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安田英治

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

安田 英治(やすだ えいじ、1936年 -2013年 )は、日本空手家。極真空手七段[1]東京都出身[2]大山道場師範代を務めた[2]

来歴

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高校生の時に、浅草剛柔流本部で大山倍達と初めて出会った。その頃、大山の道場目白に野天道場を開いていた。安田は顔を出す程度の出入りだったのが、1956年に大山は池袋立教大学裏に道場を移す。安田は学習院大学空手道部にも所属していたが、掛け持ちで大山道場に通い出し、自らの稽古を重ねた。そして石橋雅史黒崎健時と共に師範代として、門下生を指導する立場になった。大山茂岡田博文渡辺一久・春山一郎[注釈 1]大山泰彦千葉真一郷田勇三中村忠加藤重夫大沢昇ら、後の極真会館を担っていく面々を指導、育成した。株式会社安田通商を設立してからは道場の指導を離れたが[2]、極真会館の相談役を務めていた。2013年死去。

大山茂は「入門した時に3人の大先輩(『華麗で柔の組手の実践者』の石橋。『剛の組手』をした黒崎。そして『予告前蹴り』の安田)がいたが、 (安田さんと同年齢である) 自分にとって『追いつきたかった先輩』だった」と語っている[4]

組手スタイル

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正拳突き裏拳あご打ち・掌底・背刀打ち・前蹴り金的蹴りを多用し、特に前蹴りは事前に「前蹴りやるぞ」と相手に伝えておいても、防げないほどの威力とスピードがあったという[2][5]。ある日、大山道場によく出入りしていた太気拳創始者澤井健一が、次々と拳法の動きで初段クラスの3、4人の門下生を、あっという間に倒した[2][5]。大山倍達は「このままではまずい」と思い、安田に澤井と組手をさせる事にした[5]。行う前に大山は安田へ近づき、ボソッと「当てて構わん」と言った[5]。そして組手が始まり、安田の前蹴りで澤井は断裂の重傷を負ったという逸話がある[2][5]。なお、その様子は偶然、道場に居合わせた記者の手により、写真に収められている[2][5]

ケンカ十段の異名

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劇画空手バカ一代で、ケンカ十段という異名と池袋で10数人とケンカした武勇伝を、原作者の梶原一騎芦原英幸のものとして紹介したが、後年、男の星座で、実は安田英治の事だと訂正し、誌面で発表している。実際のところ、安田によるとケンカした場は池袋ではなく浅草で、友人が7、8人のヤクザにからまれていた事からケンカが始まり、あとからヤクザに助っ人が10人ほどきて、大騒ぎになったという[2]

大山倍達はその喧嘩ぶりと強さを「安田英治は強かった。学生チャンピオンでもあった。同時に喧嘩のコツを心得ていたし、喧嘩におけるところの阿吽の呼吸をよく理解していた。彼の喧嘩についての考え方を聞いた事があるが、喧嘩におけるところの美学、芸術としての喧嘩を考えていた。浅草の喧嘩は六区ができて以来、初めてだという大きな喧嘩だった。なにしろ警察が感心するほどに鮮やかだった。普通、喧嘩というと、互いに血を流して修羅場のような状況になるが、安田は素手で戦って、自分も相手も殆ど血を流さなかった。これが本当の喧嘩だろう。喧嘩というものは、相手に血を流させないで、気絶をさせて勝つものだ。それが喧嘩の美学である。安田英治の喧嘩がまさにそれだった。彼と同じころ入門し、同じ歳で体重も身長も同じ人間がいたが、組手をやらせたら大人と子供であった。全く問題にならない。それほど強かった[6]」と評している。

脚注

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  1. ^ 劇画空手バカ一代』に登場する「有明省吾」のモデルで、大山倍達が「歴代の弟子の中で一番強い」と語った空手家[3]。技は何でも使いこなすオールラウンドプレイヤー[3]身長185cm体重80kg[3]群馬県桐生市出身[3]
出典
  1. ^ 「国際空手道連盟極真会館 年度別昇段登録簿(国内)」(日本語)『極真カラテ総鑑』(初版)株式会社I.K.O. 出版事務局、171-0021東京都豊島区西池袋2-38-1(原著2001年4月20日)、61 - 63頁。ISBN 4816412506 
  2. ^ a b c d e f g h 『新・極真カラテ強豪100人』'97年度改訂版ゴング格闘技1月号増刊、日本スポーツ出版社、1997年1月29日、36 - 37頁、49頁。 
  3. ^ a b c d 新・極真カラテ強豪100人 「有明省吾の名で一世風靡 春山一郎」 40頁。
  4. ^ 「奇才・黒崎健時を読む!」『ゴング格闘技』 日本スポーツ出版社、No.35、1996年、22頁。
  5. ^ a b c d e f 「最も多く組手を行った中で『円の組手』の原点を学んだ-極真会館七段・(株)安田通商代表取締役・安田英治」『拳聖-大山倍達-地上最強の空手』『月刊フルコンタクトKARATE4月号別冊』 福昌堂1998年、16 - 18頁、54頁、73 - 78頁。
  6. ^ 大山倍達『マス大山の正拳一撃』市井社、162 東京都新宿区市ヶ谷田町1-3 片倉ビル603、1994年、201頁。ISBN 488208029X 

関連項目

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