ボタンエビ

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ボタンエビ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 軟甲綱 Malacostraca
: 十脚目 Decapoda
: タラバエビ科 Pandalidae
: タラバエビ属 Pandalus
: ボタンエビ P. nipponensis
学名
Pandalus nipponensis
Yokoya, 1933
和名
牡丹海老
英名
Botan Shrimp

ボタンエビ (牡丹海老、牡丹蝦、Pandalus nipponensis、英 Botan shrimp)は 軟甲綱十脚目タラバエビ科(鱈場海老科)に分類されるエビの一種である。

形態[編集]

体長は13cmから20cmを超える大型のものもいる。生きているときの体色は濃い橙色で、側面に赤い斑点が見られる。赤色が牡丹色に近いことが名前の由来。鮮度がいいと赤っぽく、次第に黄色っぽくなる。

額角(がっかく)は頭胸甲(とうきょうこう)の1-1.5倍と長く、額角の中央部付近と背部が赤く、頭胸甲の背面の隆起は低い。殻から内臓が透き通って見える[1]

生態[編集]

日本特産種で日本海にはいなくて太平洋側にいる。北海道内浦湾から土佐湾にかけての水深300-500mほどの深海に生息する。南に行くほど生息域は深い。10月から5月にかけて、底引き網漁で捕獲される。代表的な産地は駿河湾静岡県沼津常磐ものは千葉県銚子鹿児島県など。一時市場からほとんどなくなるほど激減したが徐々に回復し、少ないながらも関東には入荷している。代表的な産地は駿河湾静岡県沼津、常磐ものは千葉県銚子、鹿児島県など[2]

雌雄同体雄性先熟、すなわち若い個体は繁殖期がやってきた時にまずオスとして繁殖に参加するが、成長するとメスに性転換する。このため、体長13cm前後を超える大型の個体はすべてメスとなる。

卵は直径2.7mm前後で、一度に500-1200個程度を産卵し、約1年に渡ってメスが抱卵する。

利用[編集]

本物のボタンエビはエビの中でも漁獲量が少なく、とても高価なので、料亭や高級寿司店以外であまり見かけられない[3]刺身寿司で食べられている[4]

牡丹海老の刺身

さらに、しゃぶしゃぶ味噌汁、塩焼き、天ぷらフライにもなり、殻まで食されることがある。漁期と同じ秋から春が旬。

生の身は弾力があるがとろけるようで甘い。

味噌(海老味噌)はメスよりオスが多くもっている。好む人は頭をすすって食べたりする。味噌は実際には、肝臓膵臓の機能をもつ中腸腺である。

子持ちボタンエビも販売されている。

広義のボタンエビ[編集]

本項の「ボタンエビ」は標準和名もそれで、市場では「本ボタンエビ」「本ボタン」とも呼ばれ、瑞々しさや弾力は申し分ない。キロ7,000円以上する(以下、相場の数字は2017年現在の代表的通販価格)。

これに対して、標準和名がトヤマエビ(富山蝦) Pandalus hypsinotusという近縁のエビ[5]も、一般的な名称として内容を的確に示すということで「ボタンエビ」と称されていて、むしろこちらのほうが圧倒的に多く流通している[6][7][8]トヤマエビ富山湾日本海北海道ロシアなどで漁獲される。本ボタンと比較すると、尾や脚に褐色の縞模様があり、頭胸甲にはっきりした白い斑紋が散在しているのが目立つ。鮮度が落ちても本ボタンより赤味が残る。トヤマエビはキロ2,000円から5,000円といったところで本ボタンよりは安いが、それでも20cm前後の体長が立派で身に弾力があり、本ボタンに似た美味しさがある。

また、カナダアラスカから冷凍ではいってくる輸入もののスポットエビ Pandalus platyceros(標準和名なし、英 Spot shrimp)も「ボタンエビ」と称され、高級ネタとして回転寿司通信販売で出回っている[9]。キロ4,000円から6,000円など。

さらに、三陸相模湾琉球列島など太平洋岸に生息するテラオボタンエビ(寺尾牡丹海老、寺尾牡丹蝦)Pandalus teraoi(白ボタン;はくぼたん)も「ボタンエビ」と称され、福島産がわずかに流通している[10]。頭部に縦一列になって10本以上生えている、白っぽい額角が特徴的である。刺身、塩焼き、味噌汁で食され、弾力は超プリプリ、旨みは一級という[11]。キロ8,000円から13,000円など。

そのほかでも「ボタンエビ」と呼ばれた近縁種はいくつかあるという。

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]