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アルゴンの同位体

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

アルゴンの同位体(アルゴンのどういたい)は25種類が知られており、そのうち36Ar、38Ar、40Arの3種類が安定同位体となっている。

太陽大気など宇宙における同位体存在比は36Ar:84.2%, 38Ar:15.8%, 40Ar:0.026%と、36Arが多い[1]。これは宇宙の元素合成においてアルファ反応によりアルファ粒子の整数倍の原子が多量に合成されるためである。これに対し、地球大気中のアルゴンはほとんどがカリウム4040K)の崩壊により生成されたものであるため[注 1]、以下の一覧に示す通り40Arが圧倒的に多い。これにより、アルゴンの標準原子量は39.948(1) uとなっている。

地球の大気中では、宇宙線の作用により40Arとともに39Arが生成する。地球表面の環境では、39Kによる中性子捕獲43Ca(n,α)40Ar反応等によっても生じる[2]。天然のアルゴン中の39Arの割合は、(8.0±0.6)×10−16 g/gすなわち(1.01±0.08) Bq/kgと測定されている[3]37Arは、大気圏での核実験により40Ca(n,α)37Ar反応で生成され、35日の半減期を持つ[4]。地球大気中の42Arの割合は、6×10−21程度である[5]

一覧

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同位体核種 Z(p) N(n) 同位体質量 (u) 半減期 核スピン数 天然存在比
(地球大気)
天然存在比
(範囲)
励起エネルギー
30Ar 18 12 30.02156(32)# <20 ns 0+
31Ar 18 13 31.01212(22)# 14.4(6) ms 5/2(+#)
32Ar 18 14 31.9976380(19) 98(2) ms 0+
32mAr 5600(100)# keV ? 5-#
33Ar 18 15 32.9899257(5) 173.0(20) ms 1/2+
34Ar 18 16 33.9802712(4) 844.5(34) ms 0+
35Ar 18 17 34.9752576(8) 1.775(4) s 3/2+
36Ar 18 18 35.967545106(29) STABLE 0+ 0.003365(30)
37Ar 18 19 36.96677632(22) 35.04(4) d 3/2+
38Ar 18 20 37.9627324(4) STABLE 0+ 0.000632(5)
39Ar 18 21 38.964313(5) 269(3) a 7/2-
40Ar 18 22 39.9623831225(29) STABLE 0+ 0.996003(30)
41Ar 18 23 40.9645006(4) 109.61(4) min 7/2-
42Ar 18 24 41.963046(6) 32.9(11) a 0+
43Ar 18 25 42.965636(6) 5.37(6) min (5/2-)
44Ar 18 26 43.9649240(17) 11.87(5) min 0+
45Ar 18 27 44.9680400(6) 21.48(15) s (1/2,3/2,5/2)-
46Ar 18 28 45.96809(4) 8.4(6) s 0+
47Ar 18 29 46.97219(11) 1.23(3) s 3/2-#
48Ar 18 30 47.97454(32)# 0.48(40) s 0+
49Ar 18 31 48.98052(54)# 170(50) ms 3/2-#
50Ar 18 32 49.98443(75)# 85(30) ms 0+
51Ar 18 33 50.99163(75)# 60# ms [>200 ns] 3/2-#
52Ar 18 34 51.99678(97)# 10# ms 0+
53Ar 18 35 53.00494(107)# 3# ms (5/2-)#

注釈

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  1. ^ 自然界に存在するカリウムのうち40K天然放射性同位体であり、1.250×109年の半減期を持つ。電子捕獲陽電子放出β+崩壊)により40Ar(11.2%)となるか、またはベータ崩壊により40Ca(88.8%)となる。この性質は、カリウム-アルゴン法として岩石の年代測定に用いられる。

参考文献

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  1. ^ E. Anders and N. Greverse, Abundances of the elements: Meteoritic and solar. Geochim. Cosmochim. Acta 53 (1989), pp.197-214.
  2. ^ http://pubs.usgs.gov/bul/b2194/B2194-508.pdf
  3. ^ P. Benetti et al., Measurement of the specific activity of 39Ar in natural argon. Nucl. Instr. Meth. A 574 (2007) 83 [1].
  4. ^ 40Ar/39Ar dating and errors”. 2007年3月7日閲覧。
  5. ^ V. D. Ashitkov et al., New experimental limit on the 42Ar content in the Earth’s atmosphere. Nucl. Instr. Meth. A 416 (1998) 179 [2].

外部リンク

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