脊椎側彎症

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手術前後の少女のX線写真(正面から撮影、当時16歳)

脊椎側彎症(せきついそくわんしょう、英:Scoliosis)とは、脊椎(背骨)が側方に弯曲する病気である。「脊柱側彎症」(せきちゅう―)や、異体字の「側弯」表記も多く見られる。側は誤記。

側方への弯曲以外に、前後に弯曲した後彎症もある。

概要[編集]

脊椎は、生理的弯曲といって体の側面から見ると前後にカーブしているが、正常な状態であれば正面あるいは背面から見るとまっすぐに伸びている。

但し側方(横方向)に弯曲したり、脊椎がねじれている場合があり、これらを脊椎側彎症または側彎症と呼ぶ。脊柱がねじれながら横に弯曲する側彎症、後方に凸に曲がる後彎、側彎と後彎が合併した後側弯症の3つに分けられる[1]。痛みを伴うことは稀なため初期における発見は難しく、ある程度成長してしまってから気がつく場合が多い。肩やウェストの高さが左右で違うなどの外見上の問題の他、高度の弯曲になると、腰背部痛に加えの圧迫と変形による呼吸器障害・循環器障害など内臓にも影響を及ぼし、皮下脂肪型肥満の女児にも発生する。

日本では、乳幼児学校健康診断脊柱検査が行われており、1980年(昭和55年)年頃よりモアレ検査による検診が普及し、早期発見が可能になった。

分類[編集]

側彎症には、大別して原因が特定できているものと特定できていないものがある。

原因が特定されている側彎症[編集]

原因が特定できているものは、原因に応じて以下のように分類される。

先天性側彎症[編集]

先天的または発育段階に生じた脊椎の異常によって発症する。

神経原性側彎症[編集]

脊髄の異常によって発症する。

筋原性側彎症[編集]

筋肉の異常により正常な姿勢を保てないことによって発症する。

間葉性側彎症[編集]

マルファン症候群にみられる。

神経線維腫症の合併症としての側彎症[編集]

神経線維腫症1型にみられる。

外傷性側彎症[編集]

外傷を負ったことにより発症する。

頭蓋変形症の合併症としての側彎症[編集]

頭蓋変形に伴って発症する。

原因が特定されていない側彎症(特発性側彎症)[編集]

特発性側彎症とは、原因の分からない側彎症の総称である。この特発性側彎症が側彎症の大部分を占めている。発症時期により、

に細分され、脊椎側弯症の多くが思春期脊椎側弯症[2]であることから、小学校4年生から中学校3年生までの間が特に注意が必要とされ[3]、およそ1:7の割合で女子に多く、その中でも初経前後の女子に多く発症する[4]

健康への影響[編集]

側方に弯曲するだけでなく、椎体自体がねじれながら弯曲するため、やがて肋骨も変形し、凸側の肋骨が後方に張りだすと、女性の場合は乳房が左右不均等になったり、背中が出っ張るなど容姿に影響する。さらに進行すると凸側の肋骨の前後がつぶれるように変形し、心臓などの臓器を圧迫することで影響が出る。側弯が70度を超えた場合は肺活量が極度に減少し、90度を超えると肺や心臓の機能にも大きく影響し平均余命が短くなるといわれる。腰椎は、肋骨がなく、主に筋肉靭帯により支えらるため、胸椎よりも負担が大きい。また、椎間板への影響もあり、側彎が45度を超えると椎間板への負担が不均等となり、椎間板の痛み、腰痛の原因となる[1]

治療[編集]

レントゲン写真などから弯曲の大きさ(コブ角/Cobb angle)を測り、おおむね

  • 軽度(30度未満)
  • 中度(30度以上50度未満)
  • 高度(50度以上)

の三段階に分類し、軽度では定期的なレントゲン撮影による経過観察を継続する。

装具[編集]

装具による矯正の例(56度から27度に改善)

25度以上と診断されると、右写真のような専用のコルセットなどの装具による維持療法が行われることが多い。コルセットで弯曲が完全になくなる(完治する)ことは無い。

手術[編集]

手術による矯正の例

50度以上と診断されると、スクリューやロッドを挿入して脊柱を矯正する外科手術を行う。 この場合も完治することは無い。

民間療法[編集]

整体カイロプラクティックヨガマッサージなどで、腰背部痛などが緩和される場合があるものの、日本側彎症学会では、側弯角度の改善・完治に関して医学的な根拠は無いとの立場を取っている。シンガポールなど海外では、自然療法による改善・進行防止の処置を行う専門クリニックがある。

筋肉の強化[編集]

日本側彎症学会は、運動療法徒手矯正での改善は無いとしているが、脊椎側弯症が原因の肉離れに悩まされていたウサイン・ボルトは、コーチらの指導で徹底的な筋肉の強化を行い、トレーニング中の怪我が減少した[5][6]

これは装具の代わりに体幹の筋肉で脊柱を矯正する考えであるが、スポーツドクターやトレーナーの管理下で一定期間厳しいトレーニングを継続する必要があり、一般人には困難な治療法である。

注釈[編集]

  1. ^ a b 脊柱手術.com 慶友整形外科病院 副院長・慶友脊椎センター長斉藤正史
  2. ^ [1]
  3. ^ 「改訂版知っておきたい脊柱側弯症」から抜粋 日本側弯症学会編 インテルナ出版 2003年
  4. ^ 兵庫県予防医学協会・脊柱側わん症
  5. ^ ウサイン・ボルト 「世界最速が背負う秘密の十字架」 - Number Web : ナンバー (4/6)(5/6)(6/6)
  6. ^ NHKオンデマンド | NHKスペシャル ミラクルボディー 第1回「ウサイン・ボルト 人類最速の秘密」

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]