リーキーガット症候群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

リーキーガット症候群(リーキーガットしょうこうぐん)は、仮説上の、医学的には認められていない疾患である。原理としては腸内細菌の働きや炎症等により小腸の壁に分子レベルの小さな隙間が発生することで、本来血管内に取り込まれることはない異物(菌・ウイルス・たんぱく質等)が血液内に漏れ出すことにより様々な症状を発生させる原因となるとされる[1][2][3]。リーキーとは英語で「漏れる」という意味の(leaky)、ガットは英語で(Gut)の意味であり、症候群(syndrome)、の3つの単語の頭文字を取ってLGSと略されることもある。日本語の正式名称は腸管壁浸漏症候群。単に腸漏れ等とも言われる。

リーキーガット症候群により引き起こされるとされる症状や病気[編集]

  • 過敏性腸症候群炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎クローン病)については、リーキーガットと関連があるとする意見が有力であり、最近は肥満アレルギー疾患、さらに精神疾患との関連性を指摘する声も広がりつつある[4]
  • 原因不明の熱、筋肉痛・関節痛、胸やけ、息切れ、吐き気、腹痛、抜け毛・もろい爪、お腹の張り・消化不良、不眠症、記憶力低下、集中力低下、不安感、まとまらない考え、疲労感、下痢・便秘、口臭、神経過敏、食欲低下、ニキビ、じんましん、喘息、アトピー性皮膚炎、クローン病、過敏性腸症候群、他[5]
  • 腸粘膜バリアの慢性的な低下(leaky gut syndrome: LGS)は全身疾患の発症に深く関与することが示唆されている[2]

原因[編集]

  • 未消化の食べ物
何らかの原因により消化酵素が不足していると(酵素材料のたんぱく質が不足していたり、胃酸不足で酵素活性が低下していたりなど)たんぱく質は未消化の状態(ペプチド)で腸粘膜に刺激を与える。特にこの未消化たんぱくになりやすいのが、小麦に含まれる「グルテン」と乳製品に含まれる「カゼイン」と大豆製品に含まれる「サポニン」「レクチン」である。グルテンに関しては、腸粘膜の上にある上皮細胞のすき間を結合している「タイトジャンクション」を容易に開けてしまう為、未消化の食べ物でも通してしまうということが判明している。この「タイトジャンクション」は「ゾヌリン」というたんぱく質によって開くが、小麦のグルテンにより、この「ゾヌリン」が過剰に増えすぎてしまい、細胞間にすき間が出来てしまうとされる。
  • 腸内の悪性菌の繁殖
カンジタカンジダ)菌の増殖がリーキーガット症候群の原因の一つとされる。
カンジダが腸内で繁殖し、リーキーガット症候群につながっている例は、しばしばみられるとされる。
臨床現場では、大腸内にカンジダが存在する場合があることがわかってきた[6]
  • 食品添加物や農薬による影響
良い腸内細菌を殺してしまうため悪影響があるとされる。水道水の塩素によっても、腸内細菌が殺されてしまう。
  • 健康な腸内細菌を殺す頻繁または長期的な抗生物質の使用[7]
  • 常習的な毎日のアルコール消費
女性は1日1杯以上、男性は1日2杯以上で悪影響があるとされる[7]
  • 原虫感染と寄生虫感染[7]
  • 鎮痛薬や風邪薬に含まれるNSAIDsと呼ばれる薬剤は小腸粘膜を障害し、結果としてリーキーガットを引き起こすという報告がある[4]
  • ストレス等により腸に関与する神経回路を活性化する部位の血管部位に炎症が生じた場合には、リーキーガットの誘導の可能性はあり得るとされる[8]

診断法[編集]

等、主にこれらのいくつかを組み合わせて診断されるとされる。

遅延型フードアレルギー検査(腸内環境検査)について日本アレルギー学会は診断的有用性を公式に否定している[9]

治療法[編集]

主に腸壁の修復や腸内環境の改善に役立つ食事やサプリメントの摂取や食事制限などを行う。

主要サプリメント

補助サプリメント

  • 消化酵素の摂取[11]
  • 断食ファスティング) - ただし副腎疲労・血糖値のコントロールの難しい病態の人は自己判断で実施することは大変危険であるため行わないこと。
  • α-GOSは腸管の破れの原因の一つである腸管内の細菌を低減させ、大部分が腸管上皮細胞のエネルギー源となり上皮細胞の増殖を最も強く刺激し腸管の破れを修復する効果が最も期待されるn-酪酸の産生を腸管内で促すことからリーキーガットシンドロームに対しても有効なオリゴ糖であると考えられる[12]

摂取を控えるべきとされる食材[編集]

カンジタ(カンジダ)菌の増殖がリーキーガット症候群の原因の一つとされるため、これの増殖を防ぐため以下の摂取を控えるべきとされる[13]

  • 砂糖、果物 - カンジタ菌の一番の栄養源は「糖質」である。ただし副腎疲労を併発している人は制限をしてはならない。
  • 小麦 - グルテンがゾヌリンを増やす[14]
  • カビを含む食品 - 数日前の残り物のごはん、きのこ、ナッツ類、コーヒー豆等
  • 発酵食品、酵母を含む食品 - 天然酵母、ドライイーストでつくるパン、キムチや漬物、みそ、塩麹等

積極的に摂るべきとされる食材[編集]

  • ココナッツオイル
  • 香味野菜、ハーブ類(ニンニク、生姜、シソ、パクチー、こしょう、唐辛子、コリアンダー、シナモン、クローブ、クミン、ターメリック、バジル、オレガノ等)
  • 水溶性食物繊維が豊富な食材[15]。野菜(ごぼう、モロヘイヤ、おくら、玉ねぎ、にんにく、らっきょう、菊芋、山芋、こんにゃく(芋)等)、海藻(わかめ、あおさ、海苔、ひじき、もずく、めかぶ、とろろ昆布、寒天等)(※海藻の過剰摂取は控えること)、果物(プルーン、アボカド、りんご、キウイフルーツ等)
  • ケフィアまたはヨーグルト[7]

出典[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 中島淳「病気と腸の関係」『腸内細菌学雑誌』第32巻第2号、2018年、 82頁。
  2. ^ a b 腸粘膜のバリア破綻が誘発する全身疾患発症モデルの作製とその診断法確立への応用”. 科学研究費助成事業データベース. 2019年5月27日閲覧。
  3. ^ 2. leaky gut syndrome (LGS) の病態解明と治療標的の探索
  4. ^ a b 第172回(2017年12月)「リーキーガット症候群」は存在するか?”. はやりの病気. 医療法人太融寺町谷口医院. 2019年5月27日閲覧。
  5. ^ リーキーガット症候群が引き起こす全身の不調”. 診療内容. 医療法人全人会 小西統合医療内科. 2019年5月27日閲覧。
  6. ^ 放置すれば腸に穴が開く! 大腸のカビが「がん」「認知症」の原因だった
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Eric Madrid MD (2017年8月25日). “リーキーガット症候群を知っていますか?”. ブログ. iHerb.com. 2019年5月29日閲覧。
  8. ^ ストレスで腸が炎症を起こすメカニズムが明らかになってきました(村上正晃インタビュー②)”. 知をたずさえ 生命の海へ. 株式会社Thunder-r.labo (2017年8月17日). 2019年5月27日閲覧。
  9. ^ 血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起一般社団法人 日本アレルギー学会
  10. ^ a b c d リーキーガット症候群(腸もれ)を改善する栄養素は?桑島式「骨だしスープ」の作り方”. 特選街web. 株式会社マキノ出版 (2019年2月21日). 2019年5月27日閲覧。
  11. ^ 胃腸に負担をかけにくいたんぱく質摂取の方法医療法人 直心会 宮澤医院
  12. ^ 橋本博之、山下亜希子、藤田孝輝、岡田正通、森茂治、園山慶、北畑寿美雄「α-ガラクトシル基を含むオリゴ糖の合成とその機能」『Journal of Applied Glycoscience』第51巻第2号、2004年、 169-176頁、 doi:10.5458/jag.51.169
  13. ^ カンジタ菌(カンジダ菌)を増やさない方法医療法人 直心会 宮澤医院
  14. ^ グルテンが「ゾヌリン」を過剰に増やしている?医療法人 直心会 宮澤医院
  15. ^ 水溶性食物繊維の多い食材医療法人 直心会 宮澤医院

関連項目[編集]