主要農作物種子法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索
主要農作物種子法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 種子法
法令番号 昭和27年5月1日法律第131号
効力 現行法
主な内容 主要農作物の優良な種子の生産及び普及
条文リンク 総務省法令データ提供システム
テンプレートを表示

主要農作物種子法(しゅようのうさくぶつしゅしほう)、通称「種子法」は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的として制定された法律である。2018年4月の廃止が決まっている[1][2]

概要[編集]

サンフランシスコ講和条約が発効された翌月である1952年5月に制定された。コメ大豆といった主要作物について、優良な種子の安定的な生産と普及を“国が果たすべき役割”と定めている法律である[2][3]都道府県による普及すべき優良品種(奨励品種)の選定や、その原原種および原種・一般種子の生産と安定供給に都道府県が責任を持つことが定められている[4]

廃止に関する動きと議論[編集]

2016年9月に政府規制改革推進会議で課題として提起された後、2017年3月23日に開かれた第193回国会において「主要農作物種子法を廃止する法律」が成立し、2018年4月1日をもっての廃止が決まった[1][2][5]。政府は種子法について、「既に役割を終えた」、「国際競争力を持つために民間との連携が必要」と説明しており[2]、廃止には種子生産に民間企業の参入を促す狙いがある。種子法の廃止など「戦後レジームからの脱却農政」と称される農政の大転換が行われた[6]

しかし、種子を公的に守る政策が放棄されると主要農作物の種子の安定生産・安定供給に支障が出るのではないか[2][4][7][8]、「稲などの種子が多国籍企業に独占される」[9]、「食料主権が脅かされかねない」[10]、「地域の種子の品質向上や安定供給のシステムが崩れかねない」[11]、「公的資金の支えによる品種育成がなくなれば、現在300種ある各地の米には消えるものが現れ、民間による種の私物化が進むのでは」[12]などの懸念が広がっている。また、種子法廃止が都道府県や農家への説明なしに唐突に示されたことに対する批判や戸惑いの声も存在する[11]

2017年11月15日には、種子法廃止に関して、「稲、麦類及び大豆の種子について」と題した農林水産事務次官による通知が出された[13]。これに対しては、「早くグローバル種子企業がもうけられる下地を農研機構や都道府県が準備することを要請しているだけ」などの指摘がある[14]

構成[編集]

  • 第1条 目的
  • 第2条 定義
  • 第3条 ほ場の指定
  • 第4条 審査
  • 第5条 ほ場審査証明書等の交付
  • 第6条 都道府県の行う勧告等
  • 第7条 原種及び原原種の生産
  • 第8条 優良な品種を決定するための試験

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 主要農作物種子法を廃止する法律”. 衆議院 (2017年4月21日). 2017年12月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e 種子法 来年4月廃止の法成立”. 毎日新聞 (2017年6月9日). 2017年12月30日閲覧。
  3. ^ タネは誰のもの? 「種子法」廃止で、日本の食はどう変わるのか――種子の専門家に聞く”. パルシステム (2017年5月29日). 2017年12月30日閲覧。
  4. ^ a b 食農耕論 大義なき種子法廃止、農業活性化に逆行 京都大学大学院経済学研究科教授 久野 秀二”. 全国農業新聞 (2017年8月25日). 2017年12月30日閲覧。
  5. ^ 種子法廃止法案を可決 衆院農水委”. 全国農業新聞 (2017年3月31日). 2017年12月30日閲覧。
  6. ^ 農業の大規模化・企業化は農村に何をもたらすのか? 海外の事例から農業改革を考える 松平尚也 yahoo!ニュース
  7. ^ 種子 安定生産を 法廃止で 4団体、県に要請書 /岩手”. 毎日新聞 (2017年6月20日). 2017年12月31日閲覧。
  8. ^ 「EPAの影響懸念」 JA長野県が予算要望書”. 産経新聞 (2017年9月12日). 2017年12月31日閲覧。
  9. ^ 来年4月に種子法廃止の波紋 生産者と消費者連携「日本の種子を守る会」設立へ”. 東京新聞 (2017年4月18日). 2017年12月30日閲覧。
  10. ^ 経済観測 食料主権が脅かされかねない=資源・食糧問題研究所代表 柴田明夫”. 毎日新聞 (2017年2月25日). 2017年12月30日閲覧。
  11. ^ a b 稲、麦、大豆の種子法廃止 現場に広がる不安”. 神戸新聞 (2017年4月18日). 2017年12月30日閲覧。
  12. ^ 種子法の廃止 主食守る議論もっと ノンフィクション作家 島村 菜津”. 日本農業新聞 (2017年12月25日). 2017年12月30日閲覧。
  13. ^ 稲、麦類及び大豆の種子について”. 農林水産省. 2017年12月31日閲覧。
  14. ^ 種子法廃止に備えた「通知」の本質”. 農業協同組合新聞 (2017年11月30日). 2017年12月31日閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]