悪魔の沼
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悪魔の沼 | |
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Eaten Alive | |
監督 | トビー・フーパー |
脚本 |
トビー・フーパー アルヴィン・L・ファスト キム・ヘンケル |
製作 | マーディ・ラスタム |
出演者 |
ネヴィル・ブランド メル・フェラー スチュアート・ホイットマン マリリン・バーンズ |
音楽 |
トビー・フーパー ウェイン・ベル |
撮影 | ロバート・カラミコ |
編集 | マイケル・ブラウン |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 91分 |
製作国 |
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言語 | 英語 |
『悪魔の沼』(あくまのぬま、Eaten Alive)は、1977年のアメリカ映画。『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパーがハリウッドに進出した第1作目。1930年代にテキサス州で起こったジョー・ボール事件をモチーフに作られている。
ストーリー [編集]
家出娘の新人売春婦クララ(ロバータ・コリンズ)は、客のバック(ロバート・イングランド)とトラブルになり、雇い主のハッティ(キャロリン・ジョーンズ)から売春宿を追い出されてしまう。行く当ての無いクララを気の毒に思った宿の従業員ルビー(ベティ・コール)は彼女に現金を渡し、その夜は近くに建つモーテル「スターライト・ホテル」に泊まるよう勧める。そしてルビーはクララに売春宿から来たことはモーテルの主人には言うなと忠告する。「スターライト・ホテル」は義足の男ジャッド(ネヴィル・ブランド)が経営する古いモーテルで、建物に隣接する沼にはワニが飼われていた。
ジャッドは泊まりにきたクララを部屋へ案内するが、彼女が売春婦であることを見破ると関係を求めてくる。クララを抱きしめ、ブラウスを引き裂くが激しく抵抗され、二人は階段を転がり落ちる。必死に逃げようとするクララをジャッドは鋤でメッタ刺して、瀕死の彼女を沼へ投げ入れてワニの餌食にする。
続いて旅行中の若い夫婦の車がモーテルの前に停まる。夫のロイ(ウィリアム・フィンレイ)がトイレを借りるために立ち寄ったのだ。妻のフェイ(マリリン・バーンズ)と幼い娘アンジー(カイル・リチャーズ)も車から降りるが、眼を離した隙にペットの犬がワニに喰われる。半狂乱となった娘を落ち着かせるために彼らは部屋をとる。
直後に今度は、クララを捜索中の父ハーヴェイ(メル・フェラー)と姉リビー(クリスティン・シンクレア)が、部屋をとりに来る。ジャッドはクララの写真を見せられるが、そんな娘は知らないと言う。親子は保安官を訪ねに町へと向かった。 ロイは飼い犬を襲ったワニを銃で射殺しようとする。ジャッドは彼を説得するが、ロイは無視し銃でワニを狙う。突然ジャッドは大鎌でロイに襲いかかり、彼に重傷を負わせる。とどめをさそうとした時、ワニがベランダの手すりをぶちやぶり、ロイの身体をくわえると、沼に引きずりこんでいった。
一方、何も知らないフェイは娘が落ち着いたので一人浴室へと向かう。フェイが浴室に入るのを知ったジャッドは次第に彼女への欲情を強めていく。浴室でフェイは着衣を脱ぎ始める。ジャッドは浴室の様子をしきりに気にするが、やがてドアに近づいていく。
下着姿でバスタブに腰かけていたフェイは、突然侵入して来たジャッドに驚き、大声で夫を呼ぶ。ジャッドは彼女をシャワーカーテンでくるみ、床にねじ伏せて縄で縛りあげていく。フェイの悲鳴を聞いて駆けつけた娘は暴行される母親を目撃、半狂乱で父親を呼びに出て行く。ジャッドはアンジーを捕まえようと追い廻すが、縁の下に逃げこまれる。彼は縁の下の入口を施錠し彼女を閉じ込める。
後ろ手に縛られながらも浴室を脱出したフェイは、娘を捜そうと階段を下りるが、戻って来たジャッドに見つかる。彼は逃げる彼女を追い詰め暴行を加える。捕らわれたフェイはガムテープで口を塞がれ、縄で両手足をベッドに縛りつけられ部屋に監禁されるのであった。
ハーヴェイとリビーは保安官のマーティン(スチュアート・ホイットマン)を訪ね、一緒に売春宿へクララを捜索に行くが、ハッティから彼女のことは知らないと伝えられる。疲労したハーヴェイは、先に一人でホテルに戻ることとする。ジャッドは縁の下のアンジーを引きずり出そうとするが、保安官の車に送られたハーヴェイがモーテルに戻ってきたので、一度はあきらめる。建物に入ろうとしたハーヴェイは幼女が助けを求める声を聞く。周りの様子をうかがっている彼にジャッドが襲い掛かり、大鎌を首にくい込こませると、彼を生きたまま沼のワニに喰わせる。
続いてバックが恋人のリネット(ジャナス・ブリス)を連れてモーテルに来る。ジャッドは彼らの宿泊を断るが、バックは強引に部屋をとり、恋人を連れ込んで愛撫を始める。別室ではベッドに縛られているフェイが、縄をほどこうと必死にもがいている。ジャッドは監禁している女の存在を隠すため、彼女の悲鳴とベッドのきしむ音をラジオの音量でかき消そうとする。騒音でムードを壊されたバックが外に出ると幼女の叫び声を聞く。彼は声のする所を調べようとするが、ジャッドに沼につき落とされワニに喰い殺される。その様子を目撃したリネットは悲鳴を上げ外に逃げ出す。ジャッドは大鎌を手に執拗に彼女を追いかけるが、隣接する森の中に逃げ込まれてその姿を見失う。リネットは偶然通りかかった車に助けを求めて無事に逃げ切る。
モーテルに戻ってきたリビーは部屋へ入る。着衣を脱ぎ休もうとしている彼女は、女の呻き声と物音を聞きつける。不審に思いモーテル内を調べる彼女は、下着姿でベッドに縛りつけられ、狂ったように泣き叫ぶフェイを発見し、ただならぬ事態が起こっていることを知る。リビーはフェイの手足の縄を解いて自由にする。彼女たちはハーヴェイとアンジーを捜しに1階に向かうが、階段を下りているところで、戻ってきたジャッドに遭遇する。逃げ惑う二人を彼は追いかけ大鎌でフェイに切りつけて額と太ももを負傷させ、さらに彼女を2階から1階へ突き落し重傷を負わせる。
さらにジャッドは沼から縁の下にワニをおびき寄せてアンジーを襲わせる。必死に逃げまわるアンジーは縁の下を脱出して、金網を登ろうとする。ジャッドは彼女を沼に落そうと金網を揺らすが、間一髪のところで瀕死のフェイが彼を沼につき落し、アンジーは無事に助かる。ジャッドはワニにくわえられて水中に引き込まれていく。彼女たちは駆けつけた保安官のマーティンに保護される。そして水面にはジャッドの義足が浮かんでくるのだった。
キャスト[編集]
役名 | 俳優 | 日本語吹替 |
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ジャッド | ネヴィル・ブランド | 大塚周夫 |
ハーヴェイ | メル・フェラー | 内田稔 |
マーティン保安官 | スチュアート・ホイットマン | 小林勝彦 |
フェイ | マリリン・バーンズ | 鈴木弘子 |
ロイ | ウィリアム・フィンレイ | 徳丸完 |
アンジー | カイル・リチャーズ | 菅谷政子 |
バック | ロバート・イングランド | 石丸博也 |
リビー | クリスティン・シンクレア | 佐藤由美子 |
ハッティ | キャロリン・ジョーンズ | 今井和子 |
クララ | ロバータ・コリンズ | 潘恵子 |
ルビー | ベティ・コール | 片岡富枝 |
リネット | ジャナス・ブリス | 鵜飼るみ子 |
スヌーピー(犬) | スクルフィー |
制作[編集]
- 野外ロケ中心の『悪魔のいけにえ』に対し、「悪魔の沼」は一部のシーンを除き、大半がセットで撮影されている。
- トビー・フーパーの他にも、『悪魔のいけにえ』の主要スタッフ・キャストが本作に携わっており(脚本:キム・ヘンケル、出演:マリリン・バーンズ)、前作からのオマージュが随所に見られる。
トリビア[編集]
- 冒頭でのロバート・イングランドの台詞「俺の名前はバックだ…。」 は『キル・ビル Vol.1』でオマージュとして使われている。
- トビー・フーパーが映画の後半、通りかかった車の運転手役でカメオ出演している。
- 『悪魔のいけにえ』でもヒロインを演じたマリリン・バーンズは本作品の撮影当時、トビー・フーパーの恋人であった。
- 本作の子役カイル・リチャーズは、お騒がせセレブとして有名なパリス・ヒルトンの叔母(彼女の姉キャシー・ヒルトンの娘)である。
- 本作の原題にはEaten Aliveの他にも、Death Trap、 Horror Hotel、Horror Hotel Massacre、Legend of the Bayou、 Murder on the Bayou、Starlight Slaughterといった複数のタイトルが存在し、1976年の日本初公開時の原題はDeath Trapとなっていた。
その他[編集]
- 1978年度第7回パリ国際ファンタスティックSF映画祭 黄金の一角獣賞、主演男優賞(ネヴィル・ブランド)受賞作品
DVD[編集]
DVDの再発を記念し、渋谷の映画館シアターN渋谷[1]にて2007年3月17日から4週間、本作がレイトショーにて再公開された。 『悪魔のいけにえ』と同じく、デックスエンタテインメントからDVDが発売された。DVDには、日本語吹替版や公開時のパンフレット・チラシを縮小・復刻した物が付属する。
出典[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 悪魔の沼 - allcinema
- 悪魔の沼 - KINENOTE
- Eaten Alive - オールムービー(英語)
- Eaten Alive - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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