トライメット タイプ4電車
トライメット タイプ4電車 トライメット タイプ5電車 シーメンス S70 トライメット タイプ6電車シーメンス S700 | |
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基本情報 | |
運用者 | トライメット |
製造所 | シーメンス |
製造年 |
タイプ4 2007年 - 2009年 タイプ5 2014年 - 2015年 |
製造数 |
タイプ4 22両(401 - 422) タイプ5 18両(521 - 538) タイプ6 26両 + オプション60両 |
運用開始 |
タイプ4 2008年 タイプ5 2015年 タイプ6 2021年 |
投入先 | MAXライトレール |
主要諸元 | |
編成 | 2両編成 |
軸配置 | Bo′+2′+Bo′(3車体連接車) |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 |
直流750 V (架空電車線方式) |
最高運転速度 | 88.5 km/h(55 mph) |
設計最高速度 | 120 km/h(71.5 mph) |
起動加速度 | 1.35 m/s2(3.0 mphps) |
減速度(常用) | 1.35 m/s2(3.0 mphps) |
減速度(非常) | 2.23 m/s2(4.9 mphps) |
車両定員 |
タイプ4 172人(着席68人) 最大228人 タイプ5 186人(着席72人) 最大243人 |
車両重量 |
タイプ4 45.1 t(99,500 lbs) タイプ5 45.8 t(101,000 lbs) |
全長 | 28,020 mm(96.4 ft) |
全幅 | 2,650 mm(8.7 ft) |
全高 |
3,870 mm(12.7 ft) (集電装置含) |
床面高さ |
366 mm(1.2 ft)(扉部分) 396 mm(1.3 ft)(低床部分) 670 mm(2.2 ft)(高床部分) |
固定軸距 |
1,900 mm(6.2 ft)(動力台車) 1,800 mm(5.9 ft)(付随台車) |
主電動機出力 |
タイプ4 175 kw タイプ5 130 kw |
出力 |
タイプ4 700 kw タイプ5 520 kw |
制御方式 | VVVFインバータ制御(IGBT素子) |
制動装置 | 電気指令式油圧ディスクブレーキ、電磁吸着ブレーキ |
備考 | 主要数値は[1][2][3][4][5][6][7]に基づく。 |
タイプ4(Type 4)は、アメリカ合衆国オレゴン州のポートランドや周辺都市に大規模な路線網を有するMAXライトレール(Max Light Rail)で運用される電車(超低床電車)。2008年から営業運転を開始した[1][2][3]。
この項目では、増備車であるタイプ5(Type 5)、タイプ6(Type 6)についても解説する。全形式ともシーメンスが手掛ける超低床電車ブランドのS70やその発展形であるS700を採用している[1][2][4][6]。
タイプ4
概要
ポートランドに近接したベッドタウンであるクラカマス郡への路線延伸プロジェクト(I-205/Portland Mall MAX Light Rail Project、MAXグリーンライン)の一環として発注が行われた形式。車内の70%が低床構造となっている部分超低床電車で、1両あたりの製造費用は350万ドルである[2][3]。
編成は先代の超低床電車(タイプ2・タイプ3)と同様の3車体連接車で、動力台車が設置された両端の車体が付随台車や集電装置を搭載した中間車体を挟む構造となっている。ただし車体に耐候性高張力鋼(LAHT)を始めとした複合材料を使用する事で重量が軽くなっている他、連結運転を前提としているため運転台は片側のみに設置され、もう片側には4人掛けの座席が存在する。連結器は折り畳み式で、未使用時には車体とデザインが一体化したカバー内に格納される[2][3]。
座席は車端連結面側にある2人掛けロングシートを除きクロスシートで、両端の車体には車椅子スペースと自転車ラックが2箇所づつ存在する。乗降扉は全て低床部分に配置されている他、下部には格納式のスロープも存在し、障害を持つアメリカ人法(ADA)に適合した設計となっている。車両にはバックカメラが搭載されており、運転手の後方視界向上が図られる[2][3]。
主要機器の多くはアメリカ国内で生産されたものを使用しており、国外製の部品は台車(オーストリア製)や空調装置(チェコ製)など一部に限られている。主電動機は動力台車に2基づつ設置されており、IGBT素子を使用し、マイクロプロセッサ制御システムを搭載したVVVFインバータ制御装置によって制御される。これにより、従来の車両よりもスムーズな減速が可能となっている。制動装置には電気指令式油圧ディスクブレーキや非常用の電磁吸着ブレーキが、保安装置として列車情報伝送装置(TWC)や自動列車停止装置(ATS)、記録装置が搭載される[2][3]。
運用
設計は2006年から始まり、翌2007年から2009年にかけて発注分の全22両が製造された。営業運転の開始は2008年8月6日で、タイプ4同士による2両編成の他、タイプ5との連結運転も実施される。導入当初、前面の方向幕はロール式であったが2014年から2016年にかけてLED式への変更が行われている[1][8][9]。
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車内
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運転台が設置されていない側の先頭車体(B車)には座席が設置されている
タイプ5
ミルウォーキー方面への路線延伸(MAXオレンジライン)に合わせて18両が発注された形式。基本的な構造はタイプ4と同様で連結運転も可能だが、前方のデザインが改められ、人間工学に基づき設計された運転台によって運転士の快適性が向上している。車内についても、タイプ4で乗客から不評であったシートピッチ[注釈 1]や空調システム[注釈 2]が改善され、広いシートピッチや気温に応じて細かく調整される空調システムが採用された他、高齢者や車椅子利用者の支援者向けの座席の追加、LED照明の採用、監視カメラの変更など多数の改良点が存在する[5][10]。
2013年にシーメンスへの発注が行われ、2015年4月から営業運転を開始している[11]。
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タイプ4(左)とタイプ5(右)の連結運転(2018年撮影)
タイプ6
開業時に導入された高床車のタイプ1の置き換え用として、2019年にトライメットは26両の超低床電車・S700をシーメンスに発注した。車体の基本構造はS70(タイプ4・タイプ5)と同一だが、IoTデバイスを搭載する事で運用や保守の効率を高める。2021年からの運行開始を予定しており、契約には今後の更なる路線延伸に備えた60両のオプション発注分も含まれている[6][12]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d “Trimet's Rail Vehicle Fleet”. TriMet. 2019年12月16日閲覧。
- ^ a b c d e f g “S70 Light Rail Vehicle Portland, Oregon”. Siemens. 2011年8月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月16日閲覧。
- ^ a b c d e f “MAX: The next generation”. TriMet. 2019年12月16日閲覧。
- ^ a b “S70 Low-Floor Light Rail Vehicle Portland, Oregon”. Siemens. 2019年12月16日閲覧。
- ^ a b “Improved MAX vehicles added to fleet”. TriMet. 2019年12月16日閲覧。
- ^ a b c Redaktion (2019年7月31日). “Siemens Mobility awarded order for 26 Light Rail Vehicles by Portland’s TriMet”. Urban Transit Magazine. 2019年12月16日閲覧。
- ^ Tramways & Urban Transit magazine. LATA Publishing. (2012-6). pp. 235. ISSN 1460-8324.
- ^ Jim Redden (2009年8月6日). “TriMet puts new light-rail cars on track”. Portland Tribune. 2009年8月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年12月16日閲覧。
- ^ Tramways & Urban Transit magazine. LATA Publishing. (2016-11). pp. 440. ISSN 1460-8324.
- ^ Joseph Rose (2012年4月1日). “TriMet asks cramped MAX riders to help design next-generation train's seating”. The Oregonian. 2019年12月16日閲覧。
- ^ Tramways & Urban Transit magazine. LATA Publishing. (2015-7). pp. 289. ISSN 1460-8324.
- ^ Redaktion (2019年7月31日). “Siemens to supply S700 light rail vehicles to Portland”. Railway Gazette International. 2019年12月16日閲覧。
外部リンク
- MAXライトレールの公式ページ” (英語). 2019年12月16日閲覧。 “