コンテンツにスキップ

プログレスMS-14

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2023年6月30日 (金) 20:26; Cewbot (会話 | 投稿記録) による版 (解消済み仮リンク聖ゲオルギーのリボンを内部リンクに置き換えます (今回のBot作業のうち68.7%が完了しました))(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
プログレスMS-14
ISSにドッキング中のプログレスMS-14
名称Прогресс МC-14
Progress-75P (NASA)
任務種別ISS再補給
運用者ロスコスモス
COSPAR ID2020-026A
SATCAT №45595
ウェブサイトhttps://www.roscosmos.ru/
任務期間370日1時間42分
特性
宇宙機プログレスMS-14 シリアルナンバー 448[1]
宇宙機種別プログレスMS
製造者エネルギア
打ち上げ時重量7430 kg
ペイロード重量2528 kg
任務開始
打ち上げ日2020年4月25日01時51分41秒 UTC
ロケットソユーズ2.1a
打上げ場所バイコヌール宇宙基地31/6番射点
任務終了
廃棄種別軌道離脱
減衰日2021年4月29日00時42分 UTC
軌道特性
参照座標地球周回軌道
体制低軌道
傾斜角51.65°
ISSのドッキング(捕捉)
ドッキング ズヴェズダ船尾
ドッキング(捕捉)日 2020年4月25日05時11分56秒 UTC
分離日 2021年4月27日23時11分00秒 UTC
ドッキング時間 367日17時間59分
輸送
重量2528 kg
加圧1358 kg
燃料700 kg
ガスカーゴ420 kg
水カーゴ50 kg(酸素)
プログレスISS再補給

プログレスMS-14ロシア語: Прогресс МC-14、ロシア製造番号448、NASAではプログレス75Pと呼称)は、国際宇宙ステーション(ISS)への再補給のためにロスコスモスが打ち上げるプログレス補給船[2][3]。これはプログレス宇宙機の166回目の飛行となる。

来歴

[編集]

プログレスMSはプログレスMをもとに航法装置を強化した無人輸送機。この強化されたバリエーションは2015年12月21日に初めて打ち上げられた。このバージョンでは以下の強化が施されている:[4][5][6]

  • 人工衛星を展開可能な新しい外部コンパートメント。それぞれのコンパートメントは4個までの発射コンテナーを搭載することができる。プログレスMS-03で初めて搭載された。
  • ドッキングおよび密閉機構の電気モーターの予備システムの追加による強化された冗長性
  • 貨物コンパートメントへのパネル追加による微小隕石防護力の増強
  • ロシアのルーチ中継衛星とのリンク機能によって、地上局の視野外でもテレメトリーと制御が可能に
  • 地上局による軌道決定の必要なしに状況ベクトルおよび軌道パラメーターの決定を可能にするGNSS自律航法
  • 宇宙ステーションとの直接無線データ交換機能によるリアルタイムの相対ナヴィゲーション
  • ドッキング操作のための強化されたTV視野を可能にする新しいディジタル無線システム
  • 統合コマンド・テレメトリー・システム(UCTS)によるウクライナ製のChezara Kvant-V無線システムおよびアンテナ・フィーダー・システムの置き換え
  • クルスAからクルスNAディジタル・システムへの置き換え

宇宙機

[編集]

この飛行は対独戦勝75周年英語版を記念して聖ゲオルギーのリボンと第二次世界大戦の勲章がソユーズに搭載された。プログレスMS-14はCOVID-19のステーションへの侵入を防ぐために打ち上げ前に追加の消毒を行ってから送り出された。コントロール・サンプルを選択して納入された物品の表面を消毒するだけではなく、まず、内側の表面と機器が消毒された。燃料が注入され、機器をアップグレードした後に、ウィルスのISSへの侵入を防止するために追加の消毒が行われた[7]

打ち上げ

[編集]

「戦勝ロケット」[8]とも呼ばれた、プログレスMS-14の打ち上げに使用されたソユーズ2.1aは、欧州での第二次世界大戦の終盤にドイツエルベ川での米ソ両軍の会合75周年を記念してペイロード・フェアリングに「75」と言う数字が書かれた。75と言う数字は2000年以来の国際宇宙ステーションへのプログレスの75回目の補給飛行という二重の意味も持たされている[9][10]

プログレスMS-14は2020年4月25日01時51分41秒 UTCにバイコヌール宇宙基地31/6番射点から迅速軌道で打ち上げられた。通常の打ち上げの後、プログレスMS-14は同日05時11分56秒 UTCにズヴェズダ・モジュールにドッキングした[10]

ドッキング

[編集]

打ち上げの約3時間20分後の2020年4月25日05時11分56秒 UTCにプログレスMS-14はズヴェズダ・モジュールの後方ポートに自動で成功裏にドッキングし、2021年4月27日までとどまった。

貨物

[編集]

プログレスMS-14宇宙機は、1358kgの与圧貨物を含む2528kgの貨物を搭載していた。以下はISSへの貨物の内訳である:[5]

  • 与圧貨物: 1358 kg
  • 燃料: 700 kg
  • 酸素: 50 kg
  • 水: 420 kg

ドッキング解除と投棄

[編集]

ミッション完了後、プログレスMS-14は廃棄するごみを積み込んで2021年4月27日にステーションからドッキング解除した。同機は2021年4月29日00時42分 UTCに南太平洋上で破壊されるように大気圏に再突入した[11]

関連項目

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ McDowell, Jonathan (26 May 2020). “International Space Station”. Jonathan's Space Report No. 778. 2021年8月12日閲覧。
  2. ^ The "Victory Rocket" with Progress MS-14 cargo craft takes off Baikonur cosmodrome” (24 April 2020). 12 May 2020閲覧。
  3. ^ Gebhardt, Chris (24 April 2020). “Soyuz "Victory Rocket" launches Progress MS-14, followed by docking to the ISS”. NASASpaceflight.com. 13 May 2020閲覧。
  4. ^ Krebs, Gunter (1 December 2015). “Progress-MS 01-19”. Gunter's Space Page. 2 October 2020閲覧。
  5. ^ a b Progress MS-14 2020-026A”. NASA (14 May 2020). 25 May 2020閲覧。  この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
  6. ^ Zak, Anatoly. “Progress-MS”. RussianSpaceWeb. 2 October 2020閲覧。
  7. ^ Космический грузовик "Прогресс МС-14" пристыковался к МКС” (ロシア語) (25 April 2020). 21 May 2020閲覧。
  8. ^ Harwood, William (25 April 2020). “Russian Progress cargo ship delivers 2528 kg of supplies to space station”. cbsnews.com. CBS News. 26 April 2020閲覧。
  9. ^ Clark, Stephen (25 April 2020). “Soyuz launches from Kazakhstan with Space Station supply ship”. 10 May 2020閲覧。
  10. ^ a b Zak, Anatoly (25 April 2020). “Progress MS-14 Arrives at ISS”. RussianSpaceWeb. 25 May 2020閲覧。
  11. ^ Завершен полет корабля-рекордсмена «Прогресс МС-14»” [The flight of the record-breaking vehicle "Progress MS-14" has been completed] (ロシア語). Roscosmos (29 April 2021). 30 April 2021閲覧。