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ルリカケス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ルリカケス
ルリカケス
ルリカケス Garrulus lidthi
保全状況評価[a 1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: スズメ目 Passeriformes
亜目 : スズメ亜目 Oscines
: カラス科 Corvidae
: カケス属 Garrulus
: ルリカケス G. lidthi
学名
Garrulus lidthi Bonaparte, 1850
和名
ルリカケス
英名
Amami jay
Lidth's jay

ルリカケス(瑠璃橿鳥[1]Garrulus lidthi)は、スズメ目カラス科カケス属に分類される鳥類

分布

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日本奄美大島加計呂麻島請島[1][2][3][4][5]固有種[6][a 2]

徳之島では1920年に発見例があるが以後は確実な発見例が無い[1]。そのため飼育個体が脱走した可能性もある[a 2]

上野動物園にて
上野動物園にて

形態

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全長38センチメートル、体重170-196グラム[1][2][3][5][6][a 2]。翼長15-18センチメートル[a 2]。頭部から頸部にかけての羽衣が紫がかった濃青色(瑠璃色)で[2][3][5][6][a 2]、和名の由来になっている[1]。額や喉の羽衣は黒く、喉に白い斑点が入る[6]。背と胸部から腹部にかけての羽衣は赤褐色[2][3][4][5][6][a 2]。尾羽や翼は濃青色で[2][3][5]、尾羽先端や風切羽先端は白い[6]。また尾羽に黒く細い横縞が入る[6][a 2]

嘴は象牙色[a 2]で、基部は青みを帯びる[6]

幼鳥は羽衣が褐色がかり、尾羽や翼の白色部がない[6]

生態

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主にスダジイイスノキなどからなる常緑広葉樹林に生息するが[5][a 2]農耕地にも生息する[2][3][4][6]。非繁殖期には数羽から30羽の小規模な群れを形成し生活する[4]

食性は雑食で、昆虫クモ爬虫類両生類、鳥類の卵、果実種子などを食べる[5][a 2]。地表でも樹上でも採食を行う[5][a 2]。種子の貯蔵を行い、それらの散布にも役立っているとされる。

繁殖形態は卵生。繁殖期にはペアで生活する。主に樹洞や幹の隙間、着生植物の茂中などに木の枝を用いた台座と、細い草や小枝などを組み合わせたお椀状の産座からなる巣を作る。岩の隙間、天井裏、巣箱にも営巣する[3][4]。2-5月に一腹に3-7個の卵を産む[4]。抱卵期間は約18日、巣立ちまでに25日前後[7]

人間との関係

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種小名lidthiはTheodoor Gerard van Lidth de Jeudeへの献名[1]

鹿児島県奄美大島の方言でヒューシャヒョウシャと呼ばれる[8]1965年(昭和40年)に鹿児島県の県鳥に指定されている。

過去には羽毛目的や標本目的の乱獲、現在は開発による生息地の破壊、人為的に移入されたノネコフイリマングースによる捕食などにより生息数は減少している[2][3][a 2]

1921年に種として国の天然記念物に指定されている[3]。本種の主な生息域である湯湾岳は国の天然記念物「神谷・湯湾岳(天然保護区域)」及び国指定湯湾岳鳥獣保護区に指定されている。

しかしながら、2008年(平成20年)現在ルリカケスは上記の減少の要因に対する対策がとられ、自然林の回復やマングースの減少に伴い個体数が増加し、繁殖個体数は少なくとも1000個体と推定されている[9]。2006年改訂のレッドリストでは絶滅危惧種から外されており、2008年には希少野生動植物種の指定も解除された。個体数回復による希少種の指定解除は、種の保存法が施行された1993年以来、初めての事例となる[10][11]

  • 鹿児島県レッドデータブック - 絶滅危惧II類

脚注

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  1. ^ a b c d e f 安部直哉 『山溪名前図鑑 野鳥の名前』、山と溪谷社2008年、342頁。
  2. ^ a b c d e f g 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社2000年、102-103、196頁。
  3. ^ a b c d e f g h i 加藤陸奥雄、沼田眞、渡辺景隆、畑正憲監修 『日本の天然記念物』、講談社1995年、679頁。
  4. ^ a b c d e f 環境庁 『日本産鳥類の繁殖分布』、大蔵省印刷局1981年
  5. ^ a b c d e f g h 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科9 鳥類III』、平凡社1986年、162頁。
  6. ^ a b c d e f g h i j 真木広造、大西敏一 『日本の野鳥590』、平凡社、2000年、608頁。
  7. ^ K. Ishida, K. Murata, I. Nishiumi, Y. Takahashi, M. Takashi. 2015. Endemic Amami Jay, invasive Small Indian Mongoose, and other alien organisms: a new century investigation of island aliens towards improved ecosystem management. J. Ornithology. 156s: 209 - 216.
  8. ^ 高美喜男 「ルリカケス」 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物 -鹿児島県レッドデータブック動物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、65頁、ISBN 4-9901588-0-6
  9. ^ 環境省報道発表平成20年7月18日の別添1 (pdf)
  10. ^ “ルリカケスの希少指定外す/生息数回復、初の解除”. 四国新聞. (2008年7月11日). https://www.shikoku-np.co.jp/national/science_environmental/20080711000052 2019年3月22日閲覧。 
  11. ^ “オオタカ、絶滅の恐れがある「希少種指定」を解除へ 生息数300羽→9000羽に”. 産経新聞. (2017年8月24日). https://www.sankei.com/life/news/170824/lif1708240009-n1.html 2019年3月22日閲覧。 
  1. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • BirdLife International 2008. Garrulus lidthi. In: IUCN 2010. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2010.4.
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 環境省 自然環境局 生物多様性センター

参考文献

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  • 財団法人鹿児島県環境技術協会編 『かごしまの天然記念物データブック』 南日本新聞社、11頁、1998年。
  • 高美喜男 「ルリカケス」 『鹿児島県の絶滅のおそれのある野生動植物 -鹿児島県レッドデータブック動物編-』 財団法人鹿児島県環境技術協会、2003年、65頁、ISBN 4-9901588-0-6

関連項目

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