口臭

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。ROE100 (会話 | 投稿記録) による 2020年11月9日 (月) 11:13個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (→‎概説: リンク、重複リンク削除)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

口臭(こうしゅう、英語: bad breath、halitosis)とは、口腔および呼気嫌な臭いのこと[1]

概説

広辞苑では「口中の不潔および気道・消化器の疾患から起こる」という[1]。また、臭いの強い食品を食べることによっても起きる。人の口臭は生活習慣や体内環境によって臭いの有無や種類が大きく左右される。臭いの強い食品を避け、食事の後には歯磨き(できれば、加えて洗浄)を行うことで口腔内を清潔に保ち、またの調子を整えることなどが、口臭を防止する上で基本的な方法である。

口臭が特に強い動物もいる。

原因

口臭の原因はいくつかに分類されることがある。 「大きく生理的口臭(一時的なものを含む)と病的口臭(慢性的なもの)に分けられるが、それぞれの区分は相対的なものである。」とも[要出典]

生理的口臭

健康状態や年齢性別に関わりなく起こる口の臭いである。口の中が不快な感じになるため、後述する病的口臭に比べ本人に自覚症状があるケースが多いとされる。生活リズムや習慣、精神状態などに応じて発生する。口臭の多くがこの生理的口臭である。

生理的口臭の種類は数多い。以下に列挙する。

  • 飲食
    • 臭いの強い食品を食べることによるもの
    • アルコール類の摂取、飲酒によるもの(飲酒者当人に自覚は無い場合でも、アルコール臭が漂っている)
  • 歯垢
    食べカスに含まれるタンパク質が口腔内の細菌により分解されて生じる、メタンチオールをはじめとする揮発性有機硫黄化合物スカトールインドール、長鎖アルコールなどが主な原因と考えられている[2]
  • 舌苔の堆積
  • 強いストレス睡眠などによる口内の乾燥
  • 膿栓によるもの
    虫歯歯周病といった口内環境や胃などの消化器系が悪くない場合であっても、口臭がする場合は膿栓による口臭が強く考えられ、口臭の原因の中でも膿栓由来の口臭の割合も多い。
  • 喫煙によるもの
  • 口呼吸によるもの
    口の中が乾き、口臭が発生する。これは、口呼吸によって唾液量が減り細菌の量が増えるためである。
  • 女性特有のケース
    生理時の精神的不調によるもののほか、女性に多い便秘により、便秘している腸から腸内ガスが吸収され血管内を運ばれ、肺から放出され口腔に至る為である。

病的口臭

慢性的な問題を孕んでおり、これらの多くは、他人からするとかなり強い臭いである場合が多いが、病気によるものであるゆえ本人の自覚症状がない場合も多い。
  • 歯学的問題によるもの
    虫歯や歯周病など口内における特定の細菌の繁殖(口臭のある虫歯は進度が大きいので要注意である)や、歯石が多く付着している場合に臭いが強くなる。病的口臭の多くが歯科的な問題によるものである。
  • 内科学耳鼻咽喉科学)的疾病によるもの
    具体例として、慢性鼻炎、蓄膿症慢性気管支炎胃潰瘍肝炎糖尿病消化器(特に胃の不全)の病気などが挙げられる。このうち肝炎や糖尿病の場合は特有のすえたような臭いがある(肝性口臭、アセトン臭)。そのほか薬品くさい臭い、二日酔いのような臭い、甘ったるい臭いを指摘された場合は、病気が潜んでいる可能性がある。
  • 加齢によるもの
    プレボテラ属系の細菌が加齢とともに増加し、同菌が生成するイソ吉草酸が揮発して不快臭を発する。

対策

臭いの強い食品を食べることは避ける、食事の後には毎回、歯ブラシ歯間ブラシ洗口液歯磨きを行い歯垢をおとす(さらにも洗い清潔な状態に保つ)、ストレスをためないようにし生活リズムを保ち睡眠を十分にとることでの調子を整える、といったところが口臭防止の基本である。 また、タバコを吸っている人はそれを控える。飲酒量が多い人はそれを控え目にする。他にも、特に上で指摘したような何か医学的な原因がある場合は、その原因の除去を行う。また、生理的口臭は根本的に口内の唾液不足が考えられる為、日頃から常に唾液で口腔内を潤すとともに口の乾燥状態を避ける必要がある。ガムや飴といった唾液の出やすい物を食べ唾液の出やすい環境作りをする事で唾液が出にくい人も唾液の分泌を促進させる事が出来る。口臭原因の一つでもある舌苔も唾液で舌表面を十分に潤してから舌みがきを行うと口腔内が乾燥状態の時よりも汚れを落としやすくなる。

口臭の激しい動物

などの動物に激しい口臭を持つものがいるが、これは主に牧草などの飼料発酵した際に生じる特定のガスが原因であり、人間の口臭とは質的に異なる場合が多い。

脚注

  1. ^ a b 広辞苑 第五版 p.897「口臭」
  2. ^ 井上重治『微生物と香り ミクロの世界のアロマの力』フレグランスジャーナル社、2002年8月1日、113頁。ISBN 4-89479-057-2