宇宙の晴れ上がり

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現代宇宙論
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宇宙 · ビッグバン
宇宙の年齢
宇宙の年表

宇宙の晴れ上がり(うちゅうのはれあがり、: clear up of the Universe[1])は、ビッグバン理論において宇宙の始まり以来、初めて光子が長距離を進めるようになった時期を指す。これはビッグバンから約38万年後であるとされ[2]宇宙マイクロ波背景放射の原初で、これ以前の時代を「宇宙の暗黒時代」などと呼ぶことがある(「宇宙の晴れ上がり」という用語は佐藤文隆の提唱によるもので、この言葉に対する英語の定訳はなく[1]、再結合期(en:Recombination)や、トランスペアレント(透明)になったという)。 ビッグバンからおよそ38万年後に宇宙の温度は約 3000 K まで低下し、電子原子核が結合して原子を生成するようになると、光子は電子との相互作用をまぬがれ長距離を進めるようになった[3]。これを宇宙が放射に対して「透明になった」 (Transparent)、あるいは宇宙が「晴れ上がった」などと表現する。同様に、宇宙の晴れ上がり以前の状態は、宇宙が放射に対して「不透明である」 (opaque)、あるいは宇宙が「霧がかっている」 (Foggy) などと表現する。この電子と原子核との結合を、英語では電離 (combination) の対義語となる「再結合」を意味する "Recombination" と呼ぶが、実際には再度の結合ではなく初めての結合である。

この晴れ上がりの時期は、赤方偏移 z ≈ 1090に対応する薄い球面として観測され、これは最終散乱面 (: last scattering surface) と呼ばれる[1]。最終散乱面からの放射は宇宙マイクロ波背景放射として観測され、ビッグバン理論について現在得られる最も良い証拠であると考えられている[4]

脚注[編集]

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  1. ^ a b c 宇宙の晴れ上がり”. 天文学辞典. 日本天文学会. 2018年9月24日閲覧。
  2. ^ 宇宙はどのように生まれたのか?”. 国立天文台. 2017年6月17日閲覧。
  3. ^ 池内了「1章. 宇宙誕生」『私達は暗黒宇宙から生まれた - ALMAが解き明かす宇宙の全貌福井康雄日本評論社、2004年12月、6頁。全国書誌番号:20717865ISBN 4-535-78426-4NCID BA69944187OCLC 675475590ASIN 4535784264
  4. ^ 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の温度揺らぎ”. 国立天文台. 2011年12月13日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2017年6月17日閲覧。

関連項目[編集]