鬼ヶ島

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鬼ヶ島(おにがしま)は、御伽話説話桃太郎一寸法師鬼の子小綱などに登場するが住んでいる島。

概要[編集]

説話には具体的場所、状態の説明はない。そのため一般的には岩で出来た島で、鬼の要塞としてのが築かれていると想像されるのみである。

鬼が住むとされる島の記述は、古くは13世紀前後成立の『保元物語』において、「鬼島(諸本によって「鬼が島」「鬼の島」)」が文献上に見られ、源為朝が鬼の子孫を称する島人と会話をし[1]、「鬼持なる隠蓑[2]、隠笠、打ち出の履(くつ)[3]」といった神通力を有する宝具を所持していた(が、為朝上陸時点ではなくなっている)ことが説明されている。この鬼ヶ島については、青ヶ島の古名であり、青島に鬼島の伝承があったことを示唆するものとされる[4]

なお、後述する日本各地にある伝承地・モデルとされる地においては、必ずしも島であるとは限らず、陸地であるものもある。

伝承地[編集]

桃太郎[編集]

岡山県
桃太郎伝説のある地方のひとつで、吉備津彦温羅伝説が残る岡山県総社市岡山市では、総社市東部にある鬼ノ城という城が築かれた鬼城山(きのじょうざん)が鬼ヶ島のモデルとされている。桃太郎に登場する鬼のモデルといわれる温羅という大男が、伝説内で居城としていたためである。同県は、桃太郎が県のマスコット的な位置付けになっていることで知られる。
香川県
桃太郎伝説のある地方のひとつ香川県高松市では、高松港の沖合い約4kmの瀬戸内海に浮かぶ女木島を鬼ヶ島の一部であると伝えられる。
岐阜県
桃太郎伝説のある地方のひとつ木曽川中地域(愛知県岐阜県)では、岐阜県可児市塩字中島の可児川(木曽川支流)にある中州が鬼ヶ島であると伝えられている。中州であるが、約2000万年にこの付近に存在した火山の噴火で発生した火砕流でできた凝灰角礫岩でできた島である。かつて山賊の住処であったと推測されている。

その他に奈良県などがある。

黍(きび)団子との関係[編集]

桃太郎における黍団子を「この世の竃の飯」(あの世の竃の飯を食すとあの世へ行くのに対し、この世につなぎ止める飯)とする風習に照らした場合、鬼ヶ島という異界・あの世に行くに当たり、桃太郎の生命力を強化し、この世側に結びつけ、あの世=鬼ヶ島で迷わず、帰って来られる力を発揮させるものだったと解釈される[5]。この世の食物を異界(あの世)に持って行くという点では、『鼠浄土(おむすびころりん)』や『地蔵浄土』も同じで、食物の力に頼る(あの世で迷わないための鍵としての)類型といえる[6]

備考[編集]

  • 十勝アイヌの昔話に「オムタロ・シタロ」という似た内容の話があり、鬼ヶ島も登場するが、柳田國男によると日本人から学んだと想像されるとする[7](タロが太郎からきているとする)。オムとは「股」の意。

お伽話とその派生作品以外のフィクション作品における鬼ヶ島[編集]

漫画・アニメ[編集]

映画・テレビドラマ[編集]

ゲーム[編集]

桃太郎とその派生作品については、桃太郎を参照。

脚注[編集]

  1. ^ 『保元物語 (下)』「為朝鬼島に渡る事 最後の事」において、「昔は鬼なりしか(先祖は鬼だったが)、今は末になりて(自代はその末裔である)」と説明している。
  2. ^ 後世の民話などによって天狗が身につけているイメージがあるが、古くは鬼の宝具であり、『宝物集』においても隠れ蓑が説明されていることから、これらの宝物は12世紀末には伝承が生じていたことがわかる。
  3. ^ 「うちで」は原文ママ。水面を浮いて歩くことができる履物。
  4. ^ 新 日本古典文学大系 『保元物語』 岩波書店 脚注より。
  5. ^ 古川のり子 『昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話学』 角川ソフィア文庫 2016年 p.40.
  6. ^ 同『昔ばなしの謎 あの世とこの世の神話学』 pp.40 - 41.
  7. ^ 『新編 柳田國男集 第七巻』 筑摩書房 1978年 p.224.

関連項目[編集]