視程内に降水。観測所から遠く5km以上
16 視程内に降水。観測所にはない、5km未満
17 雷電。観測所に降水がない
18 観測時、または前1時間内に観測所または視程内にスコール
19 観測時、または前1時間内に観測所または視程内にたつまき
20 前1時間内に霧雨または霧雪があった(しゅう雨性ではない)
21 前1時間内に雨があった(しゅう雨性ではない)
22 前1時間内に雪があった(しゅう雪性ではない)
23 前1時間内にみぞれまたは凍雨があった(しゅう雨性ではない)
24 前1時間内に着氷性の雨または霧雨があった(しゅう雨性ではない)
25 前1時間内にしゅう雨があった
26 前1時間内にしゅう雪またはしゅう雨性のみぞれがあった
27 前1時間内に雹、氷あられ、雪あられがあった
28 前1時間内に霧または氷霧があった
29 前1時間内に雷電があった(降水を伴ってもよい)
30 弱または並の砂じんあらし。前1時間内にうすくなった
31 弱または並の砂じんあらし。前1時間内変化なし
32 弱または並の砂じんあらし。前1時間内に濃くなった
33 強い砂じんあらし。前1時間内にうすくなった
34 強い砂じんあらし。前1時間内変化なし
35 強い砂じんあらし。前1時間内に濃くなった
36 弱または並の地ふぶき(眼の高さより低い)
37 強い地ふぶき(眼の高さより低い)
38 弱または並の地ふぶき(眼の高さより高い)
39 強い地ふぶき(眼の高さより高い)
40 遠方の霧または氷霧。前1時間内に観測所にはない
41 霧または氷霧が散在
42 霧または氷霧、空を透視できる。前1時間内にうすくなった
43 霧または氷霧、空を透視できない。前1時間内にうすくなった。
44 霧または氷霧、空を透視できる。前1時間内に変化がない
45 霧または氷霧、空を透視できない。前1時間内に変化がない
46 霧または氷霧、空を透視できる。前1時間内に濃くなった
47 霧または氷霧、空を透視できない。前1時間内に濃くなった
48 霧、霧氷が発生中。空を透視できる
49 霧、霧氷が発生中。空を透視できない
50 弱い霧雨。前1時間内に止み間があった
51 弱い霧雨。前1時間内に止み間がなかった
52 並の霧雨。前1時間内に止み間があった
53 並の霧雨。前1時間内に止み間がなかった
54 強い霧雨。前1時間内に止み間があった
55 強い霧雨。前1時間内に止み間がなかった
56 弱い着氷性の霧雨
57 並または強い着氷性の霧雨
58 霧雨と雨、弱い
59 霧雨と雨、並または強い
60 弱い雨。前1時間内に止み間があった
61 弱い雨。前1時間内に止み間がなかった
62 並の雨。前1時間内に止み間があった
63 並の雨。前1時間内に止み間がなかった
64 強い雨。前1時間内に止み間があった
65 強い雨。前1時間内に止み間がなかった
66 弱い着氷性の雨
67 並または強い着氷性の雨
68 みぞれまたは、霧雨と雪、弱い
69 みぞれまたは、霧雨と雪、並または強い
70 弱い雪。前1時間内に止み間があった
71 弱い雪。前1時間内に止み間がなかった
72 並の雪。前1時間内に止み間があった
73 並の雪。前1時間内に止み間がなかった
74 強い雪。前1時間内に止み間があった
75 強い雪。前1時間内に止み間がなかった
76 細氷。霧があってもよい
77 霧雪。霧があってもよい
78 単独結晶の雪。霧があってもよい
79 凍雨
80 弱いしゅう雨
81 並または強いしゅう雨
82 激しいしゅう雨
83 弱いしゅう雨性のみぞれ
84 並または強いしゅう雨性のみぞれ
85 弱いしゅう雪
86 並または強いしゅう雪
87 雪あられまたは氷あられ、弱い。雨かみぞれを伴ってもよい
88 雪あられまたは氷あられ、並または強い。雨かみぞれを伴ってもよい
89 弱い雹。雨かみぞれを伴ってもよい。雷鳴はない
90 並または強い雹。雨かみぞれを伴ってもよい。雷鳴はない
91 前1時間内に雷電があった。観測時に弱い雨
92 前1時間内に雷電があった。観測時に並または強い雨
93 前1時間内に雷電があった。観測時に弱い雪、みぞれ、雪あられ、氷あられ、または雹
94 前1時間内に雷電があった。観測時に並または強い雪、みぞれ、雪あられ、氷あられ、または雹
95 観測時に弱または並の雷電。雨、雪またはみぞれを伴う
96 観測時に弱または並の雷電。雹、氷あられまたは雪あられを伴う
97 観測時に強い雷電。雨、雪またはみぞれを伴う
98 観測時に雷電。砂じんあらしを伴う
99 観測時に強い雷電。雹、氷あられまたは雪あられを伴う

露点温度

露点温度は、単位に摂氏(°C)を用いる。ただし、アメリカ合衆国では華氏(°F)を用いている。整数で表し、桁数は自由で、氷点下の場合は-をつける。不明の場合は書かない。

気圧

気温は、単位にヘクトパスカル(hPa)を用いる。ただし、十の位から小数点第一位までの3桁で表す。例えば、1008.5hPaの場合は085と表す。不明の場合は書かない。

気圧変化量

観測時刻から、過去3時間の気圧の変化量のこと。単位にヘクトパスカル(hPa)を用い、0.1hPa単位で整数にして表す。増加した場合は数字のみ、減少した場合は-をつけて表す。

気圧の変化傾向

観測時刻から、過去3時間の気圧の変化傾向を記号で表す。

記号 説明
連続して上昇(3時間前より高い)
上昇後下降(3時間前より高い)
上昇後一定または上昇後緩やかに上昇(3時間前より高い)
上昇後下降(3時間前より低い)
一定
連続して下降(3時間前より低い)
下降後上昇(3時間前より低い)
下降後一定または下降後緩やかに上昇(3時間前より低い)
下降後上昇(3時間前より高い)

雲量

雲量は、単位に8分率のオクタを用いて、丸の中の記号で表す。不明の場合は×印とし、観測していない場合は記入しない。各記号の意味は以下のとおり。

記号 8分率雲量 説明 10分率雲量
0/8 無雲 0
1/8 1
2/8 2,3
3/8 4
4/8 5
5/8 6
6/8 7,8
7/8 9
8/8 10
9/8 雲量不明 -

また、雲量記号に付して、観測時刻から過去1時間内の雲量の変化を記号で表す。気象通報では、過去の雲量を天気として扱う。

記号 (天気記号の番号) 天気
00 前1時間内の雲の変化不明
01 前1時間内に雲消散または衰弱
02 前1時間内に空模様全般に変化がない
03 前1時間内に雲発生または発達

雲の状態

雲の状態は、下層雲(対流雲を含む)、中層雲、上層雲について、それぞれ記号で表す。夜の暗さ、霧、風塵などのために雲が見えないときは書かない。また、上層雲や中層雲の場合、下層雲や中層雲に遮られて見えない場合も書かない。記号は以下のとおり。記号の判断については気象庁 気象観測の手引き(54~56ページ)などを参照のこと。

番号 記号 説明 画像
下層雲 CL
CL=0   下層雲なし
CL=1
積雲扁平雲、または悪天候下ではない積雲の断片、あるいはそれらの共存)
CL=2
積雲(中程度に発達した積雲、または雄大雲。他の積雲や層積雲を伴ってもよい)
CL=3
積乱雲無毛雲。積雲・層積雲・層雲を伴ってもよい)
CL=4
層積雲(積雲が広がってできたもの。積雲を伴ってもよい)
CL=5
層積雲(積雲が広がってできたものではない)
CL=6
層雲霧状雲、または悪天候下ではない断片雲
CL=7
層雲または積雲(悪天候下)
CL=8
積雲と層積雲(積雲と、積雲が広がってできたものではない層積雲との共存)
CL=9
積乱雲(多毛雲。無毛雲・積雲・層積雲・層雲を伴ってもよい)
中層雲 CM
CM = 1
高層雲(半分以上が半透明雲
CM = 2
高層雲または乱層雲(高層雲の場合半分以上が不透明雲
CM = 3
高積雲(半透明雲。1層で全天を覆う傾向が無い)
CM = 4
高積雲(半透明雲。レンズ雲、または2層以上(二重雲)で絶えず形が変化。全天を覆う傾向が無い)
CM = 5
高積雲(帯状の半透明雲、または連続的なもの。次第に広がり厚くなる)
CM = 6
高積雲(積雲または積乱雲が広がってできたもの)
CM = 7
高積雲(不透明雲、または全天を覆う傾向が無い2層以上の半透明雲、または高層雲・乱層雲を伴うもの)
CM = 8
高積雲(塔状雲房状雲
CM = 9
高積雲(混沌としており、いくつかの層になったりしているもの)
上層雲 CH
CH = 1
巻雲(毛状雲、または鉤状雲。空に広がる傾向が無い)
CH = 2
巻雲(塔状雲、または房状雲、または濃密雲。空に広がる傾向が無い)
CH = 3
巻雲(積乱雲からできた濃密雲)
CH = 4
巻雲(毛状雲、または鉤状雲、またはそれらの共存。次第に広がり厚くなる)
CH = 5
巻層雲(次第に広がり厚くなるもの。連続した層は地平線上45°以上に広がっていない。巻雲を伴ってもよい)
CH = 6
巻層雲(次第に広がり厚くなるもの。連続した層は地平線上45°以上に広がっているが、全天は覆っていない。巻雲を伴ってもよい)
CH = 7
巻層雲(全天を覆うもの)
CH = 8
巻層雲(全天を覆っておらず、空に広がる傾向も無い)
CH = 9
巻積雲(巻積雲のみ、または巻雲・巻積雲・巻層雲の中で巻積雲が卓越している)

過去の天気

観測時刻までの3時間もしくは、6時間に悪天候が観測された場合は、過去3時間の天気を記号で表す。記号は以下のとおり。下記表とは別に、自動観測所用の記号も併せて定義されている。

記号 番号 天気
- 0 常に雲量5(10分率)以下
- 1 雲量が5以下の時間と6以上の時間があった
- 2 常に雲量6(10分率)以上
3 視程1km未満の砂塵嵐、または視程1km未満の目の高さより高い地吹雪
4 視程1km未満の霧、または視程2km未満の煙霧
5 霧雨
6
7 雪またはみぞれ
8 しゅう雨性の降水
9 雷電

降水量

過去12時間の降水量を表す。単位はミリメートル(mm)を用いる。通常は記入されない。

雲底の高さ

雲底の高さは、規定された数字によって表す(数字が直接、雲底の高さを表すものではないので注意)。各数字の意味は以下のとおり。不明の場合は書かない。

  • 0 - 50m以下
  • 1 - 50~100m
  • 2 - 100~200m
  • 3 - 200~300m
  • 4 - 300~600m
  • 5 - 600~1,000m
  • 6 - 1,000~1,500m
  • 7 - 1,500~2,000m
  • 8 - 2,000~2,500m
  • 9 - 2,500m以上、または雲がない

広域的な気象要素

前線の記号
1. 寒冷前線
2. 温暖前線
3. 閉塞前線
4. 停滞前線

前線は記号を用いて表現する。通常は寒冷前線温暖前線停滞前線閉塞前線の4つを用いる。発生しつつあるものは半円や三角形の間に点(•)が入り、解消しつつあるものは同様に間に十字(+)が入る。アメリカではトラフ(乱流境界層)、ドライライン、スコールライン、トロピカル・ウェーブ(熱帯波動線、熱帯収束帯)も用いるなど、地域によってさまざまな前線記号が取り入れられている。

等圧線は4の倍数となる気圧を4hPaごとに線で表す。また、20の倍数の場合は太線(通常の2倍の太さ)で表す。等圧線の間隔が広い場合は、必要に応じて2の倍数(4の倍数を除く)となる気圧を点線で表す。

高気圧はH[1]、低気圧はL[2]、熱帯低気圧はTDで表す(中心は×で示す)。また、進行方向を白抜き矢印、速度をノット(kt)でそれぞれ表す。勢力の強い低気圧は、予想進路を円で示すことがある。

台風(北西太平洋に発生した熱帯低気圧で最大風速が34ノット以上になったもの)は最大風速により、TS(TROPICAL STORM、34ノット以上)、STS(SEVERE TROPICAL STORM、48ノット以上)、T(TYPHOON、64ノット以上)に分類される。

海上警報は各地域によって異なる、強風(SW)、暴風(GW)、台風(TW)、濃霧(FOG)、着氷(ICE)など数種類があり、波線で囲まれた予報範囲に示される。予報範囲が狭い場合は記号のみとなる。

日本式天気図

天気記号

国際式天気図は表現する要素が多いためわかりにくく、その代わりとして一般向けには簡易化した天気図が用いられることが多い。しかし、日本式天気図は表現する要素が天気・風向・風力と3つに絞られるため、見やすくわかりやすいとされる。新聞などにも掲載されているため、国際式天気図に比べて、一般的にも広く親しまれている。

新聞の天気欄では、6月始めと11月始めの年2回、天気図を一部変更している。11月~5月は天気図の範囲が日本の北側に寄り、6月~10月は南側に寄る。これは、11月~5月にかけてはシベリア高気圧といった北方の気象が日本の天気に大きく影響し、6月~10月は太平洋高気圧台風といった南方の気象が同じく日本の気象に大きく影響するためである。

地点ごとの気象要素

また、天気や風向の記号は、国際式とは異なる独自のものを用いている。国際式では各地点の中心に雲量を表す記号をおくが、日本式では代わりに天気記号をおく。 日本式天気図では、丸の中に天気を表す記号を入れる。ここで使う天気図記号は日本独自のものであり国際式とは異なる。羽根によって風向(16方位)と風力を表し、丸の左側に気温、右側に気圧を示す。一般向けに使用される天気図では、見やすくするため、気温と気圧は省略される。

広域的な気象要素

ほとんどは国際式と同じであるが、前線はいずれも点や十字が入らない。またテレビのニュースなどの場合は、高気圧を「高」、低気圧を「低」、熱帯低気圧を「熱低」、台風を「台」などとすることが多い。

書き方

基本的には市販されている天気図用紙に鉛筆や色ペンで各地の情報(天気・気温・気圧・風向・風力)を記入し、前線や低気圧高気圧の位置を書き込んで等圧線をつなぐことによって完成させる。天気図用紙とはB4判程の横に長い紙で、日本を含む東アジアと北太平洋西部が描かれており、陸上の観測所がある個所には丸で囲まれた空白があり、天気記号を書き込めるようになっている。

天気図を描く上での情報源となる気象通報NHKラジオ第2放送で毎日3回放送される(9:10、16:00、22:00)。ラジオでは最初に、日本国内と東アジア各国、及び海洋上の海洋気象ブイ船舶からの報告による風向、風力、天気、気圧、気温等の情報を読み上げるので、天気図用紙上の各地にある丸い空白部分に書き込んでいく。海上のデータは陸上の観測地点と違い、毎回場所が異なるため丸い空白は無いので、そのつど丸を書いて天気を書き入れる。続いて、低気圧・高気圧・前線の位置が読み上げられ、最後に、主な等圧線の通る位置が報じられる。全ての情報を天気図用紙に記入し終えたら、4 hPa又は2 hPaごとに気圧の等しい箇所を等圧線でつなぎ、天気図を完成させる。

太平洋上ではわずかな船舶の報告しかデータが無いため、初心者が等圧線を引くのは難しい。天気図作成の入門書は幾つか販売されているから参考にするか、身近に熟練者がいれば指導を受けるのがよい。そうして天気図がかけるようになれば、日常生活からレジャーによる外出、又は台風接近時などに独自の判断を下す上に役立つ。

絵文字による表記

一般的に天気図記号は、天気図についての詳しい知識を持っている人以外には記号のみで理解することが難しい側面がある。そのため、絵文字を使用した方法により天気を表現することが多く見られる。

主に「晴れ」は太陽、「曇り」は、「雨」は、「雪」は雪だるまを模した記号を用いる。

テレビ放送における天気予報においても、多くの場合このような絵文字が使用される。

同日中に複数の天気が存在する場合、間に記号を挾むことで表現をする。

  • 「のち」の場合は「/」に左側に先に発生する気象を、右側に後に発生する気象を書く。(たとえば晴れのち曇りは「☀/☁」になる)(「→」を使用することもある)
  • 「時々」の場合は「|」に左側に主な天気を、右側に頻度の低い天気を記載する。(たとえば曇り時々雨の場合は「☁|☂」になる)

日本では、台風に「◯」の中に「台」を書いた記号、高気圧に「◯」の中に「高」を書いた記号、低気圧に「◯」の中に「低」を書いた記号を用いて表現することもある。

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称
U+2600 1-6-70 ☀
☀
晴マーク
U+2601 1-6-71 ☁
☁
曇マーク
U+2602 1-6-72 ☂
☂
雨マーク
U+2603 1-6-73 ☃
☃
雪マーク

脚注

  1. ^ 各言語で「高気圧」を表す語の頭文字を用いる。日本語では英語に準じてHを用いている。英語のほか、ドイツ語、フランス語などはHとなる。フランス語圏の一部ではAを用いる。
  2. ^ 各言語で「低気圧」を表す語の頭文字を用いる。日本語では英語に準じてLを用いている。ドイツ語ではT、フランス語ではDを用いる。

関連項目

出典