松本記念音楽迎賓館

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
松本記念音楽迎賓館入口
(2014年1月11日撮影)

松本記念音楽迎賓館(まつもときねんおんがくげいひんかん)は、東京都世田谷区岡本二丁目32番15号(郵便番号157-0076)に所在する、1973年昭和48年)建築された音楽教育の建造物である。

概要[編集]

松本記念音楽迎賓館は、パイオニア創業者であり、公益財団法人音楽鑑賞教育振興会の設立者の松本望・千代夫妻の居宅として建築された。2001年(平成13年)、夫妻の遺志を継いで、音楽教育の実践の場にと、一般にも利用できる記念館として開館した[1]

松本望(まつもと のぞむ 1905明治38年)- 1988年(昭和63年))は 、キリスト教牧師の二男として神戸に生まれた。若い時、楽器音色に興味を覚え、音楽の世界に進むことになる。ある時、アメリカ製のダイナミックスピーカーに出会い、魅了されたことがきっかけで、スピーカーの製作に没頭することになった。1928年(昭和3年)、谷山千代と結婚し、二男四女をもうけた。1937年(昭和12年)、ダイナミックスピーカーの開発に成功した。1938年(昭和13年)、福音商会電機製作所を創設、スピーカーの製造を始める。1941年(昭和16年)、有限会社に改組して社長となる。1947年(昭和22年)、福音電機に改組。1961年(昭和36年)、パイオニア株式会社に改称した。1985年(昭和60年)、セパレート型ステレオレーザーディスクの開発、商品化に成功した。その後、30年以上にもわたって経営の先頭に立って事業を推進した。また、1967年(昭和42年)、パイオニア音楽鑑賞教育振興会(現・財団法人音楽鑑賞教育振興会)を創設、私財を投じて音楽教育全般の育成に力を注いだ[1][2]

沿革[編集]

  • 1905年明治38年) - 松本望、神戸に生まれる。
  • 1928年昭和3年) - 松本望、谷山千代と結婚。
  • 1973年(昭和48年) - 松本望・千代夫妻邸として建築。
  • 1967年(昭和42年) - パイオニア音楽鑑賞教育振興会を創設。
  • 1988年(昭和63年) - 松本望死去。
  • 2001年(平成13年) - 松本望・千代夫妻の遺志を継いで音楽教育施設として開館[1][2]

施設概要[編集]

迎賓館
  • 1階 - 玄関ホール、サロン、レセプションルーム、Cホール、展示室、事務室、管理室、厨房、車庫。
  • 2階 - Aホール、Bホール、和室、会議室、楽器室、事務室、資料室。
茶室
  • 希望亭 - 外国の来客を想定した立礼の茶室。
  • 時雨庵 - 京都旧西園寺公別邸から移築された三畳台目茶室。
Aホールは、パイプオルガンを一般に開放し、各種楽器を貸出している。練習室、ミニコンサート、発表会などに利用できる。Cホールは、和室で三味線や和楽器の練習、演奏会などに利用できる。Bホールは、各種音響機器を備え、映画の試写会、ミニコンサートなどが行える[3]

施設利用[編集]

利用時間
  • 土・日・祝日 - 午前10時~午後9時
  • 平日 - 午後1時~午後9時
利用目的
  • 関係者のイベント開催
  • 演奏会・後援会の開催
  • ファンクラブ
音楽会や各種催しのお知らせ
  • 音楽迎賓館友の会
利用者を中心とした組織で、音楽情報の交換、音楽活動の応援、施設の利用促進を目的としている。特典として、施設利用費の減額、会員のリサイタルやコンサートなどが開催できる[3]
「大富豪の邸宅」という設定でテレビドラマの撮影が行われることがある[4]

楽器・AV機器[編集]

楽器
AV機器

交通[編集]

鉄道
路線バス
  • 成城学園前駅 - 東急バス都立01「都立大学駅北口」行き乗車、停留所「岡本三丁目」下車徒歩5分。
  • 二子玉川駅 - 東急コーチ玉31「成育医療センター」行き乗車、または、東急コーチ玉32「美術館」(循環)行き乗車、停留所「もみじが丘」または、停留所「岡本三丁目」下車徒歩5分。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c 『松本記念音楽迎賓館』インフォメーション
  2. ^ a b 『コトバンク』20世紀日本人名事典、朝日新聞社 松本 望(マツモト ノゾム)
  3. ^ a b 『松本記念音楽迎賓館』施設の案内
  4. ^ 野村宏平 (2021年7月18日). “東京23区の鉄道空白地帯――別名「世田谷の秘境」には一体何があるのか?”. Urban Life Metro. 2021年7月18日閲覧。
  5. ^ 『松本記念音楽迎賓館』楽器およびAV機器仕様

参考文献[編集]

  • 『ビジネスマンへの提言 成功と人生への指針』「仕事も遊びものびのびと パイオニア社長 松本望」永田久光編、1921年
  • 『音に挑戦する企業 パイオニア』「音を創る仕事は無限だ 松本望」実業之日本社、1963年
  • 『精鋭企業の秘密 生きて話す商品』「音を創って30年 パイオニアと松本望」エリート研究会編、1964年
  • 『コトバンク』「松本望」20世紀日本人名事典、朝日新聞社 松本 望(マツモト ノゾム)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

座標: 北緯35度37分23.7秒 東経139度36分59.4秒 / 北緯35.623250度 東経139.616500度 / 35.623250; 139.616500