- 多項式と三角関数

この積分を計算するには、


とすると、

ここで
は積分定数である。
下記の式における
のより高位の累乗では、

部分積分を繰り返し使って同様に計算出来る。1回部分積分を適用する度に
の指数が1ずつ下がる。
- 指数関数と三角関数
部分積分の仕組みを考えるためによく使われる例として、

を計算する。ここでは、部分積分を2回行う。最初に


とすると、

となる。残った積分項に対して再度部分積分を行う。


として、

これらを組み合わせて、

同じ積分項が等式の両辺に出現しているので

と変形出来て、

となる。ただし、
と
は積分定数である。
のような積分も同様の方法を使って計算出来る。
- 関数に形式的に1を掛ける
更によく知られた例を挙げる。被積分関数を1とそれ自身の積と考えて部分積分を行う方法である。これは、被積分関数の導関数が分かっていて、更にその導関数に xを乗じた関数の積分が計算可能な場合に有効である。
最初の例として
を考える。これを以下のように1と自身の積として考えて、

次のようにおくと、


以下のように計算出来る[3]。

次の例として
の積分を考える。

これを以下のように書き換える。

次のようにおくと、


以下のように計算出来る。

ここでは逆関数の微分法を使用した。
(積の微分法則の一般化も参照のこと)
3つの関数
、
、
の積の微分法則に対して積分を行うと、同様に以下のような結果を得る。

一般的に
個の関数の積の場合は、

即ち、
![{\displaystyle {\Bigl [}\prod _{i=1}^{n}u_{i}(x){\Bigr ]}_{a}^{b}=\sum _{j=1}^{n}\int _{a}^{b}\prod _{i\neq j}^{n}u_{i}(x)\,du_{j}(x)}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/85d6b9998e2b7037e778fdec0526655bba1387f4)
ここで右辺の積は、同じ項で微分を取った関数を除く全ての関数の積を取るものとする。
リーマン=スティルチェス積分(またはスティルチェス積分)とは、トーマス・スティルチェスによるリーマン積分の拡張である。
リーマン=スティルチェス積分に関しても、被積分関数
および積分関数
に対して部分積分公式が

なる形で成り立つ。
また、リーマン=スティルチェス積分および(狭義の)ルベーグ積分の一般化であるルベーグ=スティルチェス積分(またはルベーグ=ラドン積分)に対しても、以下の形で部分積分公式が定式化される。
2つの有界変動関数 U, V に対して U または V のいずれかが連続、若しくは U および V がともに正常(英: regular)となるような点では、

が成立する。
詳細はリーマン=スティルチェス積分およびルベーグ=スティルチェス積分を参照。
部分積分を高次元の場合に対して拡張することが出来る。
を区分的に滑らかな境界
を持つ有界な開集合とし、
を
への外向き単位面法線ベクトル、
と
をそれぞれ
の閉包において滑らかな関数およびベクトル値関数として定義する。
この時、
に対してガウスの発散定理を適用すると、

であるから、以下の部分積分公式が得られる。

また、
,
なる
で表される時、

となり、グリーンの第一恒等式が得られる。
同様に、任意の階数の微分可能テンソル場
と
に対して、発散定理より以下の部分積分公式が導かれる。

ここで
はテンソル積を表す。
が恒等テンソルに等しい時は、発散定理の式を得る。

添字表記で表すと以下のようになる。

ここで
と
がともに2階のテンソルであるような特殊な場合を考え、1つの添字の縮約を取ると、

即ち

となる。
部分積分の解析学におけるいくつかの応用例を挙げる。
ガンマ関数は広義積分を用いて定義される特殊関数である。部分積分を使うと、これが階乗の拡張になっていることが分かる[4]。
![{\displaystyle {\begin{aligned}\Gamma (z)&:=\int _{0}^{\infty }d\lambda e^{-\lambda }\lambda ^{z-1}\\&=-\int _{0}^{\infty }d\left(e^{-\lambda }\right)\lambda ^{z-1}\\&=-\left[e^{-\lambda }\lambda ^{z-1}\right]_{0}^{\infty }+\int _{0}^{\infty }d\left(\lambda ^{z-1}\right)e^{-\lambda }\\&=0+\int _{0}^{\infty }d\lambda \left(z-1\right)\lambda ^{z-2}e^{-\lambda }\\&=(z-1)\Gamma (z-1)\\\end{aligned}}}](https://wikimedia.org/api/rest_v1/media/math/render/svg/1086166720066f986483467d707bd4c05a1eae96)
このようにして、以下のよく知られた等式が得られる。

に対してこの公式を繰り返し適用することで階乗が得られる[4]。

ガンマ関数はワイエルシュトラスの乗積表示:
- :=\lim _{n\to \infty }\left(\sum _{k=1}^{n}{\frac {1}{k}}-\log {n}\right)}

を用いて定義することもできる(
はオイラーの定数である)[4]。
無限乗積による定義と広義積分による定義が同値であることは部分積分を繰り返すことで示される[4]。
- ↑ Konrad Königsberger: Analysis 1. Springer-Verlag, Berlin u. a., 2004, ISBN 3-540-41282-4, 202.
- ↑ Yvonne Stry: Mathematik kompakt: für Ingenieure und Informatiker. 3., bearb. Auflage, Springer-Verlag, 2010, ISBN 3642111912, 314.
- ↑ Otto Forster: Analysis Band 1: Differential- und Integralrechnung einer Veränderlichen. Vieweg-Verlag, 8. Aufl. 2006, ISBN 3-528-67224-2, 210.
- 1 2 3 4 時弘哲治, 伊理正夫, 杉原厚吉, 速水謙, 今井浩『工学における特殊関数』共立出版〈工系数学講座〉、2006年。ISBN 4320016122。国立国会図書館書誌ID:000008218132。https://id.ndl.go.jp/bib/000008218132。
- ↑ 常微分方程式と解析力学 (1998)、木村俊房・飯高茂・西川青季・岡本和夫・楠岡成雄 (編集委員)・伊藤秀一著、共立講座 21世紀の数学、ISBN 978-4-320-01563-0、共立出版。
- ↑ Ablowitz, M. J., & Fokas, A. S. (2003). Complex variables: introduction and applications. en:Cambridge University Press.
- ↑ 平山弘「部分積分法による半無限区間振動型積分の数値計算法」『日本応用数理学会論文誌』第7巻第2号、日本応用数理学会、1997年、131-138頁、CRID 1390001205768016384、doi:10.11540/jsiamt.7.2_131、ISSN 0917-2246。
- ↑ 平山弘, 館野裕文, 平野照比古「部分積分法による数値積分法」『数理解析研究所講究録』第1395巻、京都大学数理解析研究所、2004年10月、190-195頁、CRID 1050001202108546176、hdl:2433/25947、ISSN 1880-2818。