宇宙気流

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宇宙気流』(うちゅうきりゅう、The Currents of Space )は、1952年に発表されたアイザック・アシモフSF小説。初訳時の題名は『惑星フロリナの悲劇』。

概要[編集]

ファウンデーションシリーズ」に繋がる小説群の1つ。『暗黒星雲のかなたへ』や『宇宙の小石』と共に、ファウンデーション宇宙史の一部であるアシモフの銀河帝国シリーズ(トランター物)に位置づけられている。アシモフの架空史の中では、銀河帝国となるトランター帝国が勢力を増して、他の星間国家群を飲み込んで行く時代にフォーカスしている。

ちなみに、この作品の背景をベースデザインとして、眉村卓が発表した「司政官シリーズ」の一作『消滅の光輪』は、第7回泉鏡花文学賞および第10回星雲賞を受賞している。横田順彌らが関わったSF同人誌「宇宙気流」(一の日会の機関誌)もここからきていると思われる。


あらすじ[編集]

物語の舞台は、銀河系のとある惑星フロリナ。その惑星特産の繊維「カート」は宇宙服の材料や高価なドレスに使用するなど、同量のより価値の高い、宇宙全体にとって重要な産物であった。支配階級は貴族として、地面から土台で支えられた都市に住み、農奴はその都市の下でカート生産をし、貴族が銀河中の富を独占しているといわれていた。

そのカートを産出するフロリナが消滅すると主張する空間分析家が現れ、銀河中で大騒ぎになりかけるが、突然、その男が失踪した。

その頃、惑星フロリナにおいて、最下層のカーストに属する女性が白痴の中年男性を見つけ、共に生活を始める。生活をしていく中で、その女性は白痴の男性が徐々に自分本来の記憶を取り戻して行くに従い、その男性が実は高等教育を受けた非常に知性の高い人間ではないかと気が付く。実は白痴の男性は、高名な空間分析家であり、「神経衝撃銃」にて神経線維を焼き切られ、白痴とされてしまった事が浮かび上がってくる。その空間分析家が惑星フロリナの危機情報を持つ事が判り、フロリナの貴族、覇権国家トランターとの対立、カーストの女性と空間分析家の関係などが絡み合い、ストーリが進展していく。

結果として、他惑星でカートを生産する目算が立ち、フロリナの農奴解放、全住民の移住が始まる(しかし同時に、トランターの銀河制覇に抵抗できる勢力はなくなった)。

なお、「フロリナ貴族は有色人種主体、フロリナ農奴は白色人種主体で構成されている」という、1952年当時としてはかなり衝撃的な社会設定がされていた。

書誌情報[編集]

  • 『惑星フロリナの悲劇』平井イサク訳、室町書房、1955年
  • 『宇宙気流』平井イサク訳、ハヤカワ・SF・シリーズ3030、1962年3月
  • 『宇宙気流』平井イサク訳、早川書房・世界SF全集14、1969年12月
  • 『宇宙気流』平井イサク訳、ハヤカワ文庫SF247、1977年6月