フンガ・トンガ

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フンガ・トンガ
フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ
フンガ・トンガの位置(トンガ内)
フンガ・トンガ
Hunga Tonga OLI.jpg
ランドサット8号による衛星画像、2017年1月。
高さ 149メートル (489 ft)
他言語表記 Hunga Tonga-Hunga Haʻapaiトンガ語
所在地
座標 南緯20度32分43秒 西経175度23分37秒 / 南緯20.545347度 西経175.393691度 / -20.545347; -175.393691 (Hunga Tonga-Hunga Haʻapai)座標: 南緯20度32分43秒 西経175度23分37秒 / 南緯20.545347度 西経175.393691度 / -20.545347; -175.393691 (Hunga Tonga-Hunga Haʻapai)
トンガ トンガ
地質
種別 海底火山
最後の噴火 2014年12月 - 2015年1月

フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイトンガ語: Hunga Tonga-Hunga Haʻapai)は、トンガフォヌアフォオウ英語版から南南東約30kmにある火山[1]

ニュージーランドから北北東のフィジーまでの沈み込み帯にある、トンガからケルマディック諸島にまたがる活発な火山弧の一部にあたる[2][3]。また、活発な地震帯の約100km上にある[3][4]。2つのプレートが高熱と高圧な状態で溶けた結果、マグマが形成され、過熱した岩が地上に押し出された。太平洋プレートインド・オーストラリアプレートの下に沈み込んだ結果、両プレートの収束型境界において島弧が形成した[4][5]

火山とカルデラ[編集]

火山自体は2009年トンガ海底火山噴火英語版により現れた海底火山であり、火山のカルデラのうち、西側と北側の外縁が残骸としてフンガ・トンガ島とフンガ・ハアパイ島周辺の海底に残っていた[1]。フンガ・トンガ島とフンガ・ハアパイ島はハアパイ諸島の一部で[6]約1.6kmの距離があり[7]、それぞれの長さが約2kmで主に安山岩で構成された[3][4]。フンガ・トンガ島の最高点は149mで、フンガ・ハアパイ島の最高点は128mである[1]。いずれも大きい島ではなく、フンガ・トンガ島が約390,000平方メートル、フンガ・ハアパイ島が650,000平方メートルである[8]グアノ資源は多いものの、投錨地に乏しいため未開発となっている[6][9]

フンガ・ハアパイ島から3.2km南東、フンガ・トンガ島から3km南の砂州近くでの海底火山噴火が1912年と1937年に報告されており[1]、1988年にはフンガ・ハアパイ島から南南東の裂け目で噴火が起こった[1]

トンガ神話英語版では濫獲が行われていない数少ない島の1つだったため、天から地上に投げられてきたとされている[10][11]。トンガ人は諸島が「前後に跳ぶ」としている(地震が起こることを指す)[10]。最初に諸島を見たヨーロッパ人はオランダの探検家ウィレム・スホーテン英語版ヤコブ・ルメール(1616年)とされ、イギリスの探検家ジェームズ・クックは1777年に諸島を数度訪れ、諸島の現地トンガ語での名前を知った[12]

地理[編集]

2017年時点の島の範囲は元フンガ・トンガ島とフンガ・ハアパイ島を含む。最初の噴火により現れた土地は西側にある、より大きいフンガ・ハアパイ島とつながり、北東にあるフンガ・トンガは陸繋砂州でつながった。以降はフンガ・ハアパイ島とのつながり地帯の南側に砂がたまった。カルデラ自体は南側がすぐに侵食され、南東部では火口が海洋につながるほどだったが、後に浅い砂州で海から分離され、ラグーンが形成するに至った。科学者の予想では火山島全体がすぐに侵食されるとされたが、後に修正され、侵食が数十年間かかるとされた[13]

2009年の噴火[編集]

2009年3月25日時点の衛星画像。フンガ・ハアパイ島の南に新しい土地が現れており、雲がフンガ・ハアパイ島と新しい土地の間を覆っている。新しい土地の南端にある円が火山の位置である。火山の周りにある海域が明るい青で示されており、灰、岩など火山の破片を示している。植物で覆われた土地は赤で示しており、フンガ・トンガ島が植物に覆われている一方、フンガ・ハアパイ島が黒になっており、そこの植物が灰に覆われたが、死亡したとみられる。

2009年3月16日、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ近くの海底火山噴火により蒸気、煙、軽石、灰が海上数千フィートに吹きあがった[14][15]。3月21日、トンガの地質学者ケレピ・マフィ(Kelepi Mafi)は溶岩と灰が無人島のフンガ・ハアパイ島と沖合約100mの場所から吹き出ていると報告した。噴火によりこの2箇所の隙間が埋まれ、数百平方メートルの面積がある新しい土地を作り出した[16][17]。噴火によりフンガ・ハアパイ島が灰に覆われて荒廃、植物と動物が全滅した[17]

この噴火は世界中から注目を集め、2009年のテレビ番組『アングリー・プラネット英語版』にも言及された[18]

2014年から2015年にかけての噴火[編集]

フンガ・トンガの噴火を示す、2014年12月29日の画像。

2014年11月から12月にかけて、トンガ北部で火山活動と一連の地震がおこり、火山活動が再び活発になった[19]

12月19日、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイで噴火が起こり、現地の漁師が海底火山から白い蒸気の柱が昇っていると目撃した。12月29日に撮影された衛星画像では煙や灰が吹き出て、海水の色が変わっている(水面下で煙と灰が噴出したか、噴火が海底にも影響を与えたためとされる)など噴火が続いていることを示した[20]。噴火は2015年に入っても続き、1月6日には火山灰による雲が上空3kmまで舞い上がった[21]

1月11日、火山灰が上空9kmに舞い上がり、12日にはニュージーランド航空の飛行機がサモアに転じることを余儀なくされ、ほかのニュージーランドとトンガ間の国際便が欠航した[22]。13日にも火山灰が上空4.5kmに舞い上がったほか、大量の窒素リンが海底に放出されたため、藻類が大量発生して赤潮が起こった[19]。2009年の噴火と同様、火口はフンガ・ハアパイ島と沖合約100mの2箇所だった[23]。大きな岩と湿っていて密集した灰が放出され400mの高さに舞い上がった[23][24]。1月16日には噴火により新しい島が形成した[25]。トンガ当局は新しい島が長さ2km、広さ1km、最高点100mと概算したが[23][24]、地質学者は新しい島が数か月で腐食により消えるとした[26]。新しい島の周辺約10kmで灰と酸性雨が降りしきり、フンガ・トンガ島もフンガ・ハアパイ島も植物が全滅した[23][24]

蒸気雲が上空1kmまで舞い上がるなど噴火が続く中[24]、火山と航空の専門家が飛行機への危険がなくなったと判断したため、トンガへの国際便が1月16日に再開した[23]

1月19日にトンガとニュージーランドから火山を訪れた地質学者によると、噴火がそれまでの24時間内では沈静化したという。また、噴火がほぼ全て新しい島にある火口からきていることが判明したほか、蒸気雲が7から10kmに上り、火山灰や岩が200から300mの高さに上った。マグマが海面に当たって蒸気爆発を起こし、また周辺にはときどき火山ガスのにおいがしたという。トンガ当局は島周辺に直径20kmのゾーンを定め、旅行者が岩、火山灰、酸性雨の影響を受けないようにした[27]

トンガ当局は火口から新しいガス、火山灰、岩が吹き出ていないことを観測すると[28]、1月26日に噴火の終結を宣言した[29]。この時点で新しい島は長さ2km、広さ1から2km、最高点120mに成長した[29][28]。新しい島はフンガ・ハアパイ島とつながり、フンガ・トンガ島とも約200mしか離れていなかった[29][28]。新しい島を訪れた現地民によると、海鳥が島で巣を作るようになったという[30]

2015年以降の研究[編集]

フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイの大半を構成する火山灰が周辺の暖かい海水と化学反応を起こし、灰よりはるかに硬い岩に変わったため、火山学者は島が腐食されるのではなく数十年間残ると予想するようになった。これにより、2017年までの150年間で形成された火山島が数か月以上存在する例として3例目となった[31]

NASAゴダード宇宙飛行センターの科学者はフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイを火星の火山の形を研究するためのモデルとして使用した。2017年12月の記事によると、NASAの科学者はフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイの腐食パターンが火星における似たような地形でのパターンと似ていると結論付け、昔の火星が水で覆われたものの水がすぐに退いたと考えた。また、フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイと火星の火山地形の類似点を引き続き研究する必要があるという[31]

2018年10月に島を訪れた科学者は島の表面が砂利、泥と植物で覆われていることと、多くの鳥類が住んでいることを発見した。また、雨により島の侵食が予想以上に進んでいることが判明した[32][33]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e "Hunga Tonga-Hunga Ha'apai". Global Volcanism Program. Smithsonian Institution.
  2. ^ Clift, Peter D.; Rose, Estelle F.; Shimizu, Nobumichi; Layne, Graham D.; Draut, Amy E.; and Regelous, Marcel. "Tracing the Evolving Flux From the Subducting Plate in the Tonga-Kermadec Arc System Using Boron in Volcanic Glass." Geochimica et Cosmochimica Acta. 65:19 (October 2001).
  3. ^ a b c Gupta, Alok K. Igneous Rocks. Mumbai, India: Allied Publishers, 1998. ISBN 81-7023-784-X
  4. ^ a b c Ewart, A.; Bryan, W.B.; and Gill, J.B. "Mineralogy and Geochemistry of the Younger Volcanic Islands of Tonga, S.W. Pacific." Journal of Petrology. 14:3 (1973).
  5. ^ Ewart, A. "A Petrological Study of the Younger Tongan Andesites and Dacites, and the Olivine Tholeiites of Niua Fo'ou Island, S. W. Pacific." Contributions to Mineralogy and Petrology. 58:1 (January 1976); Hawkesworth, C.J.; Turner, S.P.; McDermott, F.; Peate, D.W.; and van Calsteren, P. "U-Th Isotopes in Arc Magmas: Implications for Element Transfer from the Subducted Crust." Science. 276:5312 (April 25, 1997).
  6. ^ a b Wells, Susan M.; Sheppard, Charles; and Jenkins, Martin. Coral Reefs of the World: Central and Western Pacific. United Nations Environment Programme, 1988. ISBN 2-88032-945-0
  7. ^ Pacific Islands Pilot. London: Great Britain Hydrographic Department, 1969.
  8. ^ Dahl, Arthur L. Review of the Protected Areas System in Oceania. IUCN Commission on National Parks and Protected Areas. United Nations Environment Programme, 1986. ISBN 2-88032-509-9
  9. ^ Fletcher, Matt and Keller, Nancy J. Tonga. Oakland, Calif.: Lonely Planet, 2001. ISBN 1-74059-061-9; Bulletin - Department of Minerals and Energy, Bureau of Mineral Resources, Geology and Geophysics. Australia Bureau of Mineral Resources, Geology and Geophysics, 1964.
  10. ^ a b Gifford, Edward Winslow. Tongan Myths and Tales. London: The British Museum, 1924.
  11. ^ Nunn, Patrick D. "Fished Up or Thrown Down: The Geography of Pacific Island Origin Myths." Annals of the Association of American Geographers. 93:2 (November 2004).
  12. ^ Suren, Peter. Essays on the History of the Discovery and Exploration of Tonga by the Europeans. Nukuʼalofa, Kingdom of Tonga: Friendly Islands Bookshop, 2001; Rutherford, Noel. Friendly Islands: A History of Tonga. Cambridge: Oxford University Press, 1977. ISBN 0-19-550519-0; Cook, James. The Journals of Captain Cook. John Cawte Beaglehole and Philip Edwards. New York: Penguin Classics, 1999. ISBN 0-14-043647-2
  13. ^ “The world's youngest island” (英語). BBC. (2017年12月11日). https://www.bbc.com/news/av/science-environment-42314269/the-world-s-youngest-island 2017年12月12日閲覧。 
  14. ^ Tongan inspection team heads to undersea volcano March 19, 2009, phys.org/news, accessed 7-02-2019
  15. ^ 噴火が始まった日付は最初は確かではなく、スミソニアン博物館Global Volcanism Programでは"Observers flying near the area of Hunga Tonga-Hunga Ha'apai (about 62 km NNW of Nuku'alofa, the capital of Tonga) on 16 or 17 March reported seeing an eruption."としている(SI/USGS Weekly Volcanic Activity Report. 11 March-17 March 2009.を参照)。同レポートではKeizo Gatesの2009年3月16日付のウェブログを引用しており、そのウェブログでは3月16日の午後に民用航空機から撮影したとされる写真が載せられている(Gates, Keizo. "New Tonga Eruption" Kzo.net. March 16, 2009.を参照)。その後、スミソニアン博物館は噴火が3月16日に起こったと確認した(SI/USGS Weekly Volcanic Activity Report. 18 March-24 March 2009.を参照)。
  16. ^ Percival, Jenny. "Underwater Volcano Creates New Island Off Tonga." The Guardian. 21 March 2009.
  17. ^ a b "'No Living Thing Left' As Tonga Volcano Erupts." Agence France Presse. March 20, 2009.
  18. ^ "Entertainment," Cape Argus, November 20, 2009.
  19. ^ a b Woollaston, Victoria (2015年1月13日). “Fire in the South Pacific: Hunga Ha'apai underwater volcano erupts to turn the sea blood red and the sky grey with ash”. Daily Mail. http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2908091/Fire-South-Pacific-Hunga-Ha-apai-underwater-volcano-erupts-turn-sea-blood-red-sky-grey-ash.html 2015年1月13日閲覧。 
  20. ^ Klemetti, Erik (December 30, 2014). "New Eruption at Hunga Tonga-Hunga Ha'apai". Wired. Retrieved January 9, 2015; Undersea eruption from Hunga Tonga-Hunga Ha'apai in Tonga, South Pacific Ocean”. MODIS Web. NASA (2015年1月9日). 2015年1月9日閲覧。
  21. ^ Hunga Tonga-Hunga Ha'apai”. Global Volcanism Program, National Museum of Natural History, Smithsonian Institution (2015年1月7日). 2015年1月9日閲覧。
  22. ^ Tapaleao, Vaimoana (2015年1月13日). “Tongan volcano eruption puts flights on alert”. New Zealand Herald. http://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=11385767 2015年1月12日閲覧。 
  23. ^ a b c d e “Tongan volcano creates new island: Officials”. The Star英語版. (2015年1月16日). http://www.thestar.com.my/News/Regional/2015/01/16/Tongan-volcano-creates-new-island-officials/ 2015年1月16日閲覧。 
  24. ^ a b c d “Photos: Massive ash cloud in Tonga volcano eruption”. TV New Zealand. (2015年1月16日). http://tvnz.co.nz/world-news/photos-massive-ash-cloud-in-tonga-volcano-eruption-6219472 2015年1月16日閲覧。 
  25. ^ Tongan volcano forms new island”. Radio Australia (2015年1月16日). 2015年1月16日閲覧。
  26. ^ Perry, Nick (2015年1月21日). “New island created by underwater volcanic eruption in Tonga may soon disappear”. The Independent. https://www.independent.co.uk/news/world/australasia/new-island-created-by-underwater-volcanic-eruption-in-tonga-may-soon-disappear-9993595.html 2015年1月21日閲覧。 
  27. ^ Geo survey reports less ash coming from volcano”. Matangi Tonga (2015年1月19日). 2015年1月19日閲覧。
  28. ^ a b c “Volcano eruption in Tonga declared over”. Radio New Zealand. (2015年1月26日). http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/264572/volcano-eruption-in-tonga-declared-over 2015年1月26日閲覧。 
  29. ^ a b c “Volcanic eruption ends, leaving tiny ash island”. Matangi Tonga. (2015年1月26日). http://matangitonga.to/2015/01/26/volcanic-eruption-ends-leaving-tiny-ash-island 2015年1月26日閲覧。 
  30. ^ Pearlman, Jonathan (2015年3月11日). “First photographs emerge of new Pacific island off Tonga”. Daily Telegraph. https://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/australiaandthepacific/tongafrenchpolynesia/11463853/First-photographs-emerge-of-new-Pacific-island-off-Tonga.html 2015年3月12日閲覧。 
  31. ^ a b Chang, Kenneth (2017年12月11日). “New Pacific Island Could Resemble Ancient Martian Volcanoes”. The New York Times. https://www.nytimes.com/2017/12/11/science/mars-volcanoes-tonga-island.html 2017年12月15日閲覧。 
  32. ^ CNN, Joshua Berlinger. “Mud, vegetation on new Pacific island baffle scientists”. CNN. 2019年2月6日閲覧。
  33. ^ New Tonga island 'now home to flowers and owls' 2019-02-07, 2019, bbc.co.uk/news, accessed 2019-02-07

関連項目[編集]

外部リンク[編集]