オオキバナカタバミ

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オオキバナカタバミ
オオキバナカタバミの花
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 rosids
階級なし : 真正バラ類I eurosids I
: カタバミ目 Oxalidales
: カタバミ科 Oxalidaceae
: カタバミ属 Oxalis
: オオキバナカタバミ
O. pes-caprae
学名
Oxalis pes-caprae L.[1]
シノニム
和名
オオキバナカタバミ[1](大黄花片喰)
キイロハナカタバミ[3](黄色花片喰)
英名
Bermuda buttercup[4]
buttercup oxalis[5]
soursob([6]

オオキバナカタバミ(大黄花片喰・大黄花酢漿草、学名:Oxalis pes-caprae)は、カタバミ科カタバミ属多年草[6]南アフリカ原産で、現在では世界各地の温帯帰化植物として定着している。葉に紫褐色の斑点が多数見られることで他のカタバミと識別が可能[5]。春先に鮮やかな黄色の花を多数咲かせる。別名キイロハナカタバミ[3]

特徴[編集]

形態[編集]

地上茎はなく、地中に鱗茎を伸ばしその周囲にがつく[6]。株元に長径5~8mmほどの長卵形の子鱗茎を多数つけ、この子鱗茎で栄養繁殖を行って増える[3][7]はすべて根出し、葉柄は長さ15~20cm、その先端に幅1.5~2cmの倒心臓形の3小葉が円形につくカタバミ属特有の三出複葉を生じる[4][6](参考:片喰紋)。葉の表面に紫褐色の小斑点を不規則に生じ、この特徴によって花のない時期でも他のカタバミの仲間とは容易に識別できる[5][8]。春先に葉柄よりも長い20~30cmの花茎を複数伸ばし、その先端に散形に10個ほどのをつける[3][4]。花径は3~4cm、花弁は5枚で、鮮やかな黄色を呈する。花期は3~5月頃[3]

分布[編集]

南アフリカ共和国ケープ地方原産[8]。観賞用として人為的に導入されたものが世界各地で逸出し、分布を拡大している。現在ではヨーロッパ全土、西アジア北アフリカ地中海沿岸、インドアメリカ合衆国チリオーストラリアなど。いずれも温帯を中心に分布する[6]。日本では1890年代に観賞用に輸入されたものが野外に逸出し、1961年鹿児島県帰化状態にあることが確認された[8]。現在では、本州関東地方中央高地以南から九州まで広くみられる[3][7]

人間との関わり[編集]

観賞用として移入されたものが世界中で逸出し、帰化植物となって分布を拡大している。人間による土壌の移動で鱗茎が運ばれ、栄養繁殖によって旺盛に増える[7]。春の在来種植物とニッチを競合して影響を与えるほか、家畜にとっては有毒であり、乳牛が誤食した場合牛乳乳脂肪量を低下させる[7][9]。抜き取りや刈り取りによる駆除でも鱗茎が地下に残るため、一度定着すると蔓延りやすく、春先に群生する鮮やかな黄色の花が美しいために駆除されずに放置されている場合も多い[7]

脚注[編集]

  1. ^ a b Oxalis pes-caprae L. オオキバナカタバミ”. 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList) (2014年8月15日). 2019年6月3日閲覧。
  2. ^ 世界有用植物事典、761頁。
  3. ^ a b c d e f 日本の帰化植物、126頁。
  4. ^ a b c 園芸植物大事典1、398頁。
  5. ^ a b c 原色日本帰化植物図鑑、210頁。
  6. ^ a b c d e 世界の雑草II、222頁。
  7. ^ a b c d e 侵入生物データベース オオキバナカタバミ”. 国立環境研究所. 2019年6月3日閲覧。
  8. ^ a b c 日本帰化植物写真図鑑、158頁。
  9. ^ 世界の雑草II、223頁。

参考文献[編集]

  • 竹松哲夫、一前宣正『世界の雑草 II―離弁花類―』全国農村教育協会、1993年。ISBN 4-88137-050-2 
  • 青葉高他塚本洋太郎(総監修)『園芸植物大事典 1』小学館、1988年。ISBN 4-09-305101-1 
  • 清水建美『日本の帰化植物』平凡社、2003年。ISBN 4-582-53508-9 
  • 清水矩宏、森田弘彦、廣田伸七『日本帰化植物写真図鑑 ―Plant invader 600種―』全国農村教育協会、2001年。ISBN 978-4-88137-085-8 
  • 長田武正『原色日本帰化植物図鑑』保育社、1976年。ISBN 4-586-30053-1 
  • 堀田満(代表編集) 編『世界有用植物事典』平凡社、1989年。ISBN 4-582-11505-5 
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]