脊椎側彎症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
脊椎側湾症から転送)
移動: 案内検索
手術前後の少女のX線写真(正面から撮影、当時16歳)

脊椎側彎症(せきついそくわんしょう)とは、脊椎(背骨)が側方に弯曲する病気である。「脊柱側彎症」(せきちゅう-)や、異体字の「側弯」表記も多く見られる。彎や弯を湾とするのは誤り。

側方への弯曲以外に、前後に弯曲した後彎症もある。

概要[編集]

脊椎とは、正常な状態であればまっすぐに伸びているものであるが、この病気の場合には、側方(横方向)に弯曲していたり、脊椎がねじれている。痛みを伴うことは稀なため初期における発見は難しく、ある程度成長してしまってから気がつく場合が多い。肩やウェストの高さが左右で違うなどの外見上の問題の他、高度の弯曲になると、腰背部痛に加えの圧迫と変形による呼吸器障害・循環器障害など内臓にも影響を及ぼしたり、皮下脂肪型肥満の女児でもなりやすい。

日本では乳幼児学校健康診断脊柱検査が行われており、1980年(昭和55年)年頃よりモアレ検査による検診が普及し、早期発見が可能になった。

原因[編集]

原因の分からない「特発性側弯症」が大部分を占めている。発症時期により、

に細分され、脊椎側弯症の多くが思春期脊椎側弯症[1]であることから、小学校4年生から中学校3年生までの間が特に注意が必要とされ[2]、およそ1:7の割合で女子に多く発症する。

原因の特定ができているものとして、

  • 先天性側弯症 - 先天的または発育段階に生じた脊椎の異常による発症
  • 神経原性側弯症 - 脊髄の異常による発症
  • 筋原性側弯症 - 筋肉の異常により正常な姿勢を保てないことによる発症
  • 間葉性側弯症 - マルファン症候群にみられる
  • 神経線維腫症
  • 外傷性側弯症

があげられる。

治療[編集]

弯曲の大きさ(コブ角/Cobb angle)を測り、おおむね

  • 軽度(30度未満)
  • 中度(30度以上50度未満)
  • 高度(50度以上)

の三段階に分類し、軽度では定期的なレントゲン撮影による経過観察を継続する。

装具[編集]

装具による矯正の例(56度から27度に改善)

30度以上と診断されると、右写真のような専用のコルセットなどの装具による維持療法が行われる。コルセットで弯曲が完全になくなる(完治する)ことは無い。

手術[編集]

手術による矯正の例

50度以上と診断されると、スクリューやロッドを挿入して脊柱を矯正する外科手術を行う。 この場合も完治することは無い。

民間療法[編集]

整体カイロプラクティックヨガマッサージなどで、腰背部痛などが緩和される場合があるものの、日本側彎症学会では、側弯角度の改善・完治に関して医学的な根拠は無いとの立場を取っている。

筋肉の強化[編集]

日本側彎症学会は、運動療法徒手矯正での改善は無いとしているが、脊椎側弯症が原因の肉離れに悩まされていたウサイン・ボルトは、コーチらの指導で徹底的な筋肉の強化を行い、トレーニング中の怪我が減少した[3][4]

これは装具の代わりに体幹の筋肉で脊柱を矯正する考えであるが、スポーツドクターやトレーナーの管理下で厳しいトレーニングを継続する必要があり、一般人には困難な治療法である。

注釈[編集]

  1. ^ [1]
  2. ^ 「改訂版知っておきたい脊柱側弯症」から抜粋 日本側弯症学会編 インテルナ出版 2003年
  3. ^ ウサイン・ボルト 「世界最速が背負う秘密の十字架」 - Number Web : ナンバー (4/6)(5/6)(6/6)
  4. ^ NHKオンデマンド | NHKスペシャル ミラクルボディー 第1回「ウサイン・ボルト 人類最速の秘密」

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]