渚の誓い (エア・サプライの曲)
「渚の誓い」 | ||||
---|---|---|---|---|
エア・サプライ の シングル | ||||
初出アルバム『グレイテスト・ヒッツ』 | ||||
B面 | レイト・ アゲイン (Late Again) | |||
リリース | ||||
規格 | 7インチ・シングル盤 | |||
ジャンル |
ポップ・ロック[1] ソフトロック[2] | |||
時間 | ||||
レーベル |
アリスタ・レコード (U.S.) ゲフィン・レコード (UK) | |||
作詞・作曲 | ジム・スタインマン | |||
プロデュース | ジム・スタインマン | |||
エア・サプライ シングル 年表 | ||||
| ||||
「渚の誓い」(なぎさのちかい、Making Love Out of Nothing At All)は、ジム・スタインマンが作詞、作曲し、オーストラリアのソフトロック・バンドであるエア・サプライが1983年のベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』で最初にリリースした、パワー・バラードの楽曲。アメリカ合衆国のBillboard Hot 100では、3週間にわたり2位となったが、この間に首位だったのは同じくジム・スタインマンが手がけたボニー・タイラーの「愛のかげり (Total Eclipse of the Heart)」で、スタインマン作品が頂点の2曲を占めることになった。
この曲は、他の数多くのアーティストたちによってカバーされており、その中で最も成功したのはボニー・タイラーによるものだった。
背景と録音
[編集]この曲は、ジム・スタインマンが音楽を担当した1980年の映画『A Small Circle of Friends』のために書かれたテーマ曲をもとに、改作されたものである[3]。
この曲は、その後、1983年のうちに楽曲を追加して発表されたもう一つのベスト・アルバム『Making Love... The Very Best of Air Supply』にも収録された。シングルのB面は、「レイト・アゲイン (Late Again)」であった[4]。エア・サプライは、その後の様々なベスト・アルバムやライブ・アルバムにこの曲を収録しており、2005年のアルバム『The Singer and the Song』には、アコースティック・バージョンを収録した[5]。
スタインマンは、「愛のかげり」とともにこの曲を、ミートローフのアルバム『真夜中の彷徨 (Midnight at the Lost and Found)』のために提供したが、ミートローフのレコード会社はスタインマンに楽曲使用料を支払うのを拒んだため、結局ミートローフは自分でアルバムのために代わりの楽曲を書くことになった。その後、これらスタインマンの曲はボニー・タイラーとエア・サプライに提供された[6]。
1983年の時点で、エア・サプライは、サポート・ミュージシャンの編成を、スタジオでもツアーでも、それまでの体制から大幅に再編していた。しかし、豪華なロック・オペラ的なプロデュースで知られるスタインマンは、ブルース・スプリングスティーンのEストリート・バンドのメンバーであるキーボードのロイ・ビタンとドラムスのマックス・ワインバーグを迎え、レコーディングにおいて音楽面でスプリングスティーン同様のエネルギーを盛り込んだ。1970年代にグラムロックのアイコンだったリック・デリンジャーがエレクトリック・ギターのソロを担当しており、これによって「渚の誓い」は他のほとんどのエア・サプライの楽曲とは大きく異なったサウンドになっている。
ミュージック・ビデオ
[編集]エア・サプライのバージョンには、複数のビデオが存在する。
ひとつのバージョンでは、1960年代のニューヨークを舞台に、兵士と若い女性が、関係を結ぶ中で様々な困難に直面する展開を見せながら、合間にバンドが演奏する場面が挿入されている[7]。
チャート
[編集]チャート(1983年 - 1984年) | 最高位 |
---|---|
Billboard Hot 100 | 2 |
Adult Contemporary [8] | 2 |
全英シングルチャート | 80 |
南アフリカ・シングル・チャート | 5 |
パーソネル
[編集]- ラッセル・ヒッチコック] - ボーカル
- グラハム・ラッセル - バッキング・ボーカル
- ロイ・ビタン - ピアノ、シンセサイザー
- ラリー・ファスト - シンセサイザー
- マックス・ワインバーグ - ドラムス
- スティーヴ・バスロウ (Steve Buslowe) - ベース[9] +
- リック・デリンジャー - エレクトリック・ギター
- シド・マクギニス - アコースティック・ギター
- ジミー・メイレン - パーカッション
- エリック・トロイヤー、ロリー・ドッド、ホリー・シャーウッド - バッキング・ボーカル[10]
+ 当初、1983年にアルバムが発表された際には、スティーヴ・バスロウの名前はクレジットされていなかった[10]。しかし、その後、この誤りは訂正された[11]。
ボニー・タイラーのバージョン
[編集]「渚の誓い」 | |
---|---|
ボニー・タイラー の シングル | |
初出アルバム『Free Spirit』 | |
リリース | |
ジャンル | ポップ・ロック |
時間 | |
作詞・作曲 | ジム・スタインマン |
プロデュース | |
この曲は、後に、ウェールズ出身の歌手ボニー・タイラーによってカバーされ、彼女のアルバム『Free Spirit』に収録された。このバージョンは、言葉のないコーラスで始まり、雷鳴と鐘の音が響き、それに続いてピアノの旋律が流れ始める。ピアノの旋律にかぶせて、タイラーの母であるエルシー・ホプキンス (Elsie Hopkins) が歌う、プッチーニの『蝶々夫人』のアリア「ある晴れた日に (Un bel dì vedremo)」の抜粋が流される[12]。
Allmusic は、このバージョンについて、「素晴らしい、8分近い大作で、完璧に彼女の声に合っているようだ。(エア・サプライのバージョンで)この曲は既に偉大な曲であるが、彼女のバージョンも格別である。(fantastic, clocking in at nearly eight minutes, and seems perfectly suited for her voice. [Air Supply's] version was already great, but hers is awesome.)」と述べている[13]。このバージョンの制作は、スタインマンとともにスティーヴン・リンコフが共同プロデューサーとして関わり、ニューヨークのザ・ヒット・ファクトリーで行われた。
歌詞
[編集]タイラーのバージョンでは、歌詞の一部が書き換えられており、このタイラー版の歌詞は、さらに後にカバーしたカリーン・ハナー (Karine Hannah) にも踏襲された。
ロリー・ドッドのデモ・バージョン
[編集]1982年にロリー・ドッドが歌ったバージョンも存在している。伴奏は、スタインマンのピアノだけで、スタインマンはイントロやブリッジの所で、何種類かのバリエーションを試みながら弾いている[14]。
歌詞
[編集]ブリッジに続いて、エア・サプライ版にはない2連の歌詞が歌われ、その後に、エア・サプライ版の最後の2連が歌われる。タイラー版の歌詞は、用いられていない。
チャート
[編集]チャート(1995年 - 1996年) | 最高位 |
---|---|
ベルギー (Ultratop 50 Flanders)[15] | 2 |
オランダ (Dutch Top 40)[16] | 17 |
UK シングルス (OCC)[17] | 45 |
脚注
[編集]- ^ “Making Love Out of Nothing at All - Air Supply - Song Info - AllMusic”. allmusic.com. 2017年2月23日閲覧。
- ^ “VH1’s 40 Most Softsational Soft-Rock Songs”. Stereogum. SpinMedia (2007年5月31日). 2016年7月31日閲覧。
- ^ A SMALL CIRCLE OF FRIENDS Main Title Theme - YouTube
- ^ “Special Sub-Topic: 'Making Love Out Of Nothing At All'”. FunTrivia.com. 2006年12月9日閲覧。
- ^ “Air Supply: The Singer And The Song”. CD Baby. 2006年10月22日閲覧。
- ^ Adams, Cameron (2006年10月26日). “Meat Loaf's a Hell raiser”. Herald Sun 2006年10月26日閲覧。
- ^ Air Supply - Making Love Out Of Nothing At All - YouTube
- ^ Whitburn, Joel (2002). Top Adult Contemporary: 1961-2001. Record Research. p. 17
- ^ Air Supply - Making Love Out of Nothing at All -- The (Almost) Complete Meat Loaf and Jim Steinman Lyric Archive Retrieved 3-16-2014.
- ^ a b Air Supply - Greatest Hits - Discogs
- ^ Air Supply- Greatest Hits (1983) liner notes (lists Steve Buslowe's name and contribution at the end). "Accessed" 8-22-2013.
- ^ Free Spirit (booklet). Bonnie Tyler. East West Records. 1995. 0630-12108-2。
- ^ “Bonnie Tyler: Free Spirit”. Allmusic. 2006年10月22日閲覧。
- ^ “Phanton of the Paradise”. Evil Nickname. 2017年3月25日閲覧。
- ^ "Ultratop.be – Bonnie Tyler – Making Love (Out Of Nothing At All)" (in Dutch). Ultratop 50. 4 April 2015閲覧。
- ^ "Nederlandse Top 40 – Bonnie Tyler" (in Dutch). Dutch Top 40. 4 April 2015閲覧。
- ^ "Official Singles Chart Top 100". UK Singles Chart. 4 April 2015閲覧。