フィアット・ドブロ

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ドブロ (DOBLÒ) は、フィアットフルゴネットタイプの自動車であり、商用仕様と乗用仕様が存在する。

2代目まではフィアットの自社開発・生産であり、2世代目はオペル・コンボとの兄弟車になった。さらに、2021年のステランティスグループの成立に伴い、3世代目からはオペル・コンボに加えて、ステランティスグループのプジョー・リフター/プジョー・パートナーシトロエン・ベルランゴ、さらにステランティスと協業しているトヨタの欧州専売車種トヨタ・プロエースシティとの兄弟車種となった。

2代目までは日本に未導入であったが、2023年5月から3代目モデルの日本での正規販売が開始された[1]

歴代モデル[編集]

初代 (2000-2010年)[編集]

ドブロ
前期型
後期型
概要
製造国 トルコの旗 トルコ
ロシアの旗 ロシア
 ベトナム
ブラジルの旗 ブラジル
販売期間 2000-2010年
ボディ
ボディタイプ 4/5ドアバン
駆動方式 FF
4WD
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.2/1.4/1.6/1.8L I4
フレックス:1.8L I4
CNG
1.6L I4
ディーゼル:
1.3/1.9L I4
変速機 5/6MT
車両寸法
ホイールベース 2,585-2,965mm
全長 4,160mm (2000-2005)
4,255mm (2005-2017)
4,355mm (アドベンチャー)
全幅 1,715mm (2000-2005)
1,720mm (2005-2017)
1,765mm (アドベンチャー)
全高 1,820mm (2000-2005)
1,960mm (アドベンチャー)
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2001年、最初にオランダ市場へ投入された。トルコ ブルサトファシュ工場および、ロシア ホーチミン市ベトナムで生産され、2002年からはブラジルでも生産されている。なお、トファシュにより製造されるモデルは、1.4 Lガソリンエンジンおよび、1.9 L、1.3 Lコモンレールディーゼルターボエンジンを搭載する。また、ブラジル製の車両は、当初1.3Lおよび1.6 Lガソリンエンジンが搭載されたが、現在はゼネラルモーターズ製の1.6 Lガソリンエンジンのみが搭載される。

2003年、通常モデルよりバンパーが大型化した直列4気筒 1.8 Lエンジンを搭載した四輪駆動モデルのドブロ・アドベンチャーDoblò Adventure)をブラジルで発売[2]

2005年秋、マイナーチェンジ。前後のデザイン変更が行われた。

2006年、インターナショナル・バン・オブ・ザ・イヤーを受賞。

シンガポール市場では、1.4 Lエンジンを搭載した乗用モデルがフィアット・パノラマPanorama)として販売された。北朝鮮では平和自動車によりポックギの名称で生産・販売された。

2代目 (2010-2022年)[編集]

ドブロ
前期型
後期型
概要
製造国 トルコの旗 トルコ
販売期間 2010-2022年
ボディ
ボディタイプ 3/4/5ドアバン
2ドアトラック
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.4/2.4L I4
CNG
1.4L I4
ディーゼル:
1.3/1.6/2.0L I4
変速機 5/6MT
5/9AT
車両寸法
ホイールベース 2,755mm (SWB)
3,105mm (LWB)
全長 4,390mm (SWB
4,755mm (LWB)
全幅 1,830mm
全高 1,845mm (SWB)
1,880mm (LWB)
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2代目からGMへ供給を開始、オペルヴォクスホールブランドでコンボという車名で販売している。

2015年、ハノーバーモーターショーで新しくヘッドライト、グリル、フロントバンパーを備えたモデルを公開[3]。同年、マイナーチェンジモデルの発売を開始した。また同年、ラム・トラックスブランドにてプロマスターシティとして北米市場でも販売を開始。

3代目 (2023年-)[編集]

ドブロ
日本仕様 ドブロ マキシ
欧州仕様 E-ドブロ(乗用仕様)
概要
製造国 スペインの旗 スペイン[4]
販売期間 2022年-
ボディ
ボディタイプ 4/5ドアバン
駆動方式 前輪駆動
パワートレイン
エンジン ガソリン:
1.2L I3
ディーゼル:
1.5/1.6L 1.5L I4
モーター 136馬力
変速機 5/6MT
8AT
車両寸法
ホイールベース 2,785mm (SWB)
2,975mm (LWB)
全長 4,403mm (SWB)
4,753mm (LWB)
全幅 1,921mm
全高 1,796mm-1,860mm
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欧州仕様 E-ドブロ(商用仕様)

3世代は2022年6月7日に発表された[4]ステランティスグループの成立に伴い、シトロエン・ベルランゴなどとの兄弟車となった。3世代目は生産国がスペインになった[4][5]

ルノー・カングーが火付け役となった日本市場での欧州製トールワゴンの市場拡大を受け、3代目から、日本市場にドブロが初めて正規導入された[1]。日本仕様のドブロは乗用仕様で、5人乗りと7人乗り(ドブロ マキシ)の2タイプが用意される。

欧州の多くの国では乗用車・商用車とも電気自動車の「E-ドブロ」が主力となっているが、日本で販売されるドブロは兄弟車のプジョー・リフターシトロエン・ベルランゴの日本仕様と同様、1.5l BlueHDiディーゼルターボエンジンを搭載したモデルである。トランスミッションは、ダイヤル式の8速オートマチックトランスミッション(EAT8)のみの設定となる。

特に、欧州の乗用仕様ドブロは電気自動車のみとなっているため、ディーゼルエンジンを搭載した乗用仕様のドブロは日本専用モデルである[5]

また、ステランティスグループ内での日本市場での競合を避けるため、日本仕様のドブロはプジョー・リフターシトロエン・ベルランゴと比べて装備を削減し、その分価格を抑えている[5]。但し、全可倒式2列目シートやアダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポットモニター等の安全・快適装備はきちんと備えられている。

2024年1月27日、限定車「Doblo/MAXI Coppia(コッピア)」「Doblo MAXI 5(チンクエ)」を発売[6]。「Coppia」は通常色のマエストロ グレーよりも落ち着きのある色にした新色のコロッセオ グレーを採用し、LEDヘッドライトとCoppia専用のオリジナルバッジを装着し、同色のFIATオリジナル自転車をセットにした物。ドブロとマキシで各80台限定。「MAXI 5」は通常7人乗りのMAXIを3列目シートを廃して5人乗りとし、ベースのMAXIより約15万円安い価格を実現している。ボディカラーは同日発売の「Coppia」同様コロッセオ グレーで限定は100台。

車名の由来[編集]

フィアットは、自社の商用車のモデル名に、歴史的通貨の名称を付ける習慣がある。ドブロは16世紀のスペインの金貨「ドブロン/ドブローネ」から付けられたものである[7]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]