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数学におけるベータ関数(ベータかんすう, 英: beta function)とは, 特殊関数のひとつである. ベータ関数は, 第一種オイラー積分とも呼ばれる(なお, ベータ関数と深い関わりをもつガンマ関数は, 第二種オイラー積分と呼ばれる).
一般化された関数として, セルバーグ積分がある.
,
を満たす複素数
,
に対して, ベータ関数は次式で定義される:

対称性[編集]
ベータ関数は次のような対称性を持つ.

置換積分による計算を行う.
とおくと,
であり, また積分区間は
から
へと変化するから,

したがって,
が示された.
関数等式[編集]
ベータ関数は次の関係式を満たす.





積分表示[編集]
変数変換を行うことで, 以下の形にも表示できる. いずれも, 定義域は
,
である。



ポッホハマーの表示[編集]
のリーマン面上の積分路として, 実軸上の
内の点から出発し,
を正の向きに,
を正の向きに,
を負の向きに,
を負の向きの順で回って, 元の点に戻るポッホハマーの積分路(英語版)を取れば, 次のポッホハマーの表示が成り立つ.

ガンマ関数との関係[編集]
ベータ関数は, 次のようにガンマ関数と結び付く.

級数表示[編集]

ただし,
は下降階乗冪:

である.
無限乗積表示[編集]

スターリングの公式より, 複素数
,
の実部が十分大きな正の値であるとき,

一方,
が十分大きく
が固定されているとき,

特殊値[編集]
複素数
に対して, 以下が成り立つ.



特に,
非負の整数
,
に対して, 以下が成り立つ.



参考文献[編集]
- E. T. Whittaker and G. N. Watson, A Course of Modern Analysis. Cambridge University Press 1927.
関連項目[編集]
外部リンク[編集]