会計監査

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会計監査(かいけいかんさ、英語:financial audit、auditing)とは、企業公益団体および行政機関等の会計決算)に関して、一定の独立性を有する組織が監査と最終的な承認を行うことである。狭義には、企業等に対するものを会計監査と呼び、国等の行政機関等に対するものを特に会計検査と呼ぶのが一般的である。

会計監査の根拠[編集]

経営者や執行権者は、その業務や会計など一定の報告を委任者(株主や公民権者)に対して行うのが一般的である。報告内容に虚偽の表示があった場合、受託者の能力を委任者が正当に判断することができなくなる。そのため一定の独立性を有した個人や組織が、その内容に虚偽の表示等がない(または一定程度に少ない)ことを確認する作業を監査という。そのうち特に会計に対する監査のことを会計監査(会計検査)と呼ぶ。

企業の会計監査[編集]

企業に関する監査は会社法によって実施が定められており、監査役または監査役会がその任務にあたる。会計監査と業務監査がその主体である。

会計報告は、一般に公正妥当とされる会計慣行(GAAP、特に日本の場合は企業会計原則など)にもとづいて作成されたものであり、会計監査は、一般に公正妥当とされる監査慣行(GAAS、特に日本の場合は監査基準など)にもとづいて監査されるものである。そのため会計監査は妥当性・適正性監査に類するものである(業務監査は適法性監査に類する)。

特に大会社や株式公開会社の場合、職業的専門性と外観的独立性を有する者を会計監査人としておく必要がある。根拠法としては、金融商品取引法第193条の2に基づく監査、会社法第436条第2項に基づく監査がある。それが会計監査人が行う会計監査人監査であり、公認会計士やその集まりである監査法人のみが行うことができる。監査役の会計監査責任が失われるわけではなく、共に会計監査責任を持つ。定款で定める場合には会計監査人が会計承認の作業も行う。

会計監査は「重要な虚偽の表示」を排除することが目的であり、細かな虚偽の表示を排除することが目的ではない。理由としては、現実的に精査(全ての会計取引を調査)することは困難であるため、試査(サンプル調査)を行うのが現実に即しているからである。また、会計報告は利害関係者の判断材料であることから、その判断材料に資するものである必要があるが、その判断を誤らせるような虚偽の表示を、特に「重要な虚偽の表示」と呼び、注力して排除することとなる。

また、試査(サンプル調査)である以上は、その会計処理方法に内部統制が必要である。経営者が内部統制を整備し、内部統制の整備・運用状況を報告して、会計監査において前段階として内部統制監査を行う。内部統制の整備・運用状況に応じて調査方法を効率的にしたり、サンプル数を増減させることでその質を保つことができる。ちなみに会計監査における内部統制とは、企業内の規則や運用状況全般を指すものであり、特段の規則や設備を設けることではない。仮に内部統制が希薄な部分に関しては、監査方法を厳重(ない場合は精査)にすることで対応するため、その分手間がかかる。

企業会計原則監査基準などは法とはいえないが、明文化され公表されている慣習法である。法制化されていない理由は、極めて慣習的かつ学問的であり、時代の変化に即してスピード感を持って対応することが重要であり、法改正で規定することが不可能なためで、医療行為と同様に、方法論を縛ることが弊害になるからである。明文化の作業は、企業会計審議会公認会計士協会により行われることとなる。

行政機関の会計監査[編集]

行政機関の会計監査は、国の場合は会計検査、地方公共団体の場合は会計監査と呼ぶのが一般的である。

国の場合には会計検査院が会計検査を行い、国会が承認を行うことになっている(国会が検査権限を失うものではない)。つまり会計検査院は監査実務にあたるが、単独で承認を行い得ない。

地方公共団体の場合には監査委員が同様に会計監査を行うが、監査実務を行う監査委員事務局の職員は、独立性が法定された会計検査院とは異なり生え抜きではなく、通常の人事異動首長部局から配置される。また1998年(平成10年)からは外部監査も導入され会計監査の強化が図られている。

行政機関においては予算案の作成は行政の長が行い、議会の承認を得てそれに基づいてのみ執行される。そのため、不正・不合理性の発見と、使途が予算に則ったものかが、主体となる。これは企業の会計監査である妥当性・適正性監査とは異なり、基本的に適法性監査となる。

加えて、独立行政法人、特殊法人、国立大学法人などの機関においては、会計監査人の監査を受けるべきものとされている。こちらは、妥当性・適正性監査が中心である(しかし,企業会計とは異なり、適法性・効率性に留意すべきもとされている)。

関連文献[編集]