ロバート・ケネディ・ジュニア
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ロバート・F・ケネディ・ジュニア Robert F. Kennedy Jr. | |
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![]() 保健福祉長官肖像(2025年撮影) | |
生年月日 | 1954年1月17日(71歳) |
出生地 |
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出身校 |
ハーバード大学 (BA) ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス バージニア大学 (JD) ペース大学 (LLM) |
所属政党 |
![]() 無所属(2023年 - ) |
配偶者 |
エミリー・ブラック (1982年 - 1994年) メアリー・リチャードソン (1994年 - 2012年) シェリル・ハインズ (2014年 - ) |
子女 | 6人 |
親族 |
ロバート・ケネディ(父) ジョン・F・ケネディ(伯父) エドワード・M・ケネディ(叔父) ジョセフ・P・ケネディ(祖父) |
宗教 | キリスト教カトリック |
内閣 | 第2次トランプ内閣 |
在任期間 | 2025年2月13日 - 現職 |
大統領 | ドナルド・トランプ |
ロバート・フランシス・ケネディ・ジュニア(英語: Robert Francis Kennedy Jr., 1954年1月17日 - )は、アメリカ合衆国の政治家、弁護士。第2次トランプ政権において保健福祉長官を務めている。第64代司法長官ロバート・ケネディとエセル・スカケル・ケネディの息子で、父同様に名前のイニシャルをとってRFKジュニアあるいは愛称であるボビー(Bobby)と呼ばれることもある。
アメリカの名門一族ケネディ家のひとり。第35代アメリカ大統領・ジョン・F・ケネディの甥(ジョンの弟の子)。
生い立ち
[編集]ワシントンD.C.のジョージタウン大学病院で生まれた。
バージニア州マクリーンとマサチューセッツ州ケープコッドにある家族の家で育った。9歳の時に伯父ジョン・F・ケネディが、14歳の時に父ロバートが暗殺された。
メリーランド州ノースベセスダにあるイエズス会の寄宿学校であるジョージタウン予備校に通っていたときに父親の銃撃のことを知った数時間後、彼は姉のキャスリーンと兄のジョセフとともにヒューバート・ハンフリー副大統領の飛行機でロサンゼルスに飛び、ロバートが亡くなった時はそばにいた 。父の葬儀の参列者を務め、アーリントン国立墓地で行われた父の死を追悼するミサで父のスピーチの抜粋を読み上げた。
父親の死後、マサチューセッツ州ケンブリッジで代理家族と一緒に暮らしたが薬物使用のためニューヨーク州ミルブルックとコネチカット州ポムフレットの2つの寄宿学校から退学になった。1970年8月、いとこのボビー・シュライバーと共にマリファナ所持でマサチューセッツ州バーンスタブルで逮捕され、13ヶ月の保護観察処分を受けた。1972 年にマサチューセッツ州ウォータータウンの全日制学校、パルフリー・ストリート・スクールを卒業。
ハーバード大学に入学し、1976年にアメリカの歴史と文学の学士号を取得して卒業。その後、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学び、 1982年にバージニア大学ロースクールで法学博士号を取得し、1987年にペース大学で法学修士号を取得した。
経歴
[編集]

1985年に弁護士としてのキャリアをスタートさせ、長年、環境問題に取り組んできた。また、「銃乱射事件は処方薬と関係」「2004年の大統領選は盗まれた」「JFKの暗殺にCIAが関与した」など、様々な陰謀論を主張してきた[1]。「反ワクチン活動家」として知られ、新型コロナウイルスのワクチンの接種に反対する集会に参加するなどして注目を集めた[2]。
2024年アメリカ合衆国大統領選挙
[編集]2023年4月5日、2024年アメリカ合衆国大統領選挙に民主党候補として立候補するための書類を提出した[3]。ただしケネディ一族からの支持は得られておらず、2024年4月15日には一族のうち15人以上が現職のジョー・バイデン支持を表明している[4][5]。9月15日、ロサンゼルスで演説中に連邦保安官を名乗る不審な男が警護当局に拘束された。男は銃を持っていた。ケネディは、「シークレットサービスを認めてほしい」と語った[6]。10月9日、無所属での立候補を表明した[7][8]。
2024年1月23日、ニューハンプシャー州で投票用紙に名前が記載されるのに必要な数が一日で集まったと発表した[9]。
ケネディは事実上の泡沫候補と見なされているが、世論調査では大きな支持を得ており有力候補である共和党のトランプや民主党のバイデンの票を侵食する可能性が指摘されていた[10]。4月15日にはトランプ陣営より副大統領候補となるよう打診されたが拒否したと主張、当のトランプ陣営は打診そのものを否定した[11]。8月23日、「勝利への現実的道があるとはもはや思わない」として、選挙戦から撤退しトランプを支持すると表明した[12]。ケネディは選挙戦から完全に撤退はせず、一部の州では投票用紙に自身の名前が載るようにする一方[13]、ノースカロライナ州を含む接戦州については削除するよう要請した[14]。
第2次トランプ政権
[編集]2024年11月5日にドナルド・トランプが大統領に当選すると、11月14日に第2次政権の保健福祉長官として指名された[15][16]。ロバート・ケネディ・ジュニアは著名な反ワクチン活動家であり、様々な陰謀論を主張したり、新型コロナの治療として専門家が否定しているイベルメクチンやヒドロキシクロロキンを推奨するなど、科学に反する主張を長年行っていたため、保健福祉長官への指名には強い反発が表明された[17]。医師や医療従事者からなる医療保護委員会による、ロバート・ケネディ・ジュニアの就任に反対する呼びかけには、15,000人分の署名が集まり、ジョン・F・ケネディ大統領の長女でいとこのキャロライン・ケネディは、ロバート・ケネディ・ジュニアの承認への反対を上院議員たちに呼び掛けた[17]。
上院での公聴会では厳しく追求されたが、ワクチンへの反対を否定し、「安全性を重視している」「医療においてワクチンは重要な役割を果たしている」などの発言を行った[17]。2025年2月13日の人事案採決では民主党の全議員だけでなく、共和党からも幼少期にポリオを患いワクチン接種を推進する立場のミッチ・マコーネル議員が反対に回ったが、賛成52票、反対48票で承認された[18]。同日に就任宣誓を行った[19]。
上院での承認を経て、ロバート・ケネディ・ジュニアは保健福祉長官に就任し、全体で8万人以上の科学者・職員を要する保健福祉省を監督することになった[18]。同省は、メディケア(高齢者向けの医療保険)、メディケイド(低所得者向けの公共医療保険)を管轄するほか、アメリカ食品医薬品局(FDA)、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)を監督する[18]。
イーロン・マスクが主導する政府効率化省(DOGE)の活動と合わせて、保健福祉省配下のさまざまな研究機関では科学者を含む職員の大量解雇と予算・プロジェクトの大規模な中止が進められており[20][21]、全国の多数の科学者や団体から科学に対する攻撃の危険性が訴えられている[22][23][24][25]。
3月28日、ケネディーはFDAのワクチンプログラム長のピーター・マークは退職するか解雇されるべきだと述べた[26]。マークはCOVID-19パンデミック中には、mRNAワクチンの短期間での開発を実現したオペレーション・ワープ・スピードの設立に協力していた[27]。マークは退職届の中でワクチンへの信頼を貶めようとするケネディの試みを強く非難し、「長官が望むものは真実と透明性などではなく、むしろ彼は誤情報と嘘への追認を望んでいることが明らかになった」と書いた[26]。その数日前には、CDCの広報部長が辞任し、「ケネディと彼のチームは、事実から政策を導こうとしているのではなく、科学を歪曲して彼ら自身の物語に適合させようと働いている」と述べていた[28]。
健康
[編集]ケネディは大学時代から心臓に問題を抱えるようになったことを、カフェイン、ストレス、睡眠不足が原因だとしている[29]。
声が震えて発話が困難になる器質性発声障害である内転筋けいれん性発声障害を40代に発症した。この障害はジストニアに関係するもので、喉頭に影響を及ぼす不随意運動の一形態である[30][31][32][33][34]。障害を緩和しようと、声帯の間にチタン製のブリッジを埋め込む手術を受けに、京都に出かけたと述べている[29]。
ケネディは2010年に、短期および長期の記憶喪失と意識混濁を経験するようになった。2012年の離婚裁判での陳述で、神経学的な問題を、「脳内に入った虫が脳の一部を食べて死んだ」ことと、マグロを大量に食べたことによる水銀中毒のせいだとした[29][35]。ワシントン・ポスト紙は、彼の選挙運動は「自身の説明を裏付ける医療記録を示しておらず、彼は以前からワクチンへの水銀混入を含む健康に関する誤情報を広めてきた」と報じた[36]。
著書(訳書)
[編集]- 『American Values - 5人の“ケネディ”から学んだ偉大な教え』林千勝監訳・解説、山本泉訳、経営科学出版, 2025.2
- American Values: Lessons I Learned from My Family. Harper, 2018.
- 『The Real Anthony Fauci - 人類を裏切った男』上中下、林千勝解説、石黒千秋訳、経営科学出版, 2023.12
- The Real Anthony Fauci. Skyhorse Publishing, 2021.
- 『303の文献から判明した パンデミック13のひみつ』林千勝解説、桜野真由美訳、経営科学出版, 2024.6
- A Letter to Liberals: Censorship and COVID: an Attack on Science and American Ideals. Skyhorse Publishing, 2022.
- 伝記
- 『ロバート・F・ケネディ・ジュニア - 悲劇からの復活と巨大権力への挑戦』上下
- ディック・ラッセル、林千勝解説、中尾由恵訳、経営科学出版, 2025.1
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “コロナ生物兵器説からJFK謀殺説まで ケネディJr.が唱える陰謀論の数々”. ForbesJAPAN (2023年6月16日). 2024年1月29日閲覧。
- ^ “ロバート・ケネディ・ジュニア氏とは?アメリカ大統領選挙2024”. NHK. 2023年11月19日閲覧。
- ^ “ケネディ元大統領のおい、2024年米大統領選に立候補 民主党指名争い”. BBC. 2023年11月日閲覧。 エラー: 閲覧日が正しく記入されていません。
- ^ “名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属候補と距離”. ロイター. (2024年4月19日) 2024年4月19日閲覧。
- ^ “ケネディ家メンバー、バイデン氏支持を表明 ロバート・ケネディ・ジュニア氏拒む”. CNN (2024年4月19日). 2024年4月21日閲覧。
- ^ “ケネディ氏演説会場に銃を持った不審者伯父のJFK、父も暗殺 ”. BBC. 2023年11月日閲覧。 エラー: 閲覧日が正しく記入されていません。
- ^ “ケネディ氏、無所属で出馬表明 24年大統領選 無党派や与野党票に動きも”. 産経新聞. (2023年10月10日) 2023年10月10日閲覧。
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引数が重複しています。 (説明)⚠ - ^ “「エリートや二大政党から独立を宣言する」 ロバート・ケネディJr.氏がアメリカ大統領選に無所属で出馬表明”. 東京新聞TOKYO Web. (2023年10月10日) 2023年12月3日閲覧。
- ^ “無所属出馬のケネディ氏、ニューハンプシャー州で名前記載の基準クリア”. CNN 2024年1月28日閲覧。 エラー: 閲覧日が正しく記入されていません。
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の日付が不正です。 (説明)⚠ - ^ “米大統領選が予測不能に?名門ケネディ家の"異端児”とは?”. NHK (2023年12月18日). 2024年1月30日閲覧。
- ^ “「トランプ氏陣営が副大統領打診」 無所属ケネディ氏主張―大統領選”. 時事通信社. (2024年4月16日) 2024年4月16日閲覧。
- ^ “米大統領選で無所属のケネディ氏が撤退、トランプ氏支持表明 ウクライナ戦争終結で一致”. 産経新聞. (2024年8月24日) 2024年8月24日閲覧。
- ^ “米大統領選 ケネディ氏が選挙活動中止 トランプ氏支持を表明”. NHK NEWS WEB (2024年8月24日). 2024年8月25日閲覧。
- ^ “米大統領選、郵便投票用紙の発送延期 “ケネディ氏”削除の必要”. 毎日新聞 (2024年9月7日). 2024年9月7日閲覧。
- ^ “トランプ氏、厚生長官にケネディ氏起用へ”. CNN.co.jp. CNN (2024年11月15日). 2024年11月15日閲覧。
- ^ “米 厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニア氏を起用へ”. NHK NEWS WEB (2024年11月15日). 2024年11月15日閲覧。
- ^ a b c “反ワクチンから急旋回、ケネディ氏は承認公聴会でこれまでの主張修正”. bloomberg.co.jp. ブルームバーグ. (2025年1月29日) 2025年2月14日閲覧。
- ^ a b c “米保健福祉省長官にワクチン懐疑派のケネディ氏、上院が承認”. CNN.co.jp. CNN. (2025年2月14日) 2025年2月14日閲覧。
- ^ “Robert F. Kennedy, Jr. Sworn in as 26th Secretary at HHS, President Trump Signs Executive Order to Make America Healthy Again”. 米保健福祉省 (2025年2月13日). 2025年2月14日閲覧。
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- ^ Weir, Keziah (May 13, 2021). “How Robert F. Kennedy Jr. Became the Anti-vaxxer Icon of America's Nightmares”. Vanity Fair. オリジナルのJuly 4, 2021時点におけるアーカイブ。 2021年7月7日閲覧。.
- ^ Mark Leibovich (2006年6月25日). “Another Kennedy Living Dangerously”. The New York Times. オリジナルの2017年12月29日時点におけるアーカイブ。 2020年1月13日閲覧。
- ^ Cox, Lauren (2009年1月7日). “Kennedy's Voice Draws Attention to Rare Disorder”. ABC News. オリジナルの2021年3月2日時点におけるアーカイブ。 2020年1月13日閲覧。
- ^ “Voice Disorders”. American Speech-Language Hearing Association (ASHA) (2024年7月3日). 2025年3月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月3日閲覧。
- ^ “About Spasmodic Dysphonia”. Dysphonia International (2024年7月4日). 2025年5月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月4日閲覧。
- ^ Craig, Susanne (2024年5月8日). “R.F.K. Jr. Says Doctors Found a Dead Worm in His Brain”. The New York Times. ISSN 0362-4331. オリジナルの2025年4月25日時点におけるアーカイブ。 2024年5月8日閲覧。
- ^ Nirappil, Fenit (2024年5月8日). “RFK Jr. revealed he had a parasitic brain worm. Here's what to know.”. The Washington Post 2024年8月9日閲覧。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Pace Law School Profile Archived February 24, 2019, at the Wayback Machine.
- The Waterkeepers feature doccumentary (2000)
- ロバート・ケネディ・ジュニア - C-SPAN
- Robert F. Kennedy Jr. on the Muck Rack journalist listing site
- Robert F. Kennedy Jr. 2024 presidential exploratory committee: Team Kennedy
- Robert F. Kennedy Jr. on Politifact
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