ランドルフ (マサチューセッツ州)

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ランドルフ
Town of Randolph
ランドルフ市役所
ランドルフ市役所
標語: 
Fari Quae Sentiat  (ラテン語)
"人が感じることを話す"
ランドルフの位置(マサチューセッツ州内)
ランドルフ
ランドルフ
マサチューセッツ州におけるランドルフ市の位置
北緯42度09分45秒 西経71度02分30秒 / 北緯42.16250度 西経71.04167度 / 42.16250; -71.04167座標: 北緯42度09分45秒 西経71度02分30秒 / 北緯42.16250度 西経71.04167度 / 42.16250; -71.04167
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
マサチューセッツ州の旗 マサチューセッツ州
ノーフォーク郡
入植 1710年
法人化 1793年
政府
 • 種別 市政委員会・マネジャー方式
 • 市政委員長 ジェイソン・R・アダムズ
 • マネジャー ブライアン・P・ハワード
面積
 • 合計 10.5 mi2 (27.2 km2)
 • 陸地 10.1 mi2 (26.1 km2)
 • 水域 0.4 mi2 (1.1 km2)
標高
184 ft (56 m)
人口
 • 合計 32,158人
 • 密度 3,100人/mi2 (1,200人/km2)
等時帯 UTC-5 (東部標準時)
 • 夏時間 UTC−4 (東部夏時間)
郵便番号
02368
市外局番 339 / 781
FIPS code 25-55955
GNIS feature ID 0618328
ウェブサイト http://www.townofrandolph.com
ランドルフ憲章2009年[2]

ランドルフ: Randolph)は、アメリカ合衆国マサチューセッツ州の中央部、ノーフォーク郡の東部に位置する都市である。2010年国勢調査では人口32,158 人だった[1]。ランドルフは2010年1月執行の新憲章を採択し、伝統的なタウンミーティング方式から市政委員会・マネジャー方式の政府に変更した。市の形態の政府を採ると申請し認められたものの、市名の中に「町」を残すことを選ぶ州内14市の1つである[3]

歴史[編集]

1839年のランドルフ

ランドルフとなった地域はコチャト族とポンカポーグ族インディアンからコチャティコムと呼ばれていた。ブレインツリー町の南部であった所から1793年に町として法人化された。ジョン・V・ビールが行った100周年演説に拠ると、町の名は大陸会議の初代議長を務めたペイトン・ランドルフにちなんで名付けられた[4]

ランドルフの昔は大きな靴製造会社が幾つかあった。「ランディーズ」など人気のあるスタイルの靴が専らランドルフで製造された。1793年に町として法人化されたとき、地元農夫達が自給自足農業の収入を補うために、靴や長靴を作っていた。その後の半世紀、このサイドビジネスが町の主要産業となり、ニューイングランドカナダアイルランド、さらに後にはイタリア東ヨーロッパから労働者を惹きつけることとなり、それぞれが町の生活の質に新たな物を付け加えた。1850年までにランドルフは国内でも最大級の靴製造の地となり、カリフォルニア州オーストラリアまで靴を出荷していた。

20世紀初めに靴産業が衰退を始め、ランドルフは郊外住宅の町として変革することになった。長靴と靴の製造を軽工業とサービス産業が補った。町が主要な交通ネットワークに近いことで、ボストンや他の町から家族単位で流入し、ランドルフに住んではいるが大都市圏のどこかで働いているという人々が増えた。

1950年代から、ボストン市のドーチェスターやマッタパン地区からユダヤ人が脱出してランドルフに入って来たので、ユダヤ人社会が大きく成長した。1950年時点で15から20のユダヤ人家族が住んでいただけだったが、1970年には7,000人、1980年には約9,000人とボストンの南では最大のユダヤ人社会となった。その最盛期には、「カシェル」の肉屋、ジュダイカ店、カシェルのパン屋があり、シナゴーグも2つあった。1990年代初期のその人口は約6,000人に減少した[5][6]

全国的に行われた「禁煙の日」のヒントは、ランドルフ高校の生活指導教諭アーサー・マラニーが言い出したものであり、1969年に生徒との討論で、グラウンドで見つけたタバコの吸い殻1個につきニッケル貨(5セント)が1個あれば、生徒全員をカレッジに送り出せると主張した。これが1970年の高校生による運動の端緒となり、ランドルフ・ロータリークラブが支援し、地元の喫煙者が1日禁煙して、それでできた貯金をカレッジの奨学金に回すことにした。禁煙の日は1976年に全国的なものになった。

ランドルフにはランバルドのファンクション・ファシリティがあり、シャトー・ド・ビユとして始まった。この施設はその大きなシャンデリアと螺旋階段で有名であり、高校の宣伝用写真の背景として使われている。

歴史登録財[編集]

ジョナサン・ベルチャー邸

ランドルフ市内にはアメリカ合衆国国家歴史登録財に指定される場所が下記の3か所ある。

  • ジョナサン・ベルチャー邸、メインストリート北360、1976年4月30日登録
    ジョナサン・ベルチャー(1767年–1839年)の邸宅、1806年建設、1911年からはランドルフ・クラブ
  • ポンカポーグ・キャンプ・オブ・アパラチアン・マウンテン・クラブ、1980年9が25日登録
  • ジルズ農園考古学地区、1983年10月4日登録

地理[編集]

ランドルフ市は北緯42度09分24秒 西経71度2分56秒 / 北緯42.15667度 西経71.04889度 / 42.15667; -71.04889 (42.173417, −71.049124)に位置している[7]。ボストン市の南15マイル (24 km) に位置し、州道128号線と同24号線の交差点にあることは、その経済と社会の歴史で重要な要素になってきた。マサチューセッツ州内では東部にあり、北はミルトン町とクインシー市、東はブレーインツリー市とホルブルック町、西はカントン町、南と南西はエイボン町とストウトン町に接している。ニューヨーク市からは東に211マイル (338 km) にある。

アメリカ合衆国国勢調査局に拠れば、市域全面積は10.5平方マイル (27.2 km2)であり、このうち陸地10.1平方マイル (26.1 km2)、水域は0.4平方マイル (1.1 km2)で水域率は4.10%である。市内はコチャト川とブルーヒル川が流れ、ネポンセット川に注いでいる。

人口動態[編集]

人口推移
人口±%
18504,741—    
18605,760+21.5%
18705,642−2.0%
18804,027−28.6%
18903,946−2.0%
19003,998+1.3%
19104,301+7.6%
19204,756+10.6%
19306,553+37.8%
19407,634+16.5%
19509,982+30.8%
196018,900+89.3%
197027,035+43.0%
198028,218+4.4%
199030,093+6.6%
200030,963+2.9%
201027,158−12.3%
201226,732−1.6%
* = population estimate. Source: United States Census records and Population Estimates Program data

ランドルフは国内で最大級に速く成長する少数民族が集まる町である(半数を超える人種・民族はいない)。小学生の60%が黒人、21%がヒスパニック(ドミニカ系とハイチ系が多い)、11%が白人、8%がアジア系である。

以下は2010年国勢調査による人口統計データである[8]

基礎データ

  • 人口: 32,158 人
  • 世帯数: 11,564 世帯
  • 家族数: 8,038 家族
  • 人口密度: 1,447.3人/km2(3,184 人/mi2
  • 住居数: 11,564 軒
  • 住居密度: 442.2軒/km2(1,145.4 軒/mi2

人種別人口構成

年齢別人口構成

  • 18歳未満: 21.7%
  • 18-24歳: 8.7%
  • 25-44歳: 26.5%
  • 45-64歳: 29.4%
  • 65歳以上: 13.5%
  • 年齢の中央値: 38歳
  • 性比(女性100人あたり男性の人口)
    • 総人口: 91.7
    • 18歳以上: 88.0

世帯と家族(対世帯数)

  • 18歳未満の子供がいる: 29.4%
  • 結婚・同居している夫婦: 46.7%
  • 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 17.4%
  • 非家族世帯: 30.5%
  • 単身世帯: 24.5%
  • 65歳以上の老人1人暮らし: 9.6%
  • 平均構成人数
    • 世帯: 2.75人
    • 家族: 3.31人

収入[編集]

収入と家計

  • 収入の中央値
    • 世帯: 55,255米ドル
    • 家族: 61,942米ドル
    • 性別
      • 男性: 41,719米ドル
      • 女性: 32,500米ドル
  • 人口1人あたり収入: 23,413米ドル
  • 貧困線以下
    • 対人口: 4.1%
    • 対家族数: 2.5%
    • 18歳未満: 4.5%
    • 65歳以上: 5.0%

交通[編集]

ランドルフ市はボストン大都市圏にあり、鉄道、航空、高規格道路の設備が優れている。州道128号線と州間高速道路495号線が地域を内側と外側に分けその間に多くの「スポーク」となる道路で、ボストンの空港、港、インターモーダル施設へ直接結びつけられている。

主要高規格道路[編集]

主要高規格道路は州間高速道路93号線とアメリカ国道1号線であり、町の北端を通っている。南北方向のマサチューセッツ州道24号線(フォールリバー・イクスプレスウェイ)と同28号線が並行して走り、東西方向には州道139号線が通っている。

鉄道[編集]

ボストン市の南駅に向かう通勤鉄道は、マサチューセッツ湾交通局のミドルボロ線があり、ホルブルックとランドルフの境、ユニオン通り(州道139号線)にあるホルブルック/ランドルフ駅から利用できる。同じくマサチューセッツ湾交通局のレッドラインは、ブレインツリーとクインシー駅から利用できる。

バス[編集]

ランドルフ市はマサチューセッツ湾交通局のメンバーであり、クインシー・アダムズ、クインシー・センター、アシュモント駅へのバス定期路線が運行されている。高齢者や障碍者のために補助的交通機関である「ザ・ライド」も運行されている。

ブロックトン地域交通局がアシュモントなどからブロックトンへのバス便を運行している。

空港[編集]

ノーウッド記念空港は代替施設であり、アクセスが容易である。滑走路はアスファルト舗装、長さ4,001フィート (1,220 m)、幅150フィート (45 m) と長さ4,007フィート (1,221 m)、幅150フィートの2本がある。非精密計器進入が可能である。しかし、ランドルフ市民の大半はジェネラル・エドワード・ローレンス・ローガン国際空港を利用している。

市政府[編集]

ステットソン・ホール、旧市役所

ランドルフは当初代表制タウンミーティング形式の政府によって統治されていた。2009年4月7日に行われた住民投票により、新しい憲章を採択し、2010年1月に有効となった。政府形態は市政委員会・マネジャー方式に変えられた[2][9][10]

市政委員会は全市を選挙区に選ばれる5人と、4つの小選挙区から選ばれる4人、合計9人で構成されている。その他の委員会としては評価委員会、健康委員会、企画委員会、教育委員会がある。教育委員会は委員7人で構成されている。

2008年10月15日時点での登録有権者と政党支持の構成[11]
政党 登録有権者 構成比
民主党 9,632 49.22%
共和党 1,277 6.53%
無党派 8,561 43.75%
少数政党 100 0.51%
合計 19,570 100%

教育[編集]

ランドルフ市には9年生から12年生を教える高校1校(ランドルフ高校)、6年生から8年生を教える中学校1校(ランドルフ・コミュニティ中学校)、幼稚園から5年生を教える小学校4校がある。

小学校前教育(幼稚園)は、それぞれのホームスクールで提供される。チャールズ・G・デバイン幼児センターは2007年に閉鎖された。ブルーヒルズ地域教育学区の一部として、ランドルフの9年生はブルーヒルズ地域工業学校、通称「ブルーヒルズ」、あるいはノーフォーク郡農業学校、通称「アギー」に入学する選択肢がある。この教育学区は教育委員会が運営している。

脚注[編集]

  1. ^ a b Population and Housing Occupancy Status: 2010 - State -- County Subdivision, 2010 Census Redistricting Data (Public Law 94-171) Summary File”. U.S. Census Bureau. 2011年6月26日閲覧。
  2. ^ a b Chapter 2 of the Acts of 2009”. Boston: Massachusetts General Court. 2010年1月26日閲覧。
  3. ^ http://www.sec.state.ma.us/cis/cisctlist/ctlistalph.htm
  4. ^ Beal, John V. (1893年7月). “An Address in Commemoration of the One Hundredth Anniversary of the Incorporation of Randolph, Massachusetts”. 2014年11月28日閲覧。
  5. ^ Sarna, Jonathan D. (2005). The Jews of Boston, pp.167-168. Yale University Press. ISBN 978-0-300-10787-6.
  6. ^ Israel, Sherry (1985). 1985 CJP Demographic Study Archived 2011年7月22日, at the Wayback Machine.. Combined Jewish Philanthropies of Greater Boston.
  7. ^ US Gazetteer files: 2010, 2000, and 1990”. United States Census Bureau (2011年2月12日). 2011年4月23日閲覧。
  8. ^ American FactFinder”. United States Census Bureau. 2008年1月31日閲覧。
  9. ^ “Randolph council election set for Sept. 15”. The Patriot Ledger. (2009年4月28日). http://www.patriotledger.com/news/x289631935/Randolph-council-election-set-for-Sept-15 2010年1月26日閲覧。 
  10. ^ Town of Randolph, MA – Town Manager”. Town of Randolph. 2010年1月26日閲覧。
  11. ^ Registration and Party Enrollment Statistics as of October 15, 2008” (PDF). Massachusetts Elections Division. 2010年5月8日閲覧。

外部リンク[編集]