行商専用列車

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行商専用列車(ぎょうしょうせんようれっしゃ)は、行商のための団体専用列車である。

成り立ち[編集]

行商人を専用に輸送する列車は関東大震災以前はあまり見られなかったが、同震災により物資が都内で不足したことを機に、千葉県から東京都への一般農家による野菜などの行商が始まり、後にその固定した需要から専用列車として京成電鉄の野菜行商専用列車、通称「なっぱ電車」が走り始めた。京成では正式には「嵩高荷物専用車」と称する。ただし、その対象は「京成行商組合」の加入者で、定期手回り品切符を発行の上で利用している。

これら農産物や食品の行商人は背に商品となる野菜などを担いでいたことから「カツギ屋」とも呼ばれ、京成のみならず国鉄でも見られ、常磐線(おおよそ神立駅以南)・成田線にも同様の専用車(出荷組合員指定車)が存在していたこともある。そのため、2019年12月時点でも湖北駅-下総松崎駅間のホームには、旧行商組合が設置したとされる行商人専用の荷物置き台が現存している[1]

現状[編集]

私鉄で運行されていた行商専用列車は、地方私鉄の相次ぐ廃線合理化に伴い縮小の一途を辿り、京成の「なっぱ列車」も次第に縮小され、1982年2月14日から行商専用列車に代わり、京成上野行・西馬込行(専用車扱いは押上駅まで)各1本最後尾1両だけの専用車扱いで運行され、以降は「行商専用車」と称された。その車両は若干窓を開けてそこに板を吊り下げる形でその旨を示し、後期にはステッカーを貼り付けていた。

行商人の利用の減少と車内の混雑対策もあり、1998年10月1日より押上方面行の専用車設定は無くなり、以降は上野方面のみの設定となり、2013年3月29日の運行を以て廃止された[2]。廃止直前に行商車両が設定されていた当該列車は、普通(列車番号 732列車)芝山千代田発(7時46分発)京成上野行(9時52分着)[3]で、平日のみの設定だった。この列車が到着する駅のホームでは、「当駅○時○○発(平日)普通上野行の最後部一両は 行商専用車です」との但し書きがあった(○の中には、その駅の発車時間を表す算用数字が入る)。また、行商組合が休みの場合は、専用車は中止された。

2020年3月13日近畿日本鉄道が運行する鮮魚列車の廃止を最後に、行商人しか乗ることが出来ない貸し切り列車は姿を消し、翌週16日以降は平日のみ急行列車に専用車両を連結する形で運行した[4]

2021年から、東武鉄道では東上線の快速急行車内で野菜の輸送を開始し、それが「行商列車の再来」とも言われた。ほぼ同時期には西武鉄道京浜急行電鉄東日本旅客鉄道西日本旅客鉄道などでも試験目的を含めて実施例が出ている。

その他[編集]

地方私鉄では気動車の端に「鮮魚台」と呼ばれるカゴを設置して、乗客とともに鮮魚を輸送していた。

東京都電車では、第二次世界大戦前後のガソリン統制の折、早朝に築地始発の魚屋さん専用電車を出していた。戦後、専用電車は廃止されたが、朝方に築地を通る電車には魚を仕入れたブローカーが大量に乗車する状態が続き、臭気などから苦情が出るなど実質的な専用列車の状態となっていた[5]

脚注[編集]

  1. ^ JR成田線湖北駅 一部撤去「行商台」持ち主探しまでの顛末”. 週刊ポスト(2019年12月22日作成). 2019年12月22日閲覧。
  2. ^ 京成電鉄の「行商専用車両」が廃止に 朝日新聞、2013年3月29日閲覧。
  3. ^ 京成時刻表vol.26 75ページ
  4. ^ 鮮魚列車、ラストラン 半世紀の歴史に幕―近鉄”. 時事通信(2020年3月13日作成). 2020年3月13日閲覧。
  5. ^ 「魚・乗客を押のける」『朝日新聞』昭和26年10月26日2面

関連項目[編集]