玉本奈々
玉本 奈々 (たまもと なな) | |
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誕生 |
1976年2月23日(49歳)![]() |
職業 | 美術家/現代美術 著者 |
言語 | 日本語 |
国籍 |
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教育 |
学士 (成安造形大学・1998年) |
最終学歴 | 大学院芸術研究科修士課程修了 |
活動期間 | 2000年 - |
ジャンル | 美術 |
代表作 | 『Alphabetシリーズ』『Numberシリーズ』『シリーズLUNA』『樹』(2012年)『内と外』(2011年)2000年代顔シリーズ『心眼』(2003年)高橋龍太郎 (精神科医)コレクション/『千里眼』(2004年)『永眠』(2000年)他 |
デビュー作 | 個展『コルセットの中で新しい生活が始まる予感』(2000年) 著書『マスクの旅路』(2009年) |
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玉本 奈々(たまもと なな、1976年(昭和51年)2月23日 - )は、富山県高岡市生まれ。小杉町(現在の射水市)に育つ。第一アトリエは大阪府。日本の女性現代美術作家/著者。 繊維造形物によるレリーフ状絵画と立体、インスタレーション作品。布を縫い合わせ収縮、亀裂を起こした技法、また古木の樹皮か珊瑚のような質感のオブジェと化した布の塊、樹脂による凸状波紋など、豊穣な物質的マチエールや飛沫状の色彩表現が特徴。ヨーロッパでは彫刻絵画ともいわれる。その稀にみる、マチエールを際立たせる飛沫状の色彩表現やマチエールは、国内外で高い評価を得ている。また独特の世界観による詩や執筆、ワークショップなどにも注目を浴びている。
2020年、絵画におけるポートレートとして、コラージュされたドローイングが発表され、新たなシリーズとして確立された。
2023年、年譜になるのではなく、自ら年譜を創るべくシリーズ化された《絵巻物》は、繋がる人々との人生の絵巻物として2024年に初公開され、玉本の生涯の仕事のひとつとなった。「空飛ぶ法王」160俳句/こおろ社発行 東京堂出版発売2008・夏石番矢氏他。
経歴
[編集]生家は旧家の本家で、父の昇、母の千惠子共に経営者。母は草月流師範でもあった。玉本家の長女であり、玉本は母方の姓、富山県の元3大地主の家系。
生まれつきの重度の弱視に加え股関節脱臼、免疫も弱かったが、12歳を境に奇跡的に視力が回復。補助視力により「見る」行為が可能となった玉本は、世の中に線が多い事実を知り、ひたすら線を描き続ける。経済学と美術を両立して学ぶ。油絵を主とし制作を進めるが、表現方法に限界を感じ、一度油絵の具という手段を捨て、人間の生死に纏うであろう布に興味を抱き始める。大学はファイバーアートを専攻。1998年に成安造形大学を卒業後、大阪の瀧定株式会社/現スタイレム瀧定大阪のデザイナーとして就職。病を機に退職後、本格的に美術家としての道を歩み始める。その年に、東京の日仏現代美術大賞展にて優秀賞を受賞。他同年にフランスの現代美術展において奨励賞、フランスの選抜作家展にて同じく奨励賞を授与される。2006年に大阪にアトリエを構える。2010年、京都芸術大学大学院修了。
フランスでの公募「Grand Concours International」において、2003年にはフランス共和国名誉賞、2004年にはフランス共和国新人賞、2005、2006年にはそのコンクールの最高峰であるフランス共和国栄誉賞を受賞、また、2002~2003年・2005年・2007~2008年の芸術に対する功績として「La Toile d’Or」賞が、3度に渡り授与されている。[1][2][3]2019年には東久邇宮記念賞、東久邇宮文化褒賞を受賞。世界遺産の五箇山、菅沼合掌造り集落の国史跡指定50周年、ならびに世界遺産登録25周年の2020年に「概念 2020」が収蔵され、感謝状が授与された。2021年には東久邇宮平和賞を受賞。記念賞、文化褒賞ならびに平和賞3部門のトリプル賞受賞となった。同年、ヨーロッパで玉本の初期顔シリーズが再燃する。顔シリーズの最後に「自画像age34」2010がある。
川端康成氏没後50年の2022年に、茨木市立川端康成文学館企画「玉本奈々 在る-数秘」が開催され、AlphabetシリーズならびにNumberシリーズ計7点が収蔵された。親鸞聖人のご誕生850年、立教開宗800年の2023年には、世界遺産の龍谷山本願寺(西本願寺・京都)に「蓮」2015年作を、また富山県の照伝寺には、花まつりの節気である二十四節気シリーズ「清明」を奉納。
個展
[編集]- 2002年に、初の美術館個展「玉本奈々の世界」が富山県民会館美術館にて開催された。その個展を皮切りに、巡回個展として東京のO美術館2002年、茨城県つくば美術館/つくば文化会館アルス内2003年、福井市美術館2004年[4]、愛知県の刈谷市美術館2006年、他で開催された。
- 2004年に、個展「玉本奈々の世界 文化の息づきと共に」が富山県 国登録有形文化財の豪農の館 内山邸ならびに薬種商の館 金岡邸にて同時開催された[5]。
- 2007年に、坂のまち美術館企画展「玉本奈々展」が開催された。
- 2007年に、個展「玉本奈々の世界」が世界遺産の相倉合掌造り集落の高桑家ならびに山崎家の2つの家屋にて開催された。
- 2011〜2012年の2ヶ月間に渡り、高岡市美術館にて、ジュニア☆アート☆ワールド「天までのぼれ!ねがいの龍」ワークショップが開催された。
- 2015年に、白川郷・五箇山合掌造り集落世界文化遺産登録20周年記念事業として、個展「共鳴り」が開催され、作品「概念」が収蔵された[6]。関連イベントとして、ベルギー王立美術館公認解説者・森 耕治講演「マティス、豪奢、静けさ、快楽」玉本奈々さんへのオマージュが催された。
- 尼信博物館にて尼崎信用金庫スポンサー、による個展「真相-深層」が開催された。
- 2014年2月28日-3月12日、大阪の枚方市立サンプラザ生涯学習市民センターにて、平成25年度枚方市平和の日記念事業企画展「玉本奈々-向き合う時間」ならびに「増殖×集積」玉本奈々立体「捻転」とのコラボレーションが開催された。[7][8]
- 2019年の枚方T-SITE(ツタヤ本店)、ニューイヤーイベントとして、玉本奈々新刊発売記念の原画展ならびにトーク、サイン会が開催された。[9]
- 枚方市 市制施行70周年記念事業として、ひらかたまちかど空間アートフェスティバル 個展「仕合せ」が浄行寺にて開催された。併せて、ワークショップ「編むコム」紙で紙を編む。「編むコム」から何が見える?が催された。(旧京街道 枚方宿「東見附」から「西見附」) (大阪)
- 2022年2月16日〜3月16日、川端康成氏没後50周年、茨木市立川端康成文学館 企画展として「玉本奈々 在る-数秘」が開催され、Numberシリーズが公開された。Numberシリーズ「5」「15」「25」「35」「45」「50」ならびにAlphabetシリーズ「Z」が収蔵された。
- アート・スプラウトシリーズ・ビジュアルアーツ事業企画展として「画業25周年 玉本奈々 法王/LUNA」が枚方市総合文化芸術センターにおいて開催された。「らせん」2007ならびに「コーヒーカップ/遊具」2024が枚方市に収蔵された。
- 2025年10月21日〜11月30日、御殿山生涯学習美術センター企画として「玉本奈々 きざはし」が開催。
- 出展 日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション2024 藪前知子氏キュレーション 東京都現代美術館 (東京)
- 出展 現代美術の展望VOCA展~新しい平面の作家たち~ 上野の森美術館 (東京) キュレーター/柳原正樹氏 推薦 (独立行政法人国立美術館理事長、京都国立近代美術館館長)
- 出展 とやま現代作家シリーズ「時の中で-」富山県立近代美術館 (富山)
- 出展 Salon d’Automne/サロン・ドートンヌ2002-2003 (Paris, France)
- 出展 Salon des indépendants/パリアンデパンダン展2000-2005 (Paris, France)
- 出展 国内外のアートフェア参加。 NY・Los Angeles・Cebu・Belgium・Taiwan・Daegu・日本他
コレクション・奉納
[編集]*茨木市立川端康成文学館/大阪(川端康成氏没後50周年)
*世界遺産 五箇山 菅沼合掌造り集落/富山 (白川郷、 五箇山合掌造り集落世界文化遺産登録20周年・五箇山菅沼合掌造り集落の国史跡指定50周年)
*枚方市
*公益社団法人 北部地区医師会北部地区医師会病院/沖縄
*学校法人 京都女子学園/京都
*富山県立高岡商業高等学校/富山
*ママステーション/大阪
*天の川保育園/大阪
*坂の下保育園/富山
*高橋龍太郎コレクション/高橋龍太郎 (精神科医)
*玲コレクション
他 国外美術機関
奉納 |
*世界遺産 龍谷山本願寺/西本願寺・京都
「蓮」2015年 玉本奈々作 親鸞聖人ご誕生850年・立教開宗800年 2023年 *照伝寺/富山 二十四節気シリーズ「清明」2019年 玉本奈々作 親鸞聖人ご誕生850年・立教開宗800年 2023年 |
賞歴
[編集]『現代美術PARIS』奨励賞(PARIS・2000)
『日仏現代美術大賞』優秀賞(東京・2000)
『日本の心と現代アート』奨励賞(PARIS・2000)
『Salon d'automne/サロン・ドートンヌ』(PARIS・2002 2003)
『Grand Concours International』 フランス共和国名誉賞(2003) フランス共和国新人賞(2004) フランス共和国栄誉賞(2005 2006)(FRANCE)
『La Toile d'Or』(FRANCE・2003 2005 2008)
『Young Creator Award』松谷武判審査員賞(大阪・2014)
『国際芸術コンペティション アートオリンピア』準佳作(東京・2019)
『東久邇宮記念賞』(2019)
『東久邇宮文化褒章』(2019)
『東久邇宮平和賞』(2021)
著書
[編集]- 「集積ーあるふぁべっとのかたちたち」[10]海青社 2019
- 「マスクの旅路」(絵本賞) 2009
- 「シロアリの事典」海青社(表紙カバー/マスクの旅路絵本・表紙原画)
- 「ネイチャー・アンド・ソサエティ研究」第1~5巻 横山智著 海青社(表紙カバー/ら Drawing)
- 「わたしが掴んだONE CHANCE 自分のインスピレーションを信じた20人の女たち」 2022 Rashisa出版/共著・特別寄稿
- 「非二元的な性を生きる 性的マイノリティのカテゴリー運用史」武内今日子著 明石書店 2025 (表紙カバー/Alphabetシリーズ「X Cross」)
テキスト
[編集]・「玉本奈々の作品について」 富山県立美術館学芸員/麻生恵子 2004
・「VOCA展2004/心眼に寄せて」 京都国立近代美術館長・国立美術館理事長/柳原正樹 2004
・「ナナのためのナナ(子守唄)」 和歌山県田辺市立美術館学芸員/三谷渉 2004
・「Coloriste inspirée - L'intense bonheur de peindre」 国立フランス文化連盟創立会長・美術評論家・近代美術専門家・文化ジャーナリスト/Dominique CHAPELLE 2004
・「玉本奈々-挑戦し続ける作家」 福井市美術館学芸員/石堂裕昭 2006
・「マントと相倉 玉本奈々さんの作品について」 富山県立美術館学芸員/麻生恵子 2007
・「玉本奈々 - 成るべくして成った人」 美術ライター/小吹隆文 2007
・「若き芸術家の情熱に触れて」 毎日新聞東京本社記者/山崎明子 2007
・「Nana Tamamoto "Life Force"」Art & Antiques (New York雑誌掲載) New York Times(ニューヨーク・タイムズ)・Journalist(ジャーナリスト)・Critic/Edward M. Gomez 2011
・「Nana Tamamoto Capturing the Life Force」 New York Times(ニューヨーク・タイムズ)・Journalist(ジャーナリスト)・Critic/Edward M. Gomez 2011
・「自分に忠実に生きる人」 美術ライター/小吹 隆文 2011
・「交差するまなざし-玉本奈々の作品に触れて」 富山県高岡市美術館学芸員/宝田陽子 2011
・「伝わる祈りの気持ち」 あさご芸術の森美術館長/伊藤照哉 2014
・「玉本奈々さんへ贈る言葉」 ベルギー王立美術館公認解説者・美術史家/森耕治 2015
・「作る - 原動へと唄えと」 和歌山県田辺市立美術館学芸員/三谷渉 2016
・「出版によせて」(集積 あるふぁべっとのかたちたち 玉本奈々著/海青社) 京都国立近代美術館長・国立美術館理事長/柳原正樹 2019
・「玉本奈々「心眼」について」 東京都現代美術館学芸員/鳥越麻由 2025
出典
[編集]- ^ 玉本奈々 (2009年8月1日). マスクの旅路. 株式会社文芸社ビジュアルアート. ISBN 978-4-7818-0216-9
- ^ “玉本奈々”. 2019年2月23日閲覧。
- ^ “玉本奈々 アマゾン著者紹介”. 2019年3月20日閲覧。
- ^ “玉本奈々の世界 カウベルコーポレーション”. カウベルコーポレーション. 2016年4月21日閲覧。
- ^ “玉本奈々の世界 ポスター”. Le monde de TAMAMOTO Nana. 2023年2月14日閲覧。
- ^ ART iT「[https://www.art-it.asia/top/admin_expht/255209/ 日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション A Personal View of Japanese Contemporary Art: Takahashi Ryutaro Collection 東京都現代美術館 東京]」『ART iT』2024年11月10日。
- ^ “アーティストたちが語るコレクター高橋龍太郎。「日本現代美術私観:高橋龍太郎コレクション」(東京都現代美術館)を機に高橋氏との出会いやエピソードを聞く”. TOKYO ART BEAT. 2025年4月3日閲覧。
- ^ “画業25周年 玉本奈々 法王/LUNA 展 アート・スプラウト ビジュアルアーツ事業”. 枚方市. 2025年4月1日閲覧。
- ^ 「現代美術作家 玉本奈々 Nana TAMAMOTOについて」『』2023年7月7日。
- ^ 玉本奈々『集積ーあるふぁべっとのかたちたち』海青社、2019年1月1日。ISBN 978-4-86099-347-4 。