財務会計の概念フレームワーク

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財務会計の概念フレームワーク(ざいむかいけいのがいねんフレームワーク、Conceptual Framework for Financial Reporting)とは、企業会計基準委員会の発表した討議資料である。

概要[編集]

概念フレームワークは、企業会計(主に財務会計)の基礎となる前提や概念を体系化したものである。財務報告の目的や資産・負債などの重要概念を設定し、そこから演繹的に個々の会計基準を開発していく方針を導出するという目的を有する[1]

概念フレームワークは、1978にアメリカで発表されたのを皮切りとして、アメリカの財務会計基準審議会(FASB)によって改訂が進んだ。一方、国際会計基準委員(IASB)も独自に概念フレームワークを発表していた。会計基準の国際的統合化にともなって、概念フレームワークについてもコンバージェンスが進み、IASBが単独で概念フレームワークの検討を行うこととなった[2]

日本においても、こうした国際的な流れを受けて、企業会計基準委員会は2004年7月に討議資料として概念フレームワークを発表し、2006年12月に改訂版を発表した。

意義[編集]

従来の日本においては、会計基準の設定方法は、企業会計の実務慣行のなかから一般に公正妥当と認められたところを要約するという帰納的アプローチに基づいていた。その代表が企業会計原則である[3]

しかし、帰納的アプローチでは、現状の会計実務に問題があってもそれを改善することが難しく、また今まで存在しなかったような取引・事象について対応することができないという問題が存在した。また、会計基準全体の整合性・首尾一貫性が維持されない可能性があることも問題視されていた[4]

こうした問題を克服するため、会計基準を理論的に体系づけて開発すること(演繹的アプローチ)が求められるようになった。そのための手段として、概念フレームワークは会計公準論と並んで重要な位置を占めている[5]

構成[編集]

以下の約40ページで構成されている。

  • 前文
  • 第1章 財務報告の目的
  • 第2章 会計情報の質的特性
  • 第3章 財務諸表の構成要素
  • 第4章 財務諸表における認識と測定

財務報告の目的[編集]

日本の概念フレームワークでは、財務報告の目的を「投資家による企業成果の予測と企業価値の評価に役立つような企業の財務状況の開示」としている。そして、「投資のポジション」という概念を重視している点に特色がある[6]。「投資のポジション」とはリスクから解放されていない投資のことを指し、いわゆる「ストック」のことを指す。それとは区別して、リスクから解放された時点での投資の成果(フロー)を認識する。この両者を開示することが、財務報告の目的を達成するために必要とされる。

会計情報の質的特性[編集]

会計情報の質的特性については、利用者にとっての意思決定有用性が最も重視されている。その意思決定有用性を支える下位の質的特性として、意思決定との関連性と信頼性が挙げられている。また、その三つの特性を満たすために最低限必要な質的特性として内的整合性と比較可能性が挙げられている。

  • 意思決定有用性 - 「投資家による企業成果の予測や企業評価のために、将来キャッシュフローの予測に役立つ情報を提供する」という目的に資するという特性。
  • 意思決定との関連性 - 「会計情報が将来の投資の成果についての予測に関連する内容を含んでおり、企業価値の推定を通じた投資家による意思決定に積極的な影響を与えて貢献する」という特性。
  • 信頼性 -「会計情報が信頼に足る情報である」という特性。これを支えるのが、中立性・検証可能性・表現の忠実性などの特性。
  • 内的整合性 - その会計基準が、「会計基準全体を支える基本的な考え方と矛盾しない」という特性。
  • 比較可能性 - 会計情報の時系列比較や会計情報の企業間比較において、そうした比較が可能となるように会計情報が作成されているという特性

財務諸表の構成要素[編集]

投資のポジションと成果を開示するという目的に従い、構成要素として、以下の概念を定義している。

財務諸表における認識と測定[編集]

各構成要素の認識のタイミングと測定の方法が説明されている。

脚注[編集]

  1. ^ 桜井久勝『財務会計講義 第16版』中央経済社、2015年、pp.54-55
  2. ^ 伊藤邦雄『新・現代会計入門』日本経済新聞出版社、2014年、pp.105-107
  3. ^ 桜井久勝『財務会計講義 第16版』中央経済社、2015年、pp.54-55
  4. ^ 桜井久勝『財務会計講義 第16版』中央経済社、2015年、pp.54-55
  5. ^ 桜井久勝『財務会計講義 第16版』中央経済社、2015年、pp.55-59
  6. ^ これに対して、IASBの「概念フレームワーク」では、経済的資源・請求権やその変動を表す「財政状態」という概念を重視する。伊藤邦雄『新・現代会計入門』日本経済新聞出版社、2014年、pp.105-107。

参考文献[編集]


関連項目[編集]

外部リンク[編集]