SI併用単位
SI併用単位(エスアイへいようたんい)とは、国際単位系 (SI) には属さないが、SI単位との併用が国際度量衡委員会 (CIPM) により認められている単位である。
SI基本単位やそれを組み立てたSI組立単位は、計算の際に単位の換算をしなくて済むという利点があり、全ての人がSI単位を使用することで、その利点がより発揮されることになる。しかし、実際にはいくつかの非SI単位が科学、技術、通商の分野で使用されており、それらは今後も使われ続けることが予想される。そのため、SIの国際文書ではそれらの非SI単位のうちのいくつかを「SI単位と併用できる非SI単位」として明示している。
SI併用単位
下記に、SI国際文書「国際単位系(SI)」第9版(2019年)第4章「SI単位と併用できる非SI単位(Non-SI units accepted for use with the SI Units )」の表8[1][2]で挙げられている非SI単位の全てを列挙する。この表中の非SI単位は、SI単位との併用が認められる。
量 | 単位の名称 | 単位の記号 | SI単位による値 |
---|---|---|---|
時間 | 分 | min | 1 min = 60 s |
時 | h | 1 h = 60 min = 3600 s | |
日 | d | 1 d = 24 h = 86 400 s | |
長さ | 天文単位(a) | au | 1 au = 149 597 870 700 m |
平面角 | 度 | ° | 1° = (π/180) rad |
分 | ′ | 1′ = (1/60)° = (π/10 800) rad | |
秒(b) | ″ | 1″ = (1/60)′ = (π/648 000) rad | |
面積 | ヘクタール(c) | ha | 1 ha = 1 hm2 = 104 m2 |
体積 | リットル(d) | L, l[3] | 1 L = 1 l = 1 dm3 = 103 cm3 = 10−3 m3 |
質量 | トン(e) | t | 1 t = 103 kg |
ダルトン(f) | Da | 1 Da = 1.660 539 066 60(50)× 10-27 kg[注 1][4] | |
エネルギー | 電子ボルト(g) | eV | 1 eV = 1.602 176 634 × 10-19 J |
比の対数 | ネーパ(h) | Np | |
ベル(h) | B | ||
デシベル(h) | dB |
(a)国際天文学連合の第18回総会における決定(2012年,決議B2)
(b)天文学のような分野では小さい平面角は,アーク秒(as または ” の記号を使う),ミリアーク秒 (mas),マイクロアーク秒 (μas),ピコアーク秒 (pas) で測られる.アーク秒は平面角「秒」の別名である。
(c) ヘクタールの名称と記号haは1879年の国際度量衡委員会(議事録 1879, 41)で採択された.土地の面積を表すために使用される。
(d) 単位リットルとその記号の小文字のl(エル)は1879年の国際度量衡委員会 (PV,1879, 41) により採択された.もう一つの記号大文字のLは,小文字のlと数字の1との混同による危険を避けるために,第16回CGPM(1979, 決議 6, CR 101,及びMetrologia, 1980, 16, 56-57)で採択された。
(e)単位トン(tonne)とその記号tは1879年の国際度量衡委員会で採択された(議事録 1879, 41)。いくつかの英語使用国では,この単位をときに「メートル系トン(metric ton)」と呼んでいる。
(f)単位ダルトン(Da)と統一原子質量(u)は,静止して基底状態にある自由な炭素原子12Cの質量の1/12に等しい質量の別名(記号)である。
(g) 電子ボルトの大きさは,真空中において1Vの電位差を通過することにより電子が得る運動エネルギーである.電子ボルトは,しばしばSI接頭語を付して使われる。
(h) これらの単位を使用するときは,量の内容および基準とする値を特定しなければならない。
その他の非SI単位の削除
第8版(2006年)のSI国際文書「国際単位系(SI)」(廃版)の第4章の「4.1 SIと併用される非SI単位,及び基礎定数をよりどころとする単位」には、SI併用単位とは別に表7、表8、表9に次の単位が掲げられていた。
- 表7 SI単位で表される数値が実験的に求められる非SI単位[5]
- SIとの併用が認められている単位 4単位
- 自然単位系 4単位
- 原子単位系 6単位
- 表8 その他の非SI単位[6]
(注)このうちガル(Gal)については第9版表8の欄外注に掲げられており、やや特別な扱いになっている。
以上の単位のうち、天文単位、ダルトン、電子ボルト、ネーパ、ベル、デシベルの6単位(およびガル)は、第9版の「SI併用単位」に格上げされ、残りの単位は全て第9版からは削除された。
脚注
注
出典
- ^ 国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版 産業技術総合研究所、計量標準総合センター 4 SI単位と併用できる非SI単位 表8 SI単位と併用できる非SI単位、p.114
- ^ The International System of Units(SI) 9th edition 2019 Bureau International des Poids et Mesures, 2019-05-20, p.145-146
- ^ リットル#記号のゆれ
- ^ unified atomic mass unit The NIST Reference on Constants, Units, and Uncertainty. US National Institute of Standards and Technology. 2019-05-20. 2018 CODATA recommended values
- ^ 国際単位系 (SI) 国際文書第8版 2006年(日本語訳)(廃版) 産業技術総合研究所、計量標準総合センター 4.1 SIと併用される非SI単位,及び基礎定数をよりどころとする単位 表7 SI単位で表される数値が実験的に求められる非SI単位、p.38
- ^ 国際単位系 (SI) 国際文書第8版 2006年(日本語訳)(廃版) 産業技術総合研究所、計量標準総合センター 4.1 SIと併用される非SI単位,及び基礎定数をよりどころとする単位 表8 その他の非SI単位、p.40
- ^ 国際単位系 (SI) 国際文書第8版 2006年(日本語訳)(廃版) 産業技術総合研究所、計量標準総合センター 4.1 SIと併用される非SI単位,及び基礎定数をよりどころとする単位 表9 CGS単位系およびCGSガウス単位系に属する非SI単位、p.41