松本一彦

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松本 一彦
まつもと かずひこ
生年月日 (1966-01-25) 1966年1月25日(56歳)
出生地 日本の旗 神奈川県足柄下郡真鶴町
出身校 国士舘大学政経学部経済学科
前職 地方公務員(真鶴町)
所属政党 無所属
配偶者
公式サイト 松本一彦【公式サイト】

当選回数 2回
在任期間 2020年9月26日 - 2021年11月4日
2021年12月20日 - 現職
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松本 一彦(まつもと かずひこ、1966年1月25日 - )は、日本政治家神奈川県真鶴町長(2期)。

来歴[編集]

真鶴町長就任まで[編集]

神奈川県足柄下郡真鶴町生まれ[1]真鶴町立真鶴小学校(現真鶴町立まなづる小学校)、真鶴町立真鶴中学校神奈川県立西湘高等学校国士舘大学政経学部経済学科卒業。1988年4月、真鶴町役場に入庁し、在職中2年間神奈川県庁にも派遣された 県立吉田島総合高等学校PTA会長 神奈川県立高等学校PTA連合会会長や関東地区高等学校PTA連合会副会長などを歴任。 [2]2020年6月、町総務課長を最後に退職し[2]、任期満了に伴う真鶴町長選挙に立候補する意向を表明[3][4]

同年9月13日投開票の真鶴町長選挙で、現職の宇賀一章ら2人を破り初当選した[5]9月26日付で真鶴町長に就任し[6]9月28日に真鶴町役場へ初登庁した[7]

※当日有権者数:6,407人 最終投票率:71.78%(前回比:+4.94pts)

候補者名年齢所属党派新旧別得票数得票率推薦・支持
松本一彦54無所属2,812票61.63%
宇賀一章68無所属1,673票36.66%
北澤晃男50無所属78票1.71%

選挙人名簿流出問題で辞職[編集]

2021年10月26日、記者会見を開き、2019年神奈川県知事選挙で使用された真鶴町の有権者全員が記載された選挙人名簿抄本のコピーが外部に流出した問題で、松本がそのコピーを持ち出し、自身が出馬した町長選の選挙運動に使用したことを明らかにした[8]。松本は会見に先立ち、町議会で辞職の意向を示していたが、会見では前言を翻して町長職を続投したいと表明し、会見後の取材で改めて辞職を明言した[8][9][10]。松本は真鶴町町民生活課長を務めていた2020年2月頃、本庁舎のロッカーの引き出しから書庫の鍵を取り出し、別棟の書庫に保管されていた同町内の全有権者およそ6,600人分の選挙人名簿を持ち出して、夜間に町役場内のコピー機を使い名簿をコピーし、同年9月の町長選に立候補した際に有権者に葉書を送るのに使用[8]2021年7月には、真鶴町選挙管理委員会に勤務する職員に指示し、自宅に保管していた名簿のコピーを現職町議(当時。9月の町議選で落選)に届けさせた[8]10月29日に再度記者会見を開き、前述の町議だけでなく、町議会議長の岩本克美、元真鶴町長の青木健両町議にも名簿のコピーを渡していたことを公表し、あわせて住民基本台帳の転出届などを不正にコピーを取っていたことも明らかになった[11]。ただし、岩本、青木両町議はいずれも名簿のコピーを選挙に使用したことは否定した[12]

11月4日の真鶴町議会臨時会で、松本の辞職が同意され、同日付で辞職。松本は議会で、2016年の真鶴町長選でも名簿を不正にコピーし、この町長選に立候補していた青木に提供していたことを明らかにしたが、青木はこれを否定した[13]。松本の辞職に伴い、副町長が不在のため、町長職務代理者には真鶴町参事兼財務課長が就いた[14]。また、岩本町議は議長を、青木町議は議会運営委員長をそれぞれ辞任した[14][15]

出直し町長選で再選[編集]

辞職後、自身の辞職に伴う真鶴町長選への対応については明言していなかったが、12月9日、出馬の意向を表明[16][17][18]。町長選の選挙公報に、当選後1年間、無給で町長職を務めることを掲げた[19]。町長選には松本のほか、元町長の宇賀一章ら3人も出馬した[20]

12月19日、投開票の結果、松本が次点の宇賀を88票の僅差で振り切り、再選[21][22][23][24]12月20日、当選証書を受け取った[25]

※当日有権者数:6,288[26]人 最終投票率:62.20%(前回比:-9.58pts)

候補者名年齢所属党派新旧別得票数得票率推薦・支持
松本一彦55無所属1,493票38.87%
宇賀一章69無所属1,405票36.58%
大塚伸二66無所属807票21.01%
森敦彦70無所属136票3.54%

再選後、松本は一連の不祥事で生じた費用について、選挙費700万円、時間外人件費320万円、第三者委員会設置費50万円の計1070万円と自ら算出し、自身の給与を0円に減額する条例改正案を真鶴町議会に提出したが、町議からは「金銭的な被害以外の風評などをどうするのか」「被害金額を給与1年分とする根拠が不明」「松本町長に指示されて名簿をコピーして懲戒免職になった職員に比べて、軽すぎる」との意見が相次ぎ、条例改正案は12月28日の臨時会で賛成1、反対8の反対多数により否決された[27][28][29]。松本の再選後、不信感を抱いた職員の退職[30]や、真鶴町消防団による出初式の中止の決定が相次ぎ、周辺自治体の箱根町湯河原町からも距離を置かれる事態に陥った[31]

2022年1月14日の真鶴町議会全員協議会において、教育長が任期途中の同月末での辞任の意向を表明した。選挙人名簿問題を抱える松本町長の町政について、「見通しが立たない」と異議を唱えた。また、小中学校の施設に関する松本町長の方針について「実現不可能なことを言っている。将来の見通しが真っ暗になった。心残りですが、これ以上続けられない」とも述べた[32]。教育長は申し出通り、1月31日に辞職した[33]

4月28日、町が設置した第三者委員会(委員長・今村哲也関東学院大学教授)は、個人情報の流出が公正な選挙を妨害したとして、松本らを公職選挙法違反の容疑などで刑事告発するよう提言する内容の調査報告書を松本に提出した[34]。5月9日、町は松本らを刑事告発する方針を発表した[35][36]。6月3日、町議会は第三者委員会の報告書を受け、松本町長、岩本、青木両町議に対する辞職勧告決議案を賛成多数で可決した[37]。9月16日、町は松本と元町選挙管理委員会書記長についての告発状を小田原警察署に提出した[38]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ “松本 一彦さん|新町長として真鶴町政の舵取り役を担う|小田原・箱根・湯河原・真鶴版”. タウンニュース. (2020年9月19日). https://www.townnews.co.jp/0607/2020/09/19/543226.html 2021年12月30日閲覧。 
  2. ^ a b 松本一彦プロフィール | 松本一彦【公式サイト】
  3. ^ “真鶴町長選挙 元職員・松本氏が立候補を表明”. テレビ神奈川. (2020年6月26日). http://210.254.36.160/tvknews/news4.php 2020年9月24日閲覧。 
  4. ^ “松本一彦氏、出馬へ 9月の真鶴町長選挙|小田原・箱根・湯河原・真鶴版”. タウンニュース. (2020年7月4日). https://www.townnews.co.jp/0607/2020/07/04/533072.html 2021年12月30日閲覧。 
  5. ^ “真鶴町長選 新人松本氏が制す 1139票差で宇賀氏敗れる|小田原・箱根・湯河原・真鶴版”. タウンニュース. (2020年9月19日). https://www.townnews.co.jp/0607/2020/09/19/543239.html 2020年9月24日閲覧。 
  6. ^ 任期満了日 - 神奈川県ホームページ
  7. ^ “真鶴・松本新町長が初登庁「町民の声拾う」”. 神奈川新聞. (2020年9月29日). https://www.kanaloco.jp/news/government/article-249060.html 2021年12月30日閲覧。 
  8. ^ a b c d “真鶴町長が二転三転の末に辞意 夜中に役場で名簿コピー、選挙に利用”. 朝日新聞. (2021年10月27日). https://www.asahi.com/articles/ASPBV7DTDPBVULOB011.html 2021年12月30日閲覧。 
  9. ^ “真鶴町の選挙人名簿流出、町長が自らの関与認め辞意”. 神奈川新聞. (2021年10月26日). https://www.kanaloco.jp/news/government/article-724734.html 2021年12月30日閲覧。 
  10. ^ “町長が選挙人名簿不正利用 神奈川・真鶴、近く辞任”. 日本経済新聞. (2021年10月26日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE26BPR0W1A021C2000000/ 2021年10月27日閲覧。 
  11. ^ “真鶴町長、2町議に選挙人名簿提供 住民基本台帳も持ち出し”. 神奈川新聞. (2021年10月29日). https://www.kanaloco.jp/news/government/article-729538.html 2021年12月30日閲覧。 
  12. ^ “辞職の町長「5年前にも選挙人名簿コピー渡した」、隣席の町議「記憶ない」と強く否定”. 読売新聞. (2021年11月5日). https://www.yomiuri.co.jp/national/20211104-OYT1T50222/ 2021年12月30日閲覧。 
  13. ^ “16年にも選挙人名簿を不正コピー 真鶴・松本町長が辞職”. 神奈川新聞. (2021年11月4日). https://www.kanaloco.jp/news/government/article-735621.html 2021年12月30日閲覧。 
  14. ^ a b “真鶴町長辞職 議長も辞任、議員は継続 選挙人名簿コピー問題”. 東京新聞. (2021年11月5日). https://www.tokyo-np.co.jp/article/141003 2021年12月30日閲覧。 
  15. ^ “真鶴町長が辞職 選挙人名簿コピー16年にも/神奈川”. 毎日新聞. (2021年11月5日). https://mainichi.jp/articles/20211105/ddl/k14/040/091000c 2021年12月30日閲覧。 
  16. ^ “松本・前真鶴町長が出馬正式表明「辞職後に町民から激励」”. 神奈川新聞. (2021年12月9日). https://www.kanaloco.jp/news/government/electiondata/article-770222.html 2021年12月30日閲覧。 
  17. ^ “松本前町長出直し出馬へ 真鶴町長選 名簿不正で辞職”. 読売新聞. (2021年12月10日). https://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20211209-OYTNT50149/ 2021年12月11日閲覧。 
  18. ^ “辞職の前町長、出馬を表明 神奈川・真鶴町長選”. 産経新聞. (2021年12月9日). https://www.sankei.com/article/20211209-BEOYTWMFJBJLDHSTZXIP7LKOSM/ 2021年12月30日閲覧。 
  19. ^ 令和3年12月19日執行 真鶴町長選挙 選挙公報
  20. ^ “真鶴町長選が告示、4人出馬 名簿流出の再発防止が争点に”. 神奈川新聞. (2021年12月14日). https://www.kanaloco.jp/news/government/electiondata/article-774522.html 2021年12月30日閲覧。 
  21. ^ “真鶴町長選 松本一彦氏が再選果たす 選挙人名簿不正コピーで辞職”. 毎日新聞. (2021年12月19日). https://mainichi.jp/articles/20211219/k00/00m/010/117000c 2021年12月30日閲覧。 
  22. ^ “出直し真鶴町長選 前町長松本さん薄氷の再選 「仕事の中で結果」”. 東京新聞. (2021年12月21日). https://www.tokyo-np.co.jp/article/150120 2021年12月30日閲覧。 
  23. ^ “真鶴町長選 松本氏出直し再選”. 読売新聞. (2021年12月19日). https://www.yomiuri.co.jp/local/kanagawa/news/20211219-OYTNT50133/ 2021年12月30日閲覧。 
  24. ^ “真鶴町長に松本氏 88票差で再選、町政継続へ/神奈川”. 毎日新聞. (2021年12月20日). https://mainichi.jp/articles/20211220/ddl/k14/010/081000c 2021年12月30日閲覧。 
  25. ^ “松本氏に当選証書 88票差で再選「信頼回復に努める」”. 神奈川新聞. (2021年12月20日). https://www.kanaloco.jp/news/government/electiondata/article-780700.html 2021年12月30日閲覧。 
  26. ^ 令和3年真鶴町長選挙 開票結果”. 真鶴町選挙管理委員会 (2021年12月19日). 2021年12月26日閲覧。
  27. ^ “町長の給与返上案は否決「軽すぎる」 選挙人名簿不正 神奈川・真鶴”. 毎日新聞. (2021年12月29日). https://mainichi.jp/articles/20211229/k00/00m/010/044000c.amp 2021年12月30日閲覧。 
  28. ^ “出直し町長選の公約「1年間給与ゼロ」…「免職になった職員もいるのに」と議会が否決”. 読売新聞. (2021年12月29日). https://www.yomiuri.co.jp/national/20211229-OYT1T50065/ 2021年12月30日閲覧。 
  29. ^ “神奈川・真鶴町長提案の給与1年カット案、議会で否決 「金銭だけで責任果たせるか」”. 神奈川新聞. (2021年12月28日). https://news.yahoo.co.jp/articles/a393d0cfd2a3ecb064f3f6effab34f7c8981b569 2021年12月30日閲覧。 
  30. ^ “選挙人名簿不正 真鶴町政、いばらの道 「不祥事」町長再選、混乱続く/神奈川(有料記事)”. 毎日新聞. (2021年12月30日). https://mainichi.jp/articles/20211230/ddl/k14/010/071000c 2022年1月1日閲覧。 
  31. ^ “「不正した町長の下では」 職員退職、出初め式中止……混乱の真鶴町”. 毎日新聞. (2021年12月30日). https://mainichi.jp/articles/20211230/k00/00m/040/046000c 2021年12月30日閲覧。 
  32. ^ “神奈川・真鶴町の教育長、任期途中で辞意 町長方針に「将来真っ暗」”. 朝日新聞DIGITAL. (2022年1月16日). https://www.asahi.com/articles/ASQ1J2S1WQ1HULOB005.html 2022年1月16日閲覧。 
  33. ^ “真鶴町教育長、任期途中で辞職「町長も進退を考えるべき」(有料登録制)”. カナロコ. (2022年1月31日). https://www.kanaloco.jp/news/government/article-819883.html 2022年1月31日閲覧。 
  34. ^ “「真鶴町長の刑事告発を」と第三者委 名簿問題、投票行動記載も判明”. 朝日新聞. (2022年4月29日). https://www.asahi.com/amp/articles/ASQ4X76DXQ4XULOB007.html 2022年5月3日閲覧。 
  35. ^ “真鶴町長、自身を刑事告発へ 選挙人名簿コピー不正使用―神奈川”. 時事通信. (2022年5月9日). https://www.jiji.com/sp/article?k=2022050900989&g=soc 2022年5月15日閲覧。 
  36. ^ “町長を公選法違反容疑などで刑事告発へ 神奈川・真鶴町の名簿流出”. 朝日新聞. (2022年5月10日). https://www.asahi.com/amp/articles/ASQ5B2SPTQ59ULOB010.html 2022年5月15日閲覧。 
  37. ^ “神奈川・真鶴町長の辞職勧告決議案が可決 選挙人名簿不正コピー問題”. 毎日新聞. (2022年6月3日). https://mainichi.jp/articles/20220603/k00/00m/040/141000c.amp 2022年6月4日閲覧。 
  38. ^ “神奈川・真鶴町、町長を刑事告発 選挙人名簿を候補に流出させた疑い”. 朝日新聞. (2022年9月16日). https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ9J64SPQ9JULOB00C.html 2022年9月16日閲覧。 

外部リンク[編集]

公職
先代
宇賀一章
真鶴町旗 神奈川県真鶴町長
2020年 -
次代
(現職)