本山博

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本山 博(もとやま ひろし、1925年12月15日[1] - 2015年9月19日[2])は、日本の超心理学者心理学者宗教家。国際宗教・超心理学会(IARP)初代会長、宗教心理学研究所初代所長、玉光神社名誉宮司、カリフォルニア人間科学大学院大学(CIHS)創設者。

香川県小豆郡小豆島)出身。東京文理科大学(現筑波大学)卒業。

略歴[編集]

  • 1925年(大正14年) - 香川県小豆島で出生
  • 1951年(昭和26年) - 東京文理科大学(現筑波大学哲学科卒業
  • 1955年(昭和30年) - 玉光神社 宮司に就任
  • 1956年(昭和31年) - 東京文理科大学大学院博士課程修了
  • 1958年(昭和33年) - 東京文理科大学記念賞受賞(「東西神秘思想の研究」により)
  • 1960年(昭和35年) - 宗教心理学研究所設立、初代所長就任
  • 1962年(昭和37年) - 文学博士哲学生理心理学)東京文理科大学で授与、アメリカ・デューク大学超心理学研究所よりマクドーガル賞授与[3]
  • 1963年(昭和38年) - インド・ラジャスタン大学でヨーガの電気生理学的研究に関する研究と講義
  • 1972年(昭和47年) - 国際宗教・超心理学会(IARP)発足・会長就任
  • 1991年(平成3年) - 南カリフォルニア大学院大学(SCI)日本校設立・学長
  • 1992年(平成4年) - カリフォルニア人間科学大学院大学(CIHS)設立・学長就任
  • 1994年(平成6年) - 本山人間科学大学院日本センター(MIHS)設立・学長
  • 1996年(平成8年) - J・B・ライン博士誕生百年記念賞受賞[4]
  • 1969年(昭和44年) - 70年 - インド・アンドラ大学大学院客員教授(超心理学生理心理学
  • 1972年(昭和47年) - 国際心理学会大会・心理生理学セクション議長
  • 1976年(昭和51年) - インドヨーガ・ビハールスクール(スワミ・サッチャナンダ主宰)顧問
  • 1977年(昭和52年) - イタリア・学士院アカデミア・チベリナ正会員、スペイン・第2回世界超心理学会副会長
  • 1980年(昭和55年) - アメリカ・「ジャーナル・オブ・ホリスティックメディスン」誌・編集委員
  • 1983年(昭和58年) - インド・ヒンドゥー大学医学部ヨーガ研究センター海外委員
  • 1993年(平成5年) - ブラジル・アドバンスド・メディカル・アソシエイション理事
講演・ワークショップ
  • 1988年(昭和63年) - ブラジル・国際オルタナティブセラピー学会で特別講演
  • 1989年(平成元年) - アメリカ・フェッツアー財団で特別講演
  • 1990年(平成2年) - フランス・第1回人体エネルギー国際大会で特別講演
  • 1992年(平成4年) - フランス・第2回人体エネルギー国際大会で特別講演
  • 1995年(平成7年) - カナダ・第3回鍼灸医学と自然医学国際大会で基調講演
  • 1997年(平成9年) - コスタリカ・国連平和大学で講演、米国UCLAメディカルセンターで行われた「仮想現実と超生物学」シンポジウムで特別講演
  • 2000年(平成12年) - コスタリカ政府関係者の招聘による講演会、コスタリカ国立大学でのAMI(本山式経絡臓器機能測定装置)ワークショップ(サンホセ

人物・研究[編集]

研究[編集]

  • 本山は、クンダリニー覚醒の客観的な物理データを得るための研究を行った。その結果、AMI(経路=臓器機能測定器)とチャクラマシーン(生体エネルギー測定器)という測定器を発明し、一定のデータを得ることができたと述べている[5]
  • ヨーガの教義では、生命エネルギーはナーディーと呼ばれる通路を伝って身体を流れるという(チャクラはナーディー上のセンターである)。また、漢方医学鍼灸では、人体上に経絡やツボが存在しているとされる。本山は研究の結果、ヨーガと漢方に伝わるこれらの概念が同じものであるという結論に達したと主張している。同様に、中国のの概念とインドのプラーナの概念も、同じ生命エネルギーを指しているとした。本山によれば、ナーディー=経絡の正体は、皮膚の表面の下の真皮層の中にある間質液の流れである、と自身の見解を表明している。また、AMIを使用して、経絡上のツボに電圧をかけ、間質液のパラメータを測定していくと、その経絡が関係する内臓機能が測定できることが発見でき、これによってチャクラの活性度も測定可能である[5]
  • チャクラマシーンは、被験者の身体の生体エネルギーの物理データ(電場、磁場、光など)と生理データ(脳波、脈波、呼吸など)を同時に測定するものである。本山はこの測定器により、通常の被験者とヨーガの行者や超能力者などの比較測定実験を数多く実施した。その結果、被験者らが発した電場や光などには歴然とした違いが見られた[5]

その他[編集]

  • 本山は、クンダリニー覚醒の経験者であり、覚醒時に体が宙に浮いたことがあると著書にある[6]
  • その他の肩書きは、国際健康科学会会長、日本ホリスティック医学協会顧問、デンタルホリスティック医学協会顧問、日本ストレス学会幹事などを持っていた。
  • 博士論文は、1963年に『宗教経験の世界』として出版され、後に『超感覚的なものとその世界』と改題された。
  • 本山は、クンダリニー覚醒により起こる現象を詳細に報告し。例として、光体験や体外離脱、エクスタシーや超能力の発現など。立花隆や心理学者ケネス・リングはこうした現象は臨死体験で起こる現象と共通点が多いと指摘している[5]

著書[編集]

主な単著[編集]

超常的世界の研究
  1. 『超感覚的なものとその世界―宗教経験の世界』宗教心理出版、1963年
  2. 『宗教と超心理―催眠・宗教・超常現象』宗教心理出版、1969年
  3. 『ヨガと超心理―ヨガ・超心理・鍼灸医学』宗教心理出版、1972年
  4. 『宗教と医学―Psiエネルギー(気・プラーナ)の生理学』宗教心理出版、1975年
  5. 『ヨーガの東西医学による研究―プラーナ(気エネルギー)の活用と身心コントロール』宗教心理出版、1977年
  6. 『フィリピンの心霊手術』宗教心理出版、1977年
  7. 『Psiと気の関係―宗教と科学の統一』宗教心理出版、1986年
東洋医学的エネルギー医学の研究
  1. 『経絡―臓器機能測定について』宗教心理出版、1974年
  2. 『東洋医学 気の流れの測定・診断と治療』宗教心理出版、1985年
  3. 『AMIによる神経と経絡の研究』宗教心理出版、1988年
  4. 『生命物理研究・創刊号―AMI測定電流の波形解析とその意味』宗教心理出版、1990年
  5. 『生命物理研究 2号―生体におけるエネルギー場について』宗教心理出版、1993年
宗教論
  1. 『心の確立と霊性の開発』宗教心理出版、1971年
  2. 『宗教の進化と科学―世界宗教への道』宗教心理出版、1983年
  3. 『祈りと救い―真の祈りとは何か』宗教心理出版、1986年
  4. 『カルマと再生―生と死の謎を解く』宗教心理出版、1987年
  5. 『呪術・オカルト・隠された神秘―心の成長と霊の進化の宗教学』名著刊行会<さみっと双書>、1989年
  6. 『地球社会における生き方と宗教―人類に幸せと霊的成長をもたらすもの』宗教心理出版、1991年
  7. 『啓示された人類のゆくえ』宗教心理出版、1993年
  8. 『場所的個としての覚者―人類進化の目標』宗教心理出版、1995年
  9. 『神秘体験の種々相―自己実現の道』宗教心理出版、1995年
  10. 『人間と宗教の研究―地球社会へ向けて』宗教心理出版、1996年
宗教的修行書
  1. 『自分でできる超能力ヨガ』宗教心理出版、1974年
  2. 『密教ヨーガ―タントラヨーガの本質と秘法』宗教心理出版、1978年
  3. 『チャクラ・異次元への接点』宗教心理出版、1978年
  4. 『超意識への飛躍―瞑想・三昧に入ると何が生ずるか』宗教心理出版、1985年
  5. 『チャクラの覚醒と解脱』宗教心理出版、1990年

共著[編集]

  1. 本山キヌヱ、本山博『玉光神社教祖自叙伝』宗教心理学研究所、1975年
  2. 橋本健、本山博 『超能力入門―自分でできる超能力開発法』池田書店、1986年
  3. 本山博、船井幸雄青木宏之 共著『超人鼎談 気の人間 気の人生 気の経営』東洋経済新報社、1992年
  4. 船井幸雄、高木善之、岸根卓郎、本山博『「地球村」に生きる!』ビジネス社、1995年
  5. 安永祖堂、本山一博、本山博、影山教俊、船井幸雄稲盛和夫、小田晋、桐島洋子『私が生きて・掴んで・実践したもの―講演集・宗教とは何か』宗教心理出版、1999年
  6. 遠藤順子、八城政基、小田晋、村上和雄、本山博『良心の復権―21世紀における良心の諸問題』宗教心理出版、2000年
  7. 本山博、小田晋、萩生田千津子、中嶋宏『健康と霊性―WHO(世界保健機関)の問題提起に答えて』宗教心理出版、2001年
  8. 本山博、渡部昇一『霊の研究 人生の探究』致知出版社、2007年
  9. 本山博、稲盛和夫『人間の本質―生きる意味を探る』PHP研究所、2009年

訳書[編集]

  1. C・W・リードビーター 著、本山博・湯浅泰雄 訳『チャクラ』平河出版社、1978年
  2. 呂巌・著、本山博訳『太乙金華宗旨―道教 長寿養生法』宗教心理学研究所、1964年

参考文献[編集]

  • 本山博『自分でできる超能力ヨガ―四週間で身につくトレーニング法』 宗教心理出版、1974年
  • 本山博、船井幸雄青木宏之 共著『超人鼎談 気の人間 気の人生 気の経営』 東洋経済新報社、1992年
  • 立花隆『臨死体験』 文藝春秋、1994年、(のち文春文庫、2000年)
    また、立花訳の『バーバラ・ハリスの臨死体験』に日本人医師、本山博という人物が登場するが、同一人物であり、 Dr.の誤訳であると思われる
関連文献
  • J・B・ライン『超心理学概説』宗教心理学研究所出版部、1964年
  • ジョージ・W・ミーク『死後の世界と魂の成長』宗教心理出版、1983年

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 新宗連 加盟団体紹介
  2. ^ 訃報 本山博さん 89歳=玉光神社名誉宮司 『毎日新聞』2015年9月20日付東京朝刊
  3. ^ 「超心理学の電気生理学的研究」により
  4. ^ デューク大学にてJ・B・ラインの薫陶を受けた
  5. ^ a b c d e 立花隆『臨死体験(上)』
  6. ^ 本山博『場所的個としての覚者』宗教心理出版、1995年
  7. ^ 「宗教の立場から、超心理学に対する率直な注意がはらわれています。中でも、最も深いアプローチは、本山博博士の超心理学に関する研究にみられます。同博士は心理学者であると共に宗教家であり、この分野の研究センターとして、宗教心理学研究所を設立されました。」(日本語版への序より引用)J・B・ライン著『超心理学概説』宗教心理出版、II頁、とラインは本山の研究を評価している。

外部リンク[編集]