J/FPS-5

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
与座岳分屯基地のJ/FPS-5レーダー

J/FPS-5は、日本防衛省が主導して開発し、航空自衛隊レーダーサイトで運用されている防空用の固定式警戒管制レーダー装置。通称ガメラレーダー

概要[編集]

航空機巡航ミサイルのみならず、弾道ミサイルの探知と追跡を目的としたアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーである[1]三菱電機製。

高さ約34mある六角柱の建物の3つの側壁にそれぞれ巨大なレーダー面があり、その円形の覆いの模様が甲羅のようであり、大映(現・角川映画)の特撮怪獣ガメラにちなみ、「ガメラレーダー」とも呼ばれる[2]

3面ある内の中央面には、直径約18mの覆いの下にLSバンドのレーダーが設置されており、これが航空機と弾道ミサイルに対処する主警戒面である。残りの2面には、直径約12mの覆いの下にLバンドのレーダーがあり、航空機に対処する警戒面となっている。建物全体が回転できるため、必要に応じて高脅威方向へ指向できる。

実際に弾道ミサイルの飛来を探知した場合は、まず航空総隊/BMD統合任務部隊にデータが送信され、防衛省を経て内閣総理大臣および各省庁にデータが送られる。総務省は、全国瞬時警報システムを通じてマスメディアや地方公共団体に警報を伝達する。国民には、報道や防災無線を通じて屋内退避などの自己防衛が指示される。将来的に、宇宙ゴミの監視に用いることも検討されている[3]

開発[編集]

未だ早期警戒衛星を保有していない日本では、既存のレーダーでは、北朝鮮の弾道ミサイル発射を早期探知することは不可能であった。そこで、技術研究本部が1999年度から弾道ミサイル探知に対応したレーダーを開発名称FPS-XXとして開発を開始した。まずは千葉県旭市に位置する第2研究所飯岡支所に作られた研究試作機によって技術試験を実施し、2004年度からは同時に航空開発実験集団電子開発実験群飯岡試験評価隊が実用試験を行った。研究試作機は主警戒面と警戒面が1面ずつで、建物ごと回転させることができる。

2005年度に開発が終了し研究試作機は解体される予定だったが、量産型配備まで運用研究を実施するとして残されることになった。北朝鮮による2006年のミサイル発射実験では弾道ミサイルが発射直後に空中分解したため出番はなかったが、2009年のミサイル発射実験においては弾道ミサイルの追跡に成功している。

配備[編集]

2006年度から2009年度に予算が計上され、2008年度から2011年度までに4基が配備された。1基当たり約180億円。2009年3月31日に量産初号機が下甑島分屯基地に配備された。大型であることから、取得費用のみならず、設置に向けての土木工事にも費用がかかるため、4基で調達を終了する[1]。C型までの3つのサブタイプがある。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 北の空を睨む!新時代を迎える空自の固定式警戒管制レーダー BMD探知!ステルス機対応! 小林晴彦 軍事研究 2012年5月号 株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー P64-73
  2. ^ a b 沖縄の「ガメラ」与座岳分屯基地開庁39周年 鈴崎利治 軍事研究 2012年5月号 株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー P11-13
  3. ^ “宇宙ごみ:衝突なら衛星被害 監視、空自レーダーで 防衛省が検討”. 毎日新聞. (2013年4月2日). オリジナル2013年5月1日時点によるアーカイブ。. https://archive.is/MPlVu 2013年4月2日閲覧。 
  4. ^ 平成20年度装備施設本部調達実施概況
  5. ^ 平成21年度装備施設本部調達実施概況

関連項目[編集]