月蒼くして

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月蒼くして
The Moon Is Blue
監督 オットー・プレミンジャー
脚本 F・ヒュー・ハーバート英語版
原作 F・ヒュー・ハーバート
製作 オットー・プレミンジャー
出演者 ウィリアム・ホールデン
デヴィッド・ニーヴン
マギー・マクナマラ
音楽 ハーシェル・バーク・ギルバート英語版
主題歌 ハーシェル・バーク・ギルバート英語版
シルヴィア・ファイン英語版
「月蒼くして」
撮影 アーネスト・ラズロ
編集 オットー・ルドウィグ英語版
製作会社 カーライル・プロダクションズ[注 1]
配給 アメリカ合衆国の旗 ユナイテッド・アーティスツ
日本の旗 松竹
公開 アメリカ合衆国の旗 1953年7月8日
日本の旗 1954年2月18日
上映時間 99分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
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月蒼くして』(つきあおくして、The Moon Is Blue)は、1953年アメリカ合衆国ロマンティック・コメディ映画。監督はオットー・プレミンジャー、出演はウィリアム・ホールデンデヴィッド・ニーヴンマギー・マクナマラなど。原作は劇作家F・ヒュー・ハーバート英語版の同名舞台劇。

主役の男女の間で当時としてはきわどい台詞が飛び交う原作舞台劇を、舞台の演出も手がけたプレミンジャー監督がハリウッドの従来の自主検閲制度にあえて逆らって映画化し、一部の地域では上映禁止となったものの、それがいっそう話題を煽る形となって大ヒットを記録したことで、検閲をめぐる闘いで映画史上にその名を残すことになった記念碑的作品である[2]

ストーリー[編集]

エンパイア・ステート・ビル展望台で、プレイボーイ建築家ドンと風変わりな駆け出しの女優パティが出会う。意気投合した2人はドンのアパートで夕飯を共にすることになるが、そこに上の階に住むドンの元婚約者シンシアやその父親デビッドが現れ、予期せぬ騒動が起こる。そして、ついにはパティの父親までがやってきて自体はますます混迷を極める。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
東京12ch
ドン・グレシャム ウィリアム・ホールデン 羽佐間道夫
パティ・オニール マギー・マクナマラ 武藤礼子
デビッド・スレーター デヴィッド・ニーヴン 中村正
シンシア・スレーター ドーン・アダムズ 池田昌子
タクシーの運転手 グレゴリー・ラトフ英語版 諏訪孝二
マイケル・オニール トム・タリ―英語版  若本紀夫
演出 田島荘三
調整 真田利幸
制作 トランスグローバル
初回放送 1972年12月7日
木曜洋画劇場

製作[編集]

原作となる舞台劇のブロードウェイでの公演(1951年)もオットー・プレミンジャーが演出を担当し、映画の脚本も原作者であるF・ヒュー・ハーバート英語版が自ら担当した。当時人気に翳りのあったデヴィッド・ニーヴンの起用に難色を示していたスタジオ幹部たちを説得するために、プレミンジャー監督は原作舞台劇の西海岸での公演にニーヴンを起用して実績を示させた[3]

本作が映画デビュー作となるマギー・マクナマラは、映画の前に原作舞台劇のシカゴ公演で同じ役を演じていた。また本作の演技で第26回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた[注 2]

オリジナルの脚本にある性的なセリフ(ヴァージン、妊娠など)[注 3]をそのまま映画でも使ったため、ボストンでは禁止され、アメリカ映画製作配給業者協会は自主規制を促したが、映画製作者側がこれに反発。最終的には映倫マークなしで上映し、大ヒットした。これが映倫の規定を改正するきっかけとなったと言われている[3]

受賞歴[編集]

部門 対象者 結果
第26回アカデミー賞[4] 主演女優賞 マギー・マクナマラ ノミネート
歌曲賞 「月蒼くして」
作曲:ハーシェル・バーク・ギルバート英語版
作詞:シルヴィア・ファイン英語版
編集賞 オットー・ルドウィグ英語版
第11回ゴールデングローブ賞[5] 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門) デヴィッド・ニーヴン 受賞
第8回英国アカデミー賞英語版[6] 総合作品賞 ノミネート
有望新人俳優賞英語版 マギー・マクナマラ

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ クレジットなし[1]
  2. ^ 受賞したのは『ローマの休日』のオードリー・ヘプバーン
  3. ^ いずれも現代の感覚では取り立てて過激でもない普通のセリフである。

出典[編集]

  1. ^ The Moon Is Blue (1953) - Company Credits” (英語). IMDb. 2012年6月19日閲覧。
  2. ^ 月蒼くして”. WOWOW. 2022年10月23日閲覧。
  3. ^ a b Fujiwara, Chris (英語). The World and Its Double: The Life and Work of Otto Preminger. Faber & Faber. ISBN 978-0865479951 
  4. ^ The 26th Academy Awards (1954) Nominees and Winners” (英語). Academy of Motion Picture Arts and Sciences. 2014年10月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月25日閲覧。
  5. ^ The Moon Is Blue” (英語). Golden Globes. 2022年10月25日閲覧。
  6. ^ Film in 1955” (英語). BAFTA Awards. 2022年10月25日閲覧。

外部リンク[編集]