小電力データ通信システム

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小電力データ通信システム(しょうでんりょくでーたつうしんしすてむ)は、免許を要しない無線局、その内のいわゆる小電力無線局の一種である。 電波法による無線局の免許を受けることなく利用することができる。

定義[編集]

総務省令 電波法施行規則(以下、「施行規則」という。」)第6条第4項第4号に「主としてデータ伝送のために無線通信を行うもの(電気通信回線設備に接続するものを含む。)であつて、次に掲げる周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が0.58W以下であるもの」と定義され、以下、周波数帯が定められている。

促音の表記は原文ママ

概要[編集]

無線LANに主として用いられる。また、2.4GHz帯はコードレス電話、模型飛行機の無線操縦Bluetoothなど様々なものにも用いられている。

総務省規定に技術基準が定められており、技術基準適合証明の認証を受けた機器(適合表示無線設備という。)のみしか利用できない。 技術基準には、次のようにある。

  • 空中線(アンテナ)を除き「一の筐体に収められており、容易に開けることができないこと」とされ、特殊ねじなどが用いられているので、利用者は改造はもちろん保守・修理の為であって分解してはならない。
  • 空中線電力は10mW以下である。

改造したものは技術基準適合証明が無効となるので、不法無線局となる。 なお、日本独自の制度であるので外国での使用はできない。 外国で、無線LANやBluetooth機器などが支障なく動作することがあっても、その国での使用が許可されている又は技術基準が満たされているということではない。

普及状況

総務省が三年毎に実施する電波の利用状況調査の中で、小電力データ通信システムの無線局を含む免許不要局の出荷台数を調査している。(出荷台数参照)

周波数、変調方式および通信方式、表示[編集]

周波数は、施行規則第6条第4項第4号に次のように規定されており、通称を併せ掲げる。

周波数 通称
2471MHz~2497MHz 2.4GHz帯小電力データ通信システム
2400MHz~2483.5MHz 2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム
5180MHz、5190MHz、5200MHz、5220MHz、5230MHz、5240MHz、

5260MHz、5270MHz、5280MHz、5300MHz、5310MHz、5320MHz
(屋内および告示 [1] に基づき船舶航空機車両内の電波が遮蔽される場所に使用は限られる。)

5.2GHz帯、5.3GHz帯小電力データ通信システム
5500MHz、5510MHz、5520MHz、5540MHz、5550MHz、5560MHz、

5580MHz、5590MHz、5600MHz、5620MHz、5630MHz、5640MHz、
5660MHz、5670MHz、5680MHz、5700MHz
(上空で運用する無線局(航空機内で運用するものを除く。)が使用するものを除く。)

5.6GHz帯小電力データ通信システム
24.77GHz~25.23GHzの10MHz間隔
27.02GHz~27.46GHzの10MHz間隔
準ミリ波帯小電力データ通信システム

5.2GHz帯、5.3GHz帯、5.6GHz帯の使用場所に制限があるのは、すでに周波数帯がレーダーなどに割り当てられており、これらに混信等の妨害を与えてはならないからである。

変調方式および通信方式

無線設備規則第49条の20による。

周波数帯 変調方式 通信方式
2.4GHz帯 直接拡散方式

周波数ホッピング方式 直接拡散及び周波数ホッピングの複合方式

単向通信

単信
半複信
複信

2.4GHz帯高度化 直交周波数分割多重方式又はスペクトル拡散方式

上記以外のデジタル変調方式

5.2GHz帯、5.3GHz帯 占有周波数帯幅
18MHz以下
直接拡散方式を使用するスペクトル拡散方式

振幅変調方式、位相変調方式、周波数変調方式、パルス変調方式又はこれらの複合方式
直交周波数分割多重方式

占有周波数帯幅
18MHzを超え38MHz以下
直交周波数分割多重方式
5.6GHz帯 占有周波数帯幅
19.7MHz以下
直接拡散方式を使用するスペクトル拡散方式

振幅変調方式、位相変調方式、周波数変調方式、パルス変調方式又はこれらの複合方式
周波数分割多重方式

占有周波数帯幅
19.7MHzを超え38MHz以下
周波数分割多重方式
準ミリ波帯 直交周波数分割多重方式

振幅変調方式、位相変調方式、周波数変調方式、パルス変調方式又はこれらの複合方式

表示

適合表示無線設備として技適マークが表示されていなければならない。 また、技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号も付され、小電力データ通信システムを表す記号は、次のとおりである。

周波数帯 記号 備考
2.4GHz帯 GZ 技術基準適合証明番号

では、番号の4から5字目
工事設計認証番号
(番号の4字目がハイフン(-))
には、記号表示を要しない。

2.4GHz帯高度化 WW
5.2GHz帯、5.3GHz帯 XW
5.6GHz帯 YW
準ミリ波帯 HX

記号の変遷は沿革を参照。

標準規格[編集]

法制化当初から、電波システム開発センター(略称 RCR)(現 電波産業会(略称 ARIB))が電波法令の技術基準を含めて規格化し、標準規格として公開している。

  • RCR STD-33 小電力データ通信システム/ワイヤレスLANシステム
  • ARIB STD-T66 第二世代小電力データ通信システム/ワイヤレスLANシステム

技術基準適合認定との関係[編集]

電気通信回線に接続する機器は電気通信事業法の端末機器でもあり技術基準適合認定も要する。 この場合、技適マークの表示は単数でよい。

技適マークが無効となる機器の使用期限[編集]

技術基準の改正により、無線設備規則附則に「平成17年11月30日までに認証を受けた適合表示無線設備の表示は平成34年12月1日以降は表示されていないものとみなす」とある。 すなわち、旧技術基準で認証された機器は、技適マークがあっても2022年12月1日以降は使用できない

沿革[編集]

1992年(平成4年) 小電力データ通信システムの無線局が定義 [2] された。当初は2.4GHz帯のみであった。 記号はGZ、番号の1~2字目に置かれた。 [3]

1999年(平成11年) 2.4GHz帯高度化が追加 [4] され、記号はNY [5] とされた。

2000年(平成12年) 5170MHz、5190MHz、5210MHz、5230MHz(屋内使用に限る。)が追加 [6] され、記号はWY [7] とされた。

  • 「5GHz帯小電力データ通信システム」と通称された。

2001年(平成13年) 記号は番号の3~4字目に置かれた。 [8]

2002年(平成14年) 準ミリ波帯が追加 [9] され、記号はHX [10] とされた。

2003年(平成15年) 記号は番号の4~5字目に置かれた。 [11]

2005年(平成17年)

  • 5GHz帯が、5180MHz~5320MHzの20MHz間隔および5180MHz~5240MHzの20MHz間隔(航空機内の使用に限る。)と改正[12]され、記号はWY[13]とされた。
  • 電波の利用状況調査の中で、2.4GHz帯の小電力データ通信の無線局を含む免許不要局の出荷台数が公表された。
    • 以降、三年周期で公表される。

2007年(平成19年) 

  • 5600MHz~5700MHz、20MHz間隔が追加[14]され記号はTW[15]とされた。
    • 「5.6GHz帯小電力データ通信システム」と通称される。また、従前の「5GHz帯」は「5.2GHz帯、5.3GHz帯」と通称される。
  • 5.2GHz帯、5.3GHz帯に遮蔽効果のある場所のみでの使用の制限が追加[16]、5.6GHz帯に5510MHz、5550MHz、5590MHz、5630MHz、5670MHzの周波数および上空での運用制限が追加[16]され記号はTW[17]とされた。
  • 記号がNYはWW、WYはXW、TWはYWに変更[18]された。
  • 電波の利用状況調査の中で、5GHz帯以上の小電力データ通信の無線局を含む免許不要局の出荷台数が公表された。
    • 以降、三年周期で公表される。

2008年(平成20年) 2.4GHz帯に模型飛行機の無線操縦用の技術基準が追加 [19] された。

2011年(平成23年) 工事設計認証番号には、記号表示を要しない [20] こととなった。

出荷台数[編集]

種別 出荷台数
平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度
2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム 2,673,014 5,851,689 12,917,145 35,839,647 46,265,846 93,335,818 124,315,675 134,688,380 123,476,009
2.4GHz帯小電力データ通信システム 1,763,156 3,516,427 4,342,050 3,992 7,592 6,825 66,292 5,096 5,006
種別 出荷台数
平成15年度 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
5GHz帯小電力データ通信システム 552,721 2,888,794 5,042,783  
5.3GHz帯小電力データ通信システム   2,330,831 3,072,985 1,916,822  
5.6GHz帯小電力データ通信システム   392 357,938 654,672  
準ミリ波帯小電力データ通信システム 8 30 111 324 1,213 831  

各年度の「電波の利用状況調査の調査結果」 [21] の「第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)」による。

脚注[編集]

  1. ^ 平成19年総務省告示第361号 電波法施行規則第6条第4項第4号(3)の規定に基づく小電力データ通信システムの無線局の無線設備の使用場所
  2. ^ 平成4年郵政省令第78号による施行規則改正
  3. ^ 平成4年郵政省令第80号による特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則改正
  4. ^ 平成11年郵政省令第75号による施行規則改正
  5. ^ 平成11年郵政省令第77号による特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則改正
  6. ^ 平成12年郵政省令第15号による施行規則改正
  7. ^ 平成12年郵政省令第17号による特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則改正
  8. ^ 平成13年総務省令第118号による特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則改正
  9. ^ 平成14年総務省令第20号による施行規則改正
  10. ^ 平成14年総務省令第22号による特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則改正
  11. ^ 平成15年総務省令第69号による特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則改正
  12. ^ 平成17年総務省令第92号による施行規則改正
  13. ^ 平成17年総務省令第94号による特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則改正
  14. ^ 平成19年総務省令第5号による施行規則改正
  15. ^ 平成19年総務省令第7号による特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則改正
  16. ^ a b 平成19年総務省令第73号による施行規則改正
  17. ^ 平成19年総務省令第75号による特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則改正
  18. ^ 平成19年総務省令第75号による特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則改正
  19. ^ 平成20年総務省令第96号による無線設備規則改正
  20. ^ 平成23年総務省令第163号による特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則改正
  21. ^ 過去の電波の利用状況調査の調査結果及び概要(総務省電波利用ホームページ)

参考文献[編集]

  • 官報
  • 電波法及び関係省令・告示
  • 電波産業会標準規格

関連項目[編集]

外部リンク[編集]